小説 人蟲・新説四谷怪談〜あとがき1
六十回にわたる連載を終えて。
1年半前に書いた作品と再び向き合う毎日でした。
この作品は講談社とLINEさんで起ち上げたLINEノベルの第1弾作品として書きはじめました。
講談社さんから、本格稼働させる前の実験的な作品が欲しいのでいくつかプロットをくれと言われて出したものの中にこの作品のアイディアがありました。
「ホラーがいい」
という先方の要望があり、この作品を書きはじめたのですが、途中で別のプロットの方に変えてくれと言われ中断。
このとき、採用されたプロットが私の小説家デビュー作になった「陰陽探偵中津川玲子の十四日間」という作品です。
「陰陽探偵中津川玲子の十四日間」を書き上げたあと、講談社さんと話し合い、この作品も完成させておこうということになり、本格的に執筆を再開しました。
モチーフになった四谷怪談の原典は非常に複雑なもので、所謂、世間一般に知られているお岩と伊右衛門の怨念ストーリーに赤穂浪士の討ち入りが一緒に展開していくものです。
調べれば調べるほどこの複雑怪奇な原典の魅力に私は取り憑かれました。
そこで、原典とは少し違う形で「ふたつストーリーを同時進行」していくという手法を取り入れようと思ったのです。
それが「現代」と「過去」という形にかえて展開していくアイディアでした。
お岩と伊右衛門のストーリーを「現代」
赤穂浪士を「過去」
として書き上げました。
当時、私は四谷に住んでいて、行き詰まると夜中、四谷にあるお岩稲荷の前でスマートフォン執筆したものです。
そのときなにかを連れて帰ってしまったのか、当時の私の家はラップ現象はあたりまえ、夜中にインターホンが鳴り続けたり、怪奇現象ラッシュでした。
それが不思議と怖くなく、かえって執筆に没頭していくことになるエネルギーみたいなものを与えてくれたのが今でも不思議です。
さらに不思議なことが中盤あたりまで書き上げたあたりから起こりました。
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