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小説 人蟲・新説四谷怪談〜あとがき二

 

当初はあくまでも「ホラー」であり「ミステリー」として書いていたのですが、中盤を過ぎたあたりから、自分の意思とは関係なくストーリーはラブストーリーの方向に傾いていきました。



それは勝手に登場人物が動き出す感覚。



特に現代の主人公である民谷伊一郎と小岩さえは、本当に不思議な呪縛を私の与えました。


中盤以降、彼らが言葉を発するシーンは全くありません。



クライマックスの廃工場の地下室まで彼らは出てこないのです。



それでも、中津川玲子や勝倫太郎を通して、彼らの思惑の方向にストーリーが移動していきました。


小説なのでもちろん最初にプロットは書いているわけです。



それなのに。


プロットと全く違う方向に筆が進むのです。



現代の展開に呼応すうように過去の伊右衛門とお岩のストーリーも動いていきました。


この頃は



為す術なく、感じるままにストーリーを紡いでいくしかありませんでした。



この作品はほぼiPhoneで書き上げました。



クライマックスのシーンは実際に墨田区本所に足を運び、隅田川のほとりで書きました。今もその不思議な感覚が残っています。



最後の



生きて・・



いや。



書かないでおきます。



書くとこの物語が陳腐になると思うので・・



この作品は、未だ世にでることなく私の手元にありましたが、今回、講談社さんのご理解もあり、こうして公開することができ幸せでした。



それと



実はこの作品には、さらにある仕掛けをしていました。



映像作品にもしたのです。



音楽と文字だけで映像化するという「ワードシネマ」という方式です。以前、このnoteでも公開したものと同じ仕組みです。



こちらは4時間を超える大作なのでやはり世に出ることなく私の手元にあります。


素晴らしい音楽を作曲家の吉田隆さんと編曲の成田玲さんがつくってくれました。



その楽曲の一部を公開してみたいと思っております。


とにもかくにも。



こうして1年半前の作品と見つめう六十日間はたのしいものでした。



本当におつきあいいただきありがとうございました。



2014/10/13 マナベアキヒト



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