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小説 続ける女〜あとがき


まずは最後まで読んで頂いた皆さんに心よりお礼申し上げます。

この猛暑の最中、季節感のまったくない冬の物語を連載してしまい空気の読めなさ天下に恥じ入る限りです。

この「続ける女」は先日公開した「午前二時の女」の続編であり、この作品で一連の謎が解き明かされるという仕組みになっております。

「午前二時の女」では勝倫太郎という男がいわゆる探偵役で、「続ける女」では中津川玲子という女が探偵役。

前者が男性の目線、後者が女性の目線。

ふたつの切り口でひとつの事件を描く試みをやってみたいと思ったのです。

実は、一番最初に書いたのは「続ける女」のエピローグの荒木莉子の手紙の部分でした。

この手紙をいかにドラマチックに演出できるのかと考え、「午前二時の女」と「続ける女」の二部制の発想が生まれたのです。

もともとこのふたつの作品のベースになったのは鳥取に伝わる怪談「丑三つ刻の女」です。

「続ける女」の中でも出てきますが、この短い怪談はワタシにいくつかの違和感を残しました。

なぜ、幸せな結婚をしたはずの女が昔の男の元に生き霊として現れるのか?どうにも合点がいきませんでした。

そこで男の目線でこの疑問を解釈したのが「午前二時の女」なのです。

つまり男自身が女に対する未練から「生き霊」になったという解釈。

それに対して女の目線で描いたのが今作である「続ける女」です。

「丑三つ刻の女」にも書かれていた「ふたりの子供」をキーにしました。

大胆な創造ではありますが、女性のもつ「情念」を少しでも滲ますことができたなら本望です。

ワタシは怪談やミステリーは本質的には「恋愛」である。

と考えています。

男と女の複雑な心情は書いても書いても書ききれない深いミステリーである怪談だと。

このふたつの作品がそういう風に受け止めてもらえれば作者としてはうれしいばかりです。

荒木莉子の最後の手紙はワタシにとっては切ないラブレターです。

相手は・・・?

それは

皆さんのご想像にお任せします。

ではこのへんでこの短い作品のあとがきを終わらせていただきます。

ご愛読ありがとうございました。

これからもよろしくお願い致します。


                  2014年8月4日 マナベアキヒト


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