失恋直後Twitterで知り合った男とカフェを巡ったあとマルチの勧誘にあった日
彼氏と別れた直後、Twitterの裏垢で連絡取り合ってた男とランチをした。
裏垢と言ってもオナニー動画をあげてたとかそういう類いでは無いので安心して欲しい。ただ罵詈雑言を書き連ねるタイプの方。病み垢。
ベニスに死すのタジオをアイコンにして「山形に死す」というハンネでやっていた。地名が入っているからか、山形のおじさんたちにフォローされた。
その中の一人で年も近く、頻繁にリプライがきていて、彼氏と別れた旨をポストしたらDMが来て、愚痴を聞いてもらった。
特定の相手がいない時は割と奔放な生活をしていたし、失恋直後の捨て鉢な状態だったので、会ってみる?という誘いにまんまと乗った。
彼は自分の写真を何枚かアップしてて、新井浩文と似ていた。
当時まだ新井浩文は逮捕されていなかったし、完全に好みの顔だったので、ワンチャンあんな、とすら思っていた。
待ち合わせはコメダ。
カフェイン中毒だったので、そこでたっぷりアメリカンを一杯飲んで待っていた。
到着の連絡がきて、いそいそと駐車場に出るとそれらしい車を探す。
目が合って、ペコッとする男性は、新井浩文とは程遠かった。
よく言えばエハラマサヒロ。ちなみにエハラマサヒロの事は大好きである。遠藤要とエハラマサヒロは大好き。
当時は友達に説明する時、大きなエハラマサヒロ。と呼んでいたが、しゃかりきというママさんバレーをしているお母さんのあるあるをSNSに投稿している芸人を知ってるだろうか?今で言うと、そのしゃかりきの光ママに似ている。
あーね。
人の容姿をどうこう言えるタマではないが、新井浩文が来ると思ってわくわくしていた私の気持ちは一段下がった。
知らない男性と遊ぶ機会も無かったし、まあそれなりに楽しめたらいいやと思って車に乗り込み、どうしましょ~と行き先を相談。
昼過ぎの集合だったし、食事は済んでる。
じゃあまあカフェでも。ってことで、少し車を走らせカフェへ。
そしてこの日2杯目のコーヒー。
当時パワーストーンのブレスレットをつけていて、それに気づいたエハラがパワーストーンとか好きなんだね、と聞いてきた。
あまり詳しくないけど、誕生日とかその時の気分に合わせて店の人と相談して購入したものだった。
「どれがどんな名前でどんな意味があるか説明できなきゃだめじゃ~んw」
は?
もしできたとして、興味あるんけ?
あ、こいつ鬱陶しいしな。新井浩文じゃねえくせに。
エハラはカレーを食った。
片手にスマホを手放さず。
まあいいけど、彼女じゃないし、わたし。
「ごめんね、俺スマホ手放さないんだよね。こうやっていつでも調べ物できんじゃん」
じゃあそのスマホでわたしがつけてるパワーストーン調べろよ。タコ。
わたしという人間はとにかく太鼓持ちな質で、地元のスナックで働いてたらそりゃおじさんたちが喜ぶだろう、笑顔とリアクションで生きてきた。
初対面の新井浩文ではなかった男にもいちいち楽しそうな笑い声を聞かせてやったが、話の大半は覚えていない。
この辺で会計する隙を与えてやるか、とトイレに立ち、計画通り会計を済ませたエハラに大袈裟なリアクションと共に感謝を伝えると彼は、
「あ~今日抱けるわw」
と言った。
いやいやいやwと曖昧なリアクションを取り車へ向かうと、助手席のドアを開けてくれた。
そういうのいいからw
と思いつつ、ヨイショの女は「紳士~」と喜んで見せた。
もう彼が次に何を言うかわかるね?
「あ~今日抱けるわwこれw」
スラムか何かの出身ですか?
面白くないし。
罪だよ、それ。
夕方には用事があると伝えていたので、夕方には解放されると我慢して、車に乗り込んだ。
途中で帰るのは失礼だと思ったし、何より何かネタにできそうなものを探していた。
ワンチャンないなら、ネタをくれ。
だが、残念ながらその後面白いことは無かった。
ガーデニングが綺麗なカフェで、パンケーキを食べた。
またカフェ
さすがにコーヒーはもう無理だったから暖かい麦茶を飲んだ。もう腹がたぷたぷ。
なんでわたしはカフェをはしごして、デカいエハラマサヒロと秋口のテラス席でハリガネムシに寄生されたカマキリの揺れる尻を見ているのだろう。
こんな素敵なところ、別れた彼氏と来たかった。
会話の最中何度か元彼の話を振られ、込み上げる涙をぐっと我慢した。
体重が一気に3~4キロ減り、急な体重変化で体に湿疹が出る程の失恋だった。
儚げに「まだ引きずってるの」
と微笑んでみたがエハラは
「やった、フラッシュバック成功w」
とクッキングパパみたいなデカいアゴを揺らして笑った。
だから、面白くないのよ。
サイコパスか?とも思えない。
ただ、ひたすらに、面白くない。
その後山に上り、夜景を見て、KICK THE CAN CREWの流れる車内で手を握られた。最悪。何が嫌って手のひらが柔らかいところ。手のひらが柔らかい人は金運がいいらしいが、気持ち悪かった。老人の張りのない手みたいで。
家の側でおろして貰う時、じゃあ気をつけてね。と尻を触られた。最悪だ。
やっぱろくでもないな。
Twitterで会うのとか辞めよう。
時間の無駄だし、自分自身を消費してる気分になる。なんて愚かだったんだ…
自宅に戻り、夜に知人に会う約束までの時間、ベッドに横たわり少し泣いた。
気を取り直して、昼間一度訪れたコメダへ向かう。
その知人というのは地元のサークルで知り合った同い年の男性で、趣味やノリが合う、仲のいい友達になれそうな人だった。
少し待っていると知人が、年取ったギャル男を連れてやってきた。
はい?そちらどなた?
事態を飲み込めずにいると、年取ったギャル男は「お前、何にも伝えてないの?」と知人を詰める。
知人は謎に真っ青な顔をして私の目を真っ直ぐ見つめてこう言った。
「アムウェイって知ってる?」
こいつは面白くなってきた…ッ!
バグった頭で元彼にLINEした。
アムウェイに勧誘されてるなう。
おわり
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