大人になった私と渋谷と、大人を求める渋谷。
今でこそ東京の東側に住んで「山手線の西側は怖い」とか「心の準備がないと西側諸国には行けない」などと(半分ネタで)言ってる私ですが、実は私と東京の最初の接点は渋谷だったのです。横浜に住んでいたので、一番安く行ける東京が渋谷だったのですが、実は今でも272円で横浜から渋谷にいけるというのは、結構奇跡に近いことだと思っています。
中高生の間、渋谷は子供が安心して遊びに行ける街で、私は「こどもの城」というまさに子供が心置きなく過ごせる場所で定期的に音楽の講座に通っていました。しかし、いつからか渋谷は「お金持ちの大人以外はいらない」という雰囲気になってきているように思えます。この状況っていつから始まったんでしょうか。
Miyashita Parkは素敵だけど私の居場所ではないと思う理由
色々世間を騒がせている旧宮下公園ことMiyashita Park。散々脅かされるようなことを言われつつ、ついに中に入ってきました。結果をいえば誰にも何もチェックされなかったし、お金も取られなかったし、普通におにぎり食べてても大丈夫でした。芝生では幅広い世代の人がくつろいでいたし、思ったより良い感じの場所でした。
一方で宮下公園を今の形にするためにたくさんのホームレスの人が追い出されてしまったというのも事実です。区ではここに住んでいた人たちはシェルターなどに移転したという話でしたが、最後までこの公園の是非については闘争があり、納得した形で進んだわけではないことは確かでしょう。
近くの美竹公園にはまだ住んでいる人がいます。公園に住まざるをえない人がいる一方で、住んでいる人が多い公園では遊びづらかったりもする。それにしても何がこの「ここにいてはいけない」感を感じさせるのでしょうか。
20年前に渋谷は大人の街を宣言して、変わってしまった
なんかもう覚えてないくらいの昔になるけど、渋谷が大人宣言をしてしまって、まだ大人ってほどでもない自分はすごく遠ざけられてしまったなあという思い出がありました。それを探っていたらこの記事です。
そうそう。「渋谷は若者の通行量は多いが、実際の売り上げに結び付かない」「子どもばかり増えても客単価は上がらない」とか言われていたんでした。それでマークシティ、セルリアンタワー、ヒカリエなど高級志向な施設が沢山出来て、その集大成が渋谷スクランブルスクエア。いや、新しい埼京線のホームができるまではこの流れは止まらないのかもしれません。その間にすっかり大人にはなったわけですが、違和感は増すばかり。渋谷はよく行くライブハウスなどもあり、完全に縁を切ったわけではありませんが(笑)渋谷という場所を選んで行くことは年々少なくなってしまいました。
「ジェントリフィケーション」という現象は東京だけの問題ではなく、世界中の都市で起こっていることです。高級化+再開発という意味で使われており、都市がより魅力的で高付加価値になるという意味では歓迎されることも多いです。
一方で、上記の記事でも述べられているように「それまでの住民・仕事・文化の存在が廃れ」ることでもあるのです。
渋谷はしぶとかった。いくら大きな資本が「お金持ち」の「大人」ばかりを歓迎しても、比較的安く飲み食いできるお店は健在で、街には人が集える余白があったのです。だから、周りがメッセージしても子どもたちは聞き入れなかったし、お金がなくても行くことができたのです。でも、いったん「この街はお金持ちの大人以外いらない」というメッセージを聞いてしまった自分には、あえて渋谷にいる意味を見出せなかったのかもしれません。
そろそろお金持ちの大人以外もここにいていい、と言って欲しい
私が長年通った「こどもの城」は2015年に閉館してしまい、いまだに立ち入り禁止のままになっています。1985年に建てられたこの施設は他のビルなどと比べても著しく老朽化しているわけではなく、これだけの一等地にあってもっと広い人に向けて活用の方法があるはず。病院になるとかなんとかですったもんだしていましたが、ずっとこのような状況で何年も使われないのはもったいないとしか思えないのです。
そんな中で、ようやく2020年になって、東京都がこの場所を「都民の城」という複合施設にして、誰でも利用できるようにすると発表しました。ようやくお金持ちでも大人でもなく誰でも、という言い方をされたのは良いですが、オープンは2023年。まだだいぶ先ですね。
渋谷区は若い人が政治のトップに立って活躍する数少ない自治体で、オープンな印象もあります。そんな中で、街が「渋谷は子どもも、大人も、お金持ちも、お金持ちじゃない人も受け入れます。みんなで楽しい街を作って行きましょう。」って言ってくれたら、救われる人は多いのではないでしょうか。それって難しいことなんでしょうか。
追記:後に反応いただいたnocさんの渋谷に関する記事がすごく的確で歴史をたどるのに良いとおもったのでリンクさせていただきます。
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