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0-3. 37th MARATHON DES SABLES / モロッコ到着~ブリーフィング

いよいよ砂漠の入口に到着してビバーク生活が始まります。
一週間生活を共にするテントメイトに合流して夕方にはブリーフィング。
翌日のテクニカルチェックに備える一日。
爆裂砂嵐で砂漠の洗礼もしっかり受けました。

●ビバーク到着
4月21日。現地時刻はちょうど正午。
ビバークの入口に到着した。場所はこの辺りだ
ちなみにこの時のモロッコのタイムゾーンはUTC±0である。
通常は中央ヨーロッパ時間(CET、UTC+1)が採用されているが、
ラマダーンの期間中+前後は過去の慣例により時計が1時間戻される西ヨーロッパ時間となる(WET、UTC+0)
サマータイム自体は2018年に廃止したが、上記慣例により世界的に見ても珍しい「逆夏時間」とでも呼ぶべき状態となっている。
4月30日AM2時に中央ヨーロッパ時間(CET、UTC+1)に戻るため、競技期間中の影響はない。

バスを降車すると早速一人の女性スタッフが目に止まる。
スタッフの中でR姐さんが最も仲の良いナタリーさんだ。
私は1度しか会っていないが、R姐さん絡みの映像で何度もその姿を見ているですぐに分かった。
嬉しそうなR姐さんを写真に収める。

ナタリーさんとR姐さん

荷台から自分の荷物を引っ張り出してビバークの本営に向けて歩き出すと今度はテントの設営責任者のハッサンさんを見つけて声をかけるR姐さん。
ちなみにハッサンさんはテントの設営係を長年務めて今や責任者にまでなった叩き上げなんだと親の気持ちで語っていらした。
ホントこの人といると色んな出会いがあって飽きない。

R姐さんとハッサンさん

小石の多い砂地をスーツケースを引いて歩く。向かうは自身の指定テントだ。
選手がビバークで寝泊りするテントは大会期間中通して固定なのは以前から変わらないが、
今は選手アカウントから事前に自分の入るテントを指定する方法に変わっている。
まず所属国ごとにその人数に応じたテント番号が設定されており(日本人は#162~166)、ひとつのテントの最大人数は8名となっている。
これらの設定は以前通りだが、今は同居する選手の情報も事前に知れるためドキドキは少ない。
ビバークに行ってみるまでどんな人と一緒になるか分からない、あの独特の趣きがないのはちょっと残念ではある。

ビバークの場所は以前来た場所とは異なるし配置の仕様も違う。でも歩いていると不思議と”帰ってきた”感があり静かに高揚した。
私のR姐さんはテント群の一番外側にある日本人テントに歩を進める。
ここまで散々楽しんだが私は#164、R姐さんは#166なのでここで別れる。
#166テントがテント群の最も外側かつ一番端なので、その2個隣りとなるので大変分かりやすい。疲れて戻ってきたときにこのシンプルな立地は助かる。

日本人テントの位置


●テント紹介

#164テントにはすでに5名が入居していた。私以外にもう1名ここに入るはずだったがその方は残念ながらDNSなのでこれで全員だ。
テントには奥からS木さん、M山さん、N沼さんの知己3名が並び、少し空いてパリまでのフライトで一緒人になったTくんとそのオジのK沢さん。

我が#164テント

空いているのは中央付近のスペースのみ。・・・だよねーと、心の中でつぶやいた。
自己中の私としては気遣い緩めでいける端っこがベストだったが、まあゆっくり来て流石にそこは空いてないよねと覚悟はしていた。

テント内の配置はほぼ間違いなくこの入居時で固定化されるので、この中央のスペースが私の定位置となる。
幸い人数は6名なのでゆったりしている。また中央はテントで一番高さがあるため、日光を吸収する黒の天幕も遠くて涼やかである(天幕が近い端っこは暑い)

そんな風にポジティブに捉えていたが、中央付近のこの位置に陣取ったことが後に起こる悲劇の発端となる。

まあそれはひとまず置いといて、テントに横たわる。
あーー懐かしい感覚。
ペラペラの絨毯、その下に潜むゴツゴツとした石。黒い天幕に支え棒。
ずっと焦がれていた場所に戻ってこれた嬉しさに震えた。
テント群の大外のため片方は完全に視界が開けており解放感もある。とてもいい場所だ。
陽の位置を見るに開けた方は北西のようだ。
この時点でまだ13時。
今日この後の予定は17時からのブリーフィングと19時からのディナーのみだ。

とはいえ、ただダラダラ過ごすのは建設的ではない。
明日のテクニカルチェックではレースに持ち込まない荷物を預けるため、
まずは今日の時点でレース用とそれ以外(預け荷物)に分けておくことが望ましい。
日本を出発する時点でほぼ完了してはいるが、移動に際し細かい入れ替えがあったので、作成した表を基に再度振り分けを行う。
同時に今晩試用する寝袋とスリーピングマットを準備。
スマートフォンと時計用のモバイルバッテリとヘッドライトもテクニカルチェックまでは別の物を使用するので取り違わないよう分けておく。
カーボローディング用の補給食だけは相変わらずばくばく食べる。

ふと見ると、周りはだんだんとレースウェアに着替えていっている。確かにもうそうした方がよい段なので私も着替える。
この頃になるとテントメイトや他の日本人も一旦落ち着き、談笑やテント巡りが活発となる。
私も各テントにご機嫌伺いに赴く。

まずは一番端の#166
こちらはエリート&ベテラン勢中心のテントとなる。
前回女子総合2位で今回は優勝を狙うB藤さん。そのマネージャーでエグい実力者と噂のT屋さん。
B藤さんと同じく最恐35回大会で好成績を残して、今回はモロッコ先入りで暑熱順化も済ませ更に上位を狙うH本くん。
18回目で女子最多出場者なのにとても謙虚なJ子さん。10回目出場で遂にオレンジゼッケン到達のR姐さん。
初出場のトライアスリートでピンクのフラミンゴが目印のDさん。同じく初出場で泰然自若のバーテンダーM田さん。
B藤さん、T屋さん、H本くんは揃いのレースウェアなので統一感がありカッコいい。
今日もすでに暑かったが北側にある砂山に試走&撮影に行ったりする活気に満ちたテント。

続いて#165テント
ここも実力者揃いである。
ザックに付けた鍋は旅感の矜持。なんとワターチでの完走に挑むU野さん。
2度目の参加で海外レースの経験も豊富なT本さん。
T本さんは安定して速そうなので彼がどの辺りの順位にいるかで全体のレベルを推し量る目安にしようと考えている。
同じく2度目の参加でC守教の筆頭信者の中園さん。そして中園さんと共に福岡から参加で柔和なF川さん。
ゴビ砂漠を走ったこともあり明るさ全開のN津さん。ドイツ国籍でT本さんと同じく経験豊富なストロングマンSさん。
ここはとても和やかな雰囲気のテントである。

そして我らが#164テント
格闘技のトレーナーであり、故に身体の動き・処し方に詳しいS木さん。アイアンマンも完走する程だが今回は直前に負った膝の怪我に不安を抱える。許せんカッコよさ。
続いて旧知のM山さん。2回目の参加で前回は準備期間が短く惜しくもリタイア。今回は雪辱に燃えている。走力はあるが暑さに弱いとのこと。何度も禁酒に成功している、凄い。
そしてN沼さん。私と同じく繰り越し出場でようやくやって来れた組。MDSのため相当数の大会に出場してテストされている。余談だが腕時計が私と全く同じ。
初出場のTくん。くん付けなのは彼がテントで唯一年下だから。大オジであるK沢さんと参加。ザックは知人のツテ。ランナー体形で感嘆詞の声がやたらデカい(うるさい)
レジェンドK沢さん。なんと13回目の参加。御年80歳(準最高齢参加者)。私がテントに到着した時点ですでにリラックスモードに入っていらした。サハラでの生活が堂に入っておられる。

お次は#163テント
こちらには4度目の出場にして初めて牛の着ぐるみを脱いだY山さん。
宣言通り前回から10年後に2度目の参加を叶え、道着で走るS川さん。
ランの他自転車にも乗っており、しっかりとトレーニングを積み重ねてきているS山さん。
パリまでのフライト中に喉を痛め、私の知る限りずっとガラガラ声のH多さん。
唯一事前にグループチャットにお誘いができず、でも問題なく独力でここまで辿り着いているK川さん。
北国からの2回目の参加でほぼサブ3達成している実力者のK木さん。T本さん同様K木さんの順位も参考にする予定。
以上の皆さんで構成されている。H多さん曰く「年齢層高め」の大人テント。

最後に#162テント
ここはフレッシュな雰囲気のあるテント。
大学生で学友には黙って参戦し、終わってから満を持して驚かす予定のやるヤツO橋くん。
高温情報に対応してパリで補給と装備を買い足して盤石なK藤くん。
Q:YOUは何しにサハラへ? A:カップヌードルを砂漠で食べるCMを再現しに、のA井さん。
ザックがとても大きいD居さん。完歩狙いで戦略立てもついている。そして嬉しい同年代。
発汗にハンデがあるがそれをものともしない難病チャレンジランナー&動画配信者のY澤くん。
エネルギッシュで走力は私より断然上のY口くんは枷となるレベルの特異な衣装を用意しているとのこと。

そして、最後は皆さんお待ちかね。”教祖”ことC守さん。
数々のレースでリタイア前提で装備・補給の試行を繰り返し、その全てはこのMDSの為と公言して憚らない男。
その精緻な調査・実施、加えてその成果の提供を惜しまな姿勢は多くのMDS仲間の心を掴み、いつしか”教祖”と呼ばれるに至る。
私も誠に、ま・こ・と・に遺憾ながらドリンクの配合については参考にさせてもらったりもした。
前回紹介した”サンドネ”でも度々登場し、普段の言動からは想像できない意外な人情家ぶりを発揮したりもする。
今回はR姐さんとわざわざ火のないところに煙を立ててサンドネガチンコ勝負(総合順位勝負)を行うと宣言。
面白いので私は双方煽って火種を大きくするのをビバーク生活の肴にしようと画策している。
ちなみに#162テントメンバーは面識がないという理由で彼が募った。曰くその方が面白い。これは真理であると思う。
そして今回の彼の装備はその理論の粋の結晶であるとのこと。色んな意味で眼の毒なので事前のSNSの投稿は極力見ないようにした。

そんな訳でそろそろレースウェアに着替えてるであろう彼のその姿を確認する。

銭湯の脱衣所にいそうな”教祖”C守さん

忘れられないインパクトがあるよね・・

しかし、ご、合理的だとは思う。ウェアはUV加工なので光の透過は抑えられ、白であるが故に反射に優れている。
加えてややダボっとした上着はかけ水をした際により身体に張り付き冷却効果を上げる役目を担うという。
私に以外にもこのウェアの機能性を熱く説いていた。う~んこれは教祖。
更に神髄は帽子やその他のギアにあるらしいので明日のテクニカルチェックでのお披露目を楽しみにしておく。

余談だが#162の横に#161があったらしい。
割り当て不要となったためか撤収されたとのこと。

●砂嵐
今回私が挙げた目標の中に「砂嵐に遭う」というのがある。
前回参加時は暑いだけの無風の日々が続いたので、実際に遭った人達がみな揃って首を横に振る砂嵐を味わってみたいと考えていた。

で、それは唐突に来た。

15時30分頃、テントで視界の開けている北西を向いて寝転がっていた。
B藤さんたちが走りに行っていた砂山の奥が・・突然黄土色にガスり始める。ポイントではなく横長に壁のごとく。

あれ?これって動画で見た砂嵐の現象じゃないか?と気づく。
遥か遠方なのでとりあえずその異様を眺めることはできた。
サハラすげえな~と呑気に浮かれてたら砂山方面のスタッフが慌ただしく動き始め、怒声を上げて車両に乗り込んでいく姿が見える。

え?あ・・もしかして?
とかぼんやりしているうちに付近から「サンドストーム!」と叫ぶ声が聞こえる。
ウッソ!心の準備が・・とかあわあわしているうちに黄土色の壁が猛烈な勢いでこちらに迫ってくる。

迫る黄土色の壁

広げていた荷物も手元に引き寄せて覆いかぶさるように防御態勢を取る。と、ほぼ同時に砂嵐来襲。

爆風の中に含まれる砂がぺしぺしと痛い。とても目を開けれそうもないのでサングラスを引き寄せ装着。バフも鼻尖まで上げる。
それでようやく顔を上げ周囲を見渡すことができた。
木の棒の支えと僅かなペグのみで固定されているテントが激しく煽られ続けている。


周囲のテントにはこういう事態に慣れているところもあって、砂嵐側の片側の棒を落として砂嵐の侵入を防いでいる。
あれやった方がいいのかな~ でもいつ収まるかわからんし狭くなるの嫌だな~と我がテントは迷う雰囲気。
ふと大ベテランの判断は如何にとK沢さんを見るとこれが常とばかりに泰然自若と変わらず寝そべっている。御大流石です。

・・むぅ。スーツケースを風正面に置いてガードとする。しばらくこのままで様子を見る。

・・

・・・

・・・・うーん、これおさまらない感じ??
例えば日本で風が吹き始めて一時で止むかというとそんなことはない。無論サハラでもそう。吹き続けるのである、ずっと、ずっと・・。

テントメイトも察して諦めたのか風と付き合う方向でテント生活を再開する。
ただ時折ひと際強く吹いた風で天幕がはためいて端の方の支え棒が倒れる。
N沼さんやTくんが補修をしてくれている脇で私は変わらず寝そべっている。
その光景が後日の日本でB藤さんが紹介された際に地上波で流れた。

2023年9月2日放送「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」より

結局、周りのテントがそうしている様にテント中央の大きな支え棒の角度を変えて、
風が来る方向。つまりは北西側のテントの幕を下ろして風の侵入を防いだ。
多少狭く、かつ風が通らないので暑くなったが吹きさらしよりは随分マシである。

ちなみに向かいのイギリス?のテントの砂嵐対応が素早くかつ効果的だった。
発生後すぐに支柱を倒して2名が風の来る方向の天幕の上に寝そべり侵入を阻止。
その間に他のメンバーで重し用の石を拾いに行って寝そべっている2名の側の天幕に配置していく。
そうして瞬く間に陣地完成。当人らもウィンタースポーツ用のゴーグルをして対策万端。
すげーと眺めていたこちらに気づきグッドサインも送るなど余裕綽々であった。

●ブリーフィング
17時からはテント群の中央の特設ステージ(トラックの荷台)においてブリーフィングがある。
競技に関する諸々のインフォメーションだ。
例年主催者のパトリック氏とメディカル・マーシャルなどの各チームの代表者が壇上に立つ。
全選手が主催者の足下に集まる最初の機会なので当然公式でバシバシ撮影される。
なのでここは最前列の確保をして画に残すのが良い。
そんな訳でみんなに行こう行こうとせっついて早めにテントを出発。同じタイミングでR姐さんらも合流。

定刻前に待機する日本人のカガミな人達


砂嵐はやや緩くなった程度なので防御装備を継続。
なお、上記の画像の時点で定刻17時を10分ほど回っている。
定刻?なにそれウララーというのがMDSのお決まりなのでここはじっと待つ。

17時20分を回る。

待ちくたびれ始めた人達。砂嵐は小康状態

選手はパラパラとだが集まってきている。しかし肝心のステージ上はまだマイクテストの段階。やがて通告を受ける。「18時から始めるね。」

・・だよねハイハイ。

一度テントに戻ったあと18時間際に再訪すると人だかりが大きくなっていた。
慌てて最前列の空いている箇所に滑り込む。

スタッフもステージ下に集合しており、やがてパトリックが通訳を伴い壇上に姿を現す。
お待たせとばかりにフランス語で語り始めるパトリック。
メモを取り発言のタイミングを計る通訳のギョームさん。
加えて檀下では同時進行で手話訳も行われる。

私は英語もサッパリーノなので大会に関することを話しているんだなとだけ察し、後は雰囲気だけ楽しんでうんうん頷く。
各部門のスタッフリーダーが紹介されていく。
青いベストはメディカル関係の様で、マイクを持ったスタッフの熱量がここだけ違った。運営側も今回の気候を警戒しているのが見て取れる。

左からパトリック、メディカルリーダー、通訳ギョームさん

その後も大会関係者の紹介が続く中で、なんと傍らにいたR姐さんが紹介される!
紹介に至る諸々の経緯は私にはサッパリーノだが、強引に意訳すれば「日本の友人」だろうか。
10年間に渡る彼女のMDS普及活動を想えばそれも頷ける。よかったですねR姐さん!

コールされるR姐さん!グレイト!

その後はMDSのお約束。スタッフのチェリーさんによるトイレ講習会。
配布のビニール袋(通称:うんち袋)をプラッチック製の便座に被せて座る一連の動きを実践講習。
9年前に見た、そして恐らくそれの遥か以前から変わらぬ様式美的なチェリーさんの姿を楽しむ快いひと時であった。

MDS名物・チェリーさんのトイレ講座


●ディナー

チェリーさんの講習で強風の実施されたブリーフィングも終わりを迎える。
辺りは薄暗くなり始め、みんなテントに戻ると思いきや大勢がビバーク北側に足早に移動していく。

「あ、やべぇ!」

一瞬遅れたが、ディナー会場に向かっているのだと気づく。
なんせ1000人超だ。早々に食事を済ませてゆっくりするには早めの位置取りが大切である。

すでに行列はできているが割かし列の前の方を確保できたので仲間と共にここで開場を待つ。

これでもまだ前の方

だいぶ経ち、まだかなーと呆けていたらC守さんがやって来て、
「めっちゃ混んでるじゃないですかー」とキレ散らかしながら行列の脇を行ったり来たりしている。
並び損ねたので入れるところを探しているっぽかったけど狭量の私は助け舟を出せずやがて彼は立ち去った・・
まあ目立つからテントメイトが見つけて列に入れてくれるだろ多分と見送る。

19時30分頃にようやく開場。ロードブックでは確か19時だったが定刻という概念はここにはない。
ビュッフェスタイルでトレイに取り分けた後は別テント、テーブルに移動して食べる方式。
開場から15分程でようやく会場テントに到達。
2レーンあってスタッフが空いている方のレーンを案内してくれる。会場は2レーンじゃちょっと無意味にデカい気がするけどそれはご愛嬌。

入場はコントロールされている
仕分けるでーなスタッフ

レース前なので糖質を中心にタンパク質や野菜もしっかり摂ってたらふくいただく。

味は覚えていない

アルコールの提供もあるがそこは、ね。今は禁酒の最終段階だしグッと堪える。
炭酸水が提供されていて代わりに・・と、思ったが氷水で冷やしているのが目にとまる。
うーん、これは危ない。炭酸水のボトルが浸されているその水の安全度が信用できない。
ランチパックの生モノも控えたしここも安全策でいつもの1.5Lボトルの水で我慢。
楽しむ云々じゃなきゃ飲み終わり後もこれが一番役に立つしね。


●就寝

お腹一杯でテントに戻る頃にはもう真っ暗。
月齢は昨日20日が新月だったため、今宵が大会期間中で最も星空を観るに適しているといえる。
テントに戻りつつ、また戻ってからも幾度となく満天の星空を眺めていた。

レースに向けて体調・リズムを整えてうかなければならないため、テント仲間と雑談しつつ就寝の準備を始める。
まずマットを膨らます。スリーピングマットは寝袋の中に差し込むタイプ(Klymit/Inertia X-Lite)
寝袋はエマージェンシーシートを貼り合わせた風の簡易なもの(Lixada/ポータブルスリーピングバッグ)

選択肢として最低使用温度8℃の高性能なもの(ISUKA/Air 130X)も持ち込んでいる。
簡易な方は120g程度。高性能な方も肩までのタイプということもありこの適応温度ではかなり軽い300gだが嵩張り・重さは段違い。
風がありかつ夜間でも気温は高く感じたのでこの簡易なものでいけそうな感触。今夜が最終の実地テストとなる。

相変わらず風は強いし早めに寝袋に潜り込んで明日のテクニカルチェックに備える。
初日ということもありサハラの夜を楽しむ声はそこかしこのテントから聞こえてくる。
ああ、MDSのビバーク。最高のホテルだと幸せな眠りについた。