2024年12月の記事一覧
チョコレイトで待ちながら
「チョコレイトいります?」
駅のホームでおそらく知らない女性に声をかけられた。
以前どこかで会った人なのだろうと頭をスクランブルエッグみたいにかき混ぜてどうにかこうにか、彼女を思い出そうとし、大抵そういった場合、僕はコミニケーションがちぐはぐになってしまう。
自責の念と、どうにかやり過ごせやしないかという助平ごころとがごちゃまぜとなって平静を装えないのだ。
彼女の方からどこそこあれこれの時はどうも
私たちブラウニーで会いましょう
「いまどきブラウニーを知らない人なんていないよ」
出会ったばかりの女性に笑われた。
その日は笑われてばかりだった。
はたしてそうだろうか。僕はそのブラウニーというものがそれほど世間に浸透しているとは信じられなかった。
適当に入った喫茶店。何度も前を通ったことがあったが、入るのは初めてだった。
流行のグループや映画を悉く知らない僕に最初は驚いて、それからけたけた笑い、覚えたほうがいいよ、その方が絶対