38回(4) ・・のに ・・にもかかわらず
▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼ (38)チガイがわかる・おもしろ日本語入門 ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や20年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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第38回 ◆ 第四章 上級編、文章の組み立てかた!
その4、 ・・のに ・・にもかかわらず
言葉を論理的につなげる方法、+ → +, - → - の場合の「・・から(ので)」、そして + → -, - → + の場合の「・・けど(けれど)」などについては、もうしっかりお分かりいただけましたよね。でも、ちょっと付け足すことがあります。
それは、+ → -, - → + という、二つの反対の事象や反常識的な感覚を表す、もう一つ別の方法です。
ふたたび食べ物で考えてみましょう(笑)!
「このレストランのビフテキは高い。でも(しかし)美味しくない」 とか、「あそこのカツ丼は美味しいけど(けれど)、量が少ない」(食いシンボ!)などです。
英語で言えば、この「でも」や「しかし」、「・・けど」や「けれど」は、いわば“but”や “however”に当たりますし、スペイン語では“pero”や“sin embargo”に相当します。 (ただし英語のコンマやドットと、日本語の点やマルの打ち方に違いがあることは、前にお話しした通りですね)
そしてこれら「でも」や“but”や“pero”などは、基本的に2つの事柄が真逆であることを表し、「高い」と「美味しくない」、「美味しい」と「小さい」を2つ比較して並べたにすぎません。つまりこの人は、2つの要素のどちらかに重点を置いているわけではありません。
しかし今回の「・・のに」、「・・にもかかわらず」は、
どちらかに重点を置き、それを明確な結論としたい時に使われます。
たとえば、
「このレストランのビフテキは高い。でも(しかし)、美味しくない」の例では、
もし“美味しくない”を結論にしたければ、
「・・・のビフテキは高いのに(or 高いにもかかわらず)、美味しくない」
また“高い”を結論にしたければ、
「・・・のビフテキは美味しくないのに(or 美味しくないにもかかわらず)、高い」
あるいは、
「あそこのカツ丼は美味しいけ(れ)ど、量が少ない」を例にとれば、
“量が少ない”を結論にしたければ、
「・・・のカツ丼は美味しいのに(or 美味しいにもかかわらず)、量が少ない」
また“美味しい”を結論にしたければ、
「・・・のカツ丼は量が少ないのに(or 量が少ないにもかかわらず)、美味しい」
と表現することになります。
最後の例でいえば、「カツ丼の量が少ない(あるいはカツが小さい?)」は一種の前提条件で、「美味しい」は結論と考えていいでしょう。(前回の「・・から、・・ので、・・けど(けれど)」も同じ意味合いで使われることがあります)
このように日本語の「・・のに」「・・にもかかわらず」では、初めに前提条件を提示してその後に結論を持ってきますが、英語などの場合は、通常それが反対になることに注意してください。
たとえば「・・のに」「・・にもかかわらず」は英語では“despite”や“even though”ですが「・・・のカツ丼は量が少ないのに(or 量が少ないにもかかわらず)、美味しい」は、“The katsudon at … is delicious, even though the portion is small.” と、順序を逆にしなければなりません。これは以前お話しした「・・から(ので)」の場合にも、“ …, because …” などと、同じように当てはまるのでご注意ください。
そう、これはとても重要なことです!
欧米語は大事なことを最初にもってきますが、日本語というのは基本的に大事なことを文章の最後にもってくるのです。つまり主語をのぞいて(これも時には最後に来ることがありますが)、動詞や形容詞、またその是非(肯定か否定か)、つまりは結論や主張などを最後の最後まで伏せておく、とも言えるでしょう。
たとえてみれば欧米語は『ニュース型』で、日本語は『劇場型』。ニュース原稿はリード部分で結論を述べ後で詳細を説明しますが、小説やドラマで最初に結末を言ったら誰も見なくなってしまいます(笑)。そう、もしかすると欧米語は実利的な報道タイプ、日本語はストーリーを楽しむ鑑賞タイプなのかもしれません。
ですから前にもお話ししたように、日本語を聞くにはかなりの忍耐力が求められるわけですが、同時に日本語で話す場合にも、ちょっとした訓練が必要となるでしょう。つまりまず自分の言いたいことや結論を想定しておいて、その理由や前提条件をうまくつなぎ合わせ巧みに構成しながら、最後の結論に結びつけていかなければなりません。
そう、いわば表現力や構成力が問われるわけで、
もしそれをうまく工夫できたら、ナルホド!の説得力を持つことでしょう。
よく結婚式などで長々とスピーチをする人を見かけます。目の前の料理を早く食べたい列席者の恨めしい視線もなんのその、意味不明のお話しはいつ終わるともしれません。こういう時は大抵、結論つまり落とし所が見つからずに探し続けているのです。(笑)
では、
☆☆☆《 今回の例文 》☆☆☆
3年間日本語を勉強したのに、コロナのせいで日本に行くことが出来なくなってしまいました。せっかく航空券を予約していたにもかかわらず、フライト直前でキャンセルになりました。でも今ではインターネットで日本の女友達が見つかり、チャットで漢字やひらがなやカタカナを使い、毎日楽しく日本語でお話ししています。
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さあ今回も学んだ単語を自由に使って、上の例文のような文章を書いてみて下さい。間違いなく、あなたの日本語力はグングン上達することでしょう。頑張りましょう!!
では、次回をお楽しみに!!
ーーー 次回は第39回 ◆ 第四章 上級編、文章の組み立てかた!
その5、《 仮定法 》 もし・・たら、れば、と、(なら、ても)
を、お届けするつもりです。
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タイトルは、『熟年夫婦のスペイン行き当たりばったり移住記』。私たちのなんとも無謀な移住の顛末と信じられないハプニングの数々がアレやコレや、次々登場します。その後のバルセロナでの生活にもふれています。ぜひ一度目を通してみて下さい。
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(日科技連出版社)〈こちらは一応ビジネスマン向けですが、やさしいです)〉 また姉妹編《マスターズ編》も出てます。書店になかったらお取り寄せください。
◎ 『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
〈中高校生向けですが、‘哲学’についても、やさしく解説しています〉
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