万人坑 ❹ (全5回)
(だいじょうぶ?ついてきてる?よく分からんてひとは❶〜❸まで読んでみてね)
【被害国政府から被害者への態度】
わたしは言うほど中国政府のことが分かってはいないけれど、中国で賠償を求める被害者が声を抑えられてしまうという話があり…加害国政府と被害国政府の「奇妙な結託」は他の場所でも起きていることで、どこか見覚えがあった。日本政府の被爆者への冷たさをみるような… 沖縄で基地米兵の横暴を野放しにし海を埋め立てる冷たさをみるような…
思い上がった加害者は「もう決着したことじゃないか」とか「そんなことは無かったことだ」と言ってくる。
加害者がよく言うセリフだ。常套句だ。いじめ加害者もDV加害者も性暴力加害者もモラハラーも皆ワンパターンで同じこと言う。
【歴史教育】
繰り返しになるが、この国では大日本帝国の戦時性加害を学ばない。触れても「ちょろっと」だけで、被害のほうがよっぽど強調されている。東京、広島、長崎、沖縄… 自国民の被害に対して冷たいのが日本国だが、他国民の被害にはもっと冷たいどころか「無かったことにしようとする」…それを今回あらためて思い出した。
また、歴史を振り返るにしてもワードとして「日清戦争」「日中戦争」…「戦争」つまり一方的な構図ではなく"同じ力を持ったものどうしの紛争"であるというイメージを想起するワードが使われている。これでは、青木さんの仰るように「これは資本家・企業家の金儲けのための一方的な侵略である」ことが覆い隠されて全く伝わらない。つまり歴史教育の仕方によって、著しい弑虐を隠してきた…ということだ。
【歴史修正主義について】
繰り返しになってしまうが、実家の祖父と父は「モラロジー」という宗教右派団体のメンバーである。この団体は戦時下の加害行為を無かった事にしようとする「歴史修正主義」運動を組織的に展開している。そんな家に産まれた私は尚のこと日本という国の加害性について真摯に向き合わなければならないという気持ちでいる。
モラロジーが主として行なっているのは「朝鮮半島」および「日本列島」内での戦時性加害の否定である。例えば徴用工や慰安婦といった個人の尊厳を悉く削り抜く加害行為を、実際に朝鮮半島の現地へ行って"文書"を揃えてまで矮小化したり妄執的にバッシングを行う。
一方で中国のことには触れもしない…。
とにかく無かったことにしたいのだ。第二次世界大戦において大日本帝国軍が行った数々の暴虐を、労働者としての権利を散々無視した酷使を、戦時性性暴力を、この人たちは無かったことにしたいのである。
こんな人々が政界に猛アプローチし、数々の議員と接触し癒着している。そんな国で、もしこの国が… 戦場になったとき、暴力に晒された我々をどんな風に扱うか、ありありと想像がつく。
労働力として酷使される男性たちを「金を貰っているのだから問題はない」と見捨てるのだろう。性奴隷にされた女性たちを「金を貰っていたのだから性暴力じゃない」となじるのだろう。