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2012-2015
キスするとき、彼のパーマのかかった少し長い後ろ髪を、クシャってするのが好きだった。
“それ好きだからもっかいして”って言う彼のことが好きだった。
すっぽり夕日におおわれたオレンジ色の道を手を繋いで歩く時間が好きだった。
その道すがら“たこ焼き買って帰ろうよー”と駄々をこねる彼のことが好きだった。
キャンパスで友達と笑い合う彼を見つけた一瞬が好きだった。
その私を見つけて小さく手をふる彼のことが好きだった。
彼の家まで行くその時間が好きだった。
駅まで迎えに来てくれて改札で待っていてくれる彼のことが好きだった。
差し込む朝日の中、ぐずる彼を起こすのが好きだった。
“好きだよ、だからもうちょっと”と私の手を引っ張って布団に一緒にくるまろうとする彼のことが好きだった。
休日、近所の小さなパン屋さんに一緒に行くのが好きだった。
川土手で一緒に食べる時間も、パンを頬張る彼の笑顔も好きだった。
彼が好きで、彼と過ごす時間が好きで、彼の口から紡がれる言葉1つさえも好きで、どんな一瞬でも愛おしくて、そんな彼と一緒にいるときの自分も好きだった。
楽しくて愛おしくて狂おしくて輝かしい日々。
もう戻ってはこない日々。
きっと私はずっと忘れることはないだろう。
ありがとう。
さよなら。
好きだよ。
さよなら。