第19回 コンピューター科学者の坂村健さんに聞く〜チャットGPTとどう付き合う?
今回のゲストはゲストは、コンピューター科学者の坂村健さん。坂村さんは2017年4月から東洋大学情報連携学部の学部長を務めている。学部の構想からIoT化された校舎まですべてを考え、学部長として、ネットワーク時代に対応した新しいイノベーションを起こせる人間を創出することを目的にしている。
情報連携学部のブランド名はINIAD(イニアド)。Information Networking Innovation and Designの略。従来の学問分野はネット社会誕生以前に作られたものだ、そこで、イニアドでは「文・芸・理」の融合を図った。 コンピュータサイエンスがベースにあり、プログラムを書けるようになるために基礎知識を学ぶが、そこからイノベーションを起こすにはチーム作りやダイバーシティ的な考え方が重要。 そして、失敗してもくじけず何度も挑戦することが大切だ。
東洋大学を創立した井上円了氏は哲学の先生であり、生涯教育の重要性を指摘していた。 そこで、東洋大学でも生涯教育が重要だと感じ、リカレント教育のために独自のプログラムを提供している。
社会人は、教科書に出てくる例題が難しく、それがハードルになっているので、所属企業の売上高データなどを使って、データ分析の授業なども行っている。
ChatGPTは革新的なAIであり、大学でもいち早く教育に取り入れようと準備をしていた。学生は自由にChatGPTを論文作成などに使うことができる。 もちろん、ChatGPTに限らず、文献や資料を使う場合は出典を明確にするのは当たり前だが、大切なのは引用する本人がそれについて理解し、納得していることが大前提になる。 大人として守るべきルールや主体性をもって使うのであれば、自由にChatGPTを使うことができる。
技術を社会で導入する際には制度設計やルール整備も重要。 道路交通法のように、AIに関する法律やルールを作る必要がある。
AIは完全ではなく、人間が確認しながら使っていく必要がある。
「生成系AIを使った幼児教育や大学生の質問対応は有用だと思う」と坂村さん。 AIは強化学習を使えば精度向上や誤り訂正が可能。 AI技術者はプロンプトエンジニアと呼ばれ、今後役割が期待されている。 坂村さんは「生成系AIは今後ますます普及し、様々な仕事に普通に使われるようになる」と断言。 「AIをどう使うかは人間が決めるべきであり、AIに自意識まで持たせることには反対だ」と言う。
坂村さんは「AIに関しては議論や意見交換が重要であり、まず自分で試してみてほしい」と強調する。
DXは最新の情報システムを導入して、仕事のやり方を変えること。 新しいテクノロジーを導入する際に、ガバナンス、セキュリティ、知的所有権などの制度も考慮する必要がある。 部署ごとにバラバラに電子化するのではなく、まずはルールや規則を決めてから一挙に導入することが重要。
町亞聖が総括。ChatGPTは「くたびれない変な人」。そのわかりやすい表現に町はいたく感激。
キャスターは町亞聖&相川浩之。
「翔べ!ほっとエイジ」は、YouTube(動画)と主要Podcast、stand.fm(音声)で配信。
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