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生徒会選挙を華麗にハックしよう!!|『オーシャンズ11』(3)

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テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「オーシャンズ11」をベースに新しい物語を妄想します。

※「オーシャンズ11」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「オーシャンズ11」は、高い専門性を持つ11人のプロ犯罪者がチームを組み、ラスベガスの金庫破りに挑むクライムサスペンス(ドキドキハラハラの犯罪もの)ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「泥棒・詐欺師の主人公が、高い専門性を持つ仲間とチームを組んでホストクラブの金庫を破る物語」、「隠居していた元泥棒・詐欺師がカムバックして、高い専門性を持つ仲間とチームを組み、パチンコ屋の金庫を破る物語」の2案でした。


案③


嘉村 「案③」にまいりましょう!

三葉 「案③」は、「高校生が、高い専門性を持つ仲間とチームを組んで、自分たちに不都合な生徒会長候補を落選させる物語」です。


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嘉村 ほぉ!

三葉 日本のマンガやアニメには、中学・高校を舞台にした「学園もの」が少なくありません。

嘉村 ふむ。

三葉 「では『学園もの』バージョンの『オーシャンズ11』を作るなら、それは一体どんな物語になるだろうか?」と考えたのが、この「案③」です!

嘉村 なるほど。

三葉 さて詳細をご説明する前に、ここで「オーシャンズ11」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。


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三葉 ……となります(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむ。

三葉 では「案③」に戻りまして……舞台は共学の高校。主人公は2年生です。

嘉村 ふむふむ。

三葉 彼は「不良」とは違いますが、マジメな堅物ではない。いわゆる「陽キャ」で、男友だちが多く、時には授業をサボって屋上で昼寝をしたり、校則で禁止されているアルバイトに精を出したり。また彼は卓球部の部長ですが、部員は彼を含めてわずか数人で、いつも部室にたむろっているだけだったり……まぁ、そんなキャラです。

嘉村 なるほど。

三葉 物語は、彼がサッカー部、野球部、バスケ部、陸上部など、各運動部の部長、総勢10人を卓球部の部室に集めるところから始まります。

嘉村 ほぉ。

三葉 一同揃ったところで、主人公が口を開く「忙しいところ悪いな。今日集まってもらったのは他でもない。2週間後に迫った生徒会選挙についてだ」。部長らから声が飛ぶ「生徒会選挙がどうしたんだ?」「会長なんて誰がなったって一緒だ。どうでもいいよ」。主人公は肩をすくめる「ああ、オレもそう思っていたよ。ところが事情が変わったんだ。会長に立候補しているのはAくんとBくんの2人だが、きみらはAくんの公約を知っているか?……Aくん、全運動部の部費を半分に減らすってよ」。

嘉村 おー、こりゃまた随分思いきった公約を掲げましたね。

三葉 Aくん曰く、「みんなの学校生活を充実させるための予算を、運動部ばかりに使うのはおかしいと思わないか?運動部員は全校生徒のわずか3割。その3割のために残りの7割が損するって……ダメだろ!」。

嘉村 なるほど。

三葉 サッカー部の部長がうなります「ふーむ……一理ある」。

嘉村 確かに。

三葉 Aくんはさらに続けて、「全運動部の予算を半分に減らそう。浮いたお金はみんなのために使うんだ。学食の値下げ、女子トイレの増設、古くなった体育館の修繕などだ」。野球部の部長がうなずく「理に適っているな」。主人公もうなずいて、「そうなんだ。とても理に適っている。多くの生徒が支持するだろう。公約は的を射ているし……それにAくんはイケメンだ。当選する可能性が高い。だが……実際に予算が半分に削られたら困るだろ?」

嘉村 まぁ、困るでしょうねぇ……。

三葉 バスケ部の部長が腕を組みます「うーむ、これは看過できぬ重大問題だ。ボールを買い替えようと思っていたのだが……」。他の部長たちも困惑する「うちはユニフォームを新調する予定だった」「うちだってそうさ。まいったなぁ」。

嘉村 ふむ。

三葉 陸上部の部長が訊きます「もう1人の候補……あー、Bくんだっけ?それはどんな男なんだ?」。主人公が答える「まぁ、普通だな。うん、普通の男だよ。地味でマジメなヤツだ」「公約は?」「毎朝校門の傍に立って、登校してくる生徒に挨拶をするそうだ」「会長自らが?」「会長自らが。明るい学校を作りたいってさ」「ふーむ……じつに……何ともいいがたいな」「そうなんだ」「そのBってのはイケメンなのか?」「まぁ、普通だな」「なるほど」「女子生徒からの人気は?」「蓼食う虫も好き好きって言うからなぁ」「ふーむ……」……とまぁ、到底Bくんに勝ち目があるとは思えない。

嘉村 ふむふむ。

三葉 つまり今回の計画は……そう!「ここに集まった運動部の部長11人がチームを組み、Aくんを選挙で敗北させよう」というものです。

嘉村 なるほど!

三葉 とはいえ、生徒全員を買収したり、脅したりするのは無理がある。つまり……投票後、開票までの間に投票用紙をすり替えるのだ!

嘉村 ふむ!「オーシャンズ11」の目標が「大金の強奪」であったのに対して、「案③」は「投票用紙の強奪・すり替え」ということですね。

三葉 はい。しかし、数年前の選挙で大規模な不正行為があり、それ以来教師や選挙管理委員会が非常に厳格なチェックを行っている。投票用紙をすり替えると言っても、そう容易いものではない。主人公は、10人の仲間にうなずきかけます「非常に難しい『仕事』になるだろう。ただし、ここにいる11人が力を合わせれば話は別だ。オレたちがチームを組み、各自の特技や人脈を活かせば……まぁ、何だってできる気がしないか?」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 かくして主人公を含む11人の仲間は、選挙管理委員会の動向を探ったり、選挙当日に投票用紙がどのように管理されるのか調べたりして……サッカー部部長の「ボールを蹴とばす力」や、野球部部長の「ボールを投げる力」、陸上部部長の「ダッシュ力」、バスケ部部長の「背の高さ」などをフル活用した作戦を練ります。

嘉村 なるほど。

三葉 そして準備を進める。

嘉村 ふむ。

三葉 途中、主人公には、「投票用紙の強奪・すり替え」以外に、もう1つ目標があることが判明します。すなわち、今回のターゲット・Aくんには彼女がいますが……それは、主人公の幼馴染なのです。

嘉村 ほぉ!

三葉 幼馴染は主人公を憎からず想っているのですが、いつまで経っても煮え切らぬ彼に痺れを切らし、Aくんの彼女になってしまった次第。かくして主人公は、「選挙に勝つ。あいつも取り戻す。どっちもやってやるさ」と決意したのです。

嘉村 なるほど。

三葉 そして選挙当日!

嘉村 いよいよですね。

三葉 主人公ら11人は見事計画を成し遂げ……数時間後、「Bくんが会長に選出されました」という校内放送が流れる。卓球部の部室で待機していた11人は黙って握手をかわし、1人ずつ部室を出ていきます。

嘉村 おー、カッコいい!

三葉 さらに、まさかの敗北にショックを受けたAくんが、「あんな女のことはどうでもいい!彼女!?ああ、確かにな!美人すぎず、優秀すぎない、ちょうどいい女だ。そんな女と付き合えばオレの評判も上がるだろ?だから彼女にしてやったんだよ!それなのに……クソッ!オレが敗北!?あの女が疫病神だったんじゃないのか?」と暴言を吐きまくっているのを幼馴染に聞かせることにも成功します。

嘉村 ひどい男だ……。

三葉 主人公は、憮然とする幼馴染に声をかけます「聞いたか?」「聞いた」「うん」「……私、男子を見る目がないのかな?」「そんなことないさ。運が悪かっただけだよ」「そっか……」「ところで……あー、オレのことはどう思う?」「……お節介なクソ野郎だと思う」「……お前、やっぱり男を見る目ないかもな」「うっさい!」。

嘉村 なるほど。幼馴染が戻ってきたわけですね。

三葉 とまぁ、そんなこんなで主人公は2つの目標を達成したのでした……おしまい!

嘉村 ふむ。

三葉 それでは、以上のストーリーを「オーシャンズ11」と比較する形で整理してみましょう。


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案④


嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。

三葉 はい。「案④」は「江戸時代の大泥棒が、高い専門性を持つ仲間と
チームを組んで悪徳商人の金庫を破る物語」
です。


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嘉村 江戸時代!

三葉 まずは、「オーシャンズ11」との対比表をご覧ください。


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三葉 ご覧の通り、「案④」は「江戸時代版の『オーシャンズ11』」です。

嘉村 ふむふむ。

三葉 基本的には「オーシャンズ11」と同じストーリーですが……「時代劇・時代もの」をフィーチャーしたキャラやシーンを盛り込むと面白くなると思うんですよ!

嘉村 ほぉ……どういうことです?

三葉 例えば、「忠臣蔵」!


三葉 「忠臣蔵」には、「赤穂浪士は、商人などに変装して吉良義央の屋敷の様子を探った」、「討ち入り直前に蕎麦屋の2階に集まり、最後の宴を開いた」、「討ち入りの日の天気は雪」、「討ち入りの時、吉良の屋敷にいた人びとは、赤穂浪士の格好などから火事が起きたと勘違いして混乱した」など、有名なエピソードがあります。これらをフィーチャーしたシーンを盛り込むとか。

嘉村 あー、なるほど。

三葉 あるいは、テレビドラマ「必殺」シリーズ!


三葉 同シリーズには、個性的なキャラがたくさん登場します。例えば「怪力キャラ」だけでも……素手で敵の体を二つ折りにする「畷左門(なわて・さもん)」、2本(あるいは3本)の指だけで敵の骨を外す「念仏の鉄」、心臓を握りつぶす「村雨の大吉」、そして首の骨を砕く「壱」など、バラエティ豊か!

嘉村 ほぉ!

三葉 そんな彼らをリスペクトしたキャラ、技を登場させると盛り上がると思うんですよね。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さらにまた、マンガやアニメをフィーチャーするのもいいですね。例えば……「るろうに剣心」!


三葉 ダイナマイトの爆風を使って空を飛ぶ「蝙也」をリスペクトしたキャラが登場しようものなら……胸アツでしょ!

嘉村 確かに。

三葉 とまぁこのように、「時代劇・時代もの」をフィーチャーしたキャラやシーンを「オーシャンズ11」風のストーリーに盛り込むことで、随分とユニークな物語になるのではないかと思うのです。


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 「オーシャンズ11」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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(担当:三葉)

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