映画「ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの戦い」のプロファイルと三幕構成!!
【本記事のまとめ】プロファイルシート
※本記事全体をコンパクトにまとめました。
概要
▶作品概要
・タイトル:ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの戦い
・監督:ジャスティン・リー
・制作年:2018年
・制作国:アメリカ
▶作品のテーマ・テイスト
・①舞台は昼なお暗い密林で、しかも②キャラは全員疲弊しきっている。ゆえに重苦しい感じ。
▶舞台
・時代:1944年12月
・戦争名:ヒュルトゲンの森の戦い(第2次世界大戦)
・場所:ヒュルトゲンの森(ドイツとベルギーの国境にある密林)
▶キャラ(主人公)
・名前:グレッグ・ファルコン
・所属、立場1:アメリカ陸軍の軍曹
・所属、立場2:レンジャー部隊の隊長として数人の隊員を率いる
・特徴1:長く苦しい戦いの中で、心身ともに疲れきっている
・特徴2:しかしそれでも部下を鼓舞したり、仲間を守るために危険な任務に立候補したり、隊長らしい言動が散見される
▶キャラ(副主人公)
・1:マイケル・ボストン・オライリー(レンジャー部隊の隊員。上等兵。グレッグ隊長の部下だが、上下関係はあまり感じられず、<戦友>という印象が強い。ただしグレッグ隊長と比べると精神的に脆く、時々自棄になったり、取り乱したりすることがある)
・2:レンジャー部隊のその他の隊員たち
・3:駐屯地の女性衛生兵たち
▶キャラ(敵対者)
・1:ドイツ軍
▶主人公の目標
・1:自分たちを捕らえているドイツ兵を倒し、どうにか帰還する。
・2:ドイツ軍の給油所を襲撃し、仲間(負傷兵や衛生兵)が退却する時間を稼ぐ。
・3:追撃してくるドイツ兵と戦い、彼らを倒しながら逃げ切る。
三幕構成で分析
以下、三幕構成に沿ってストーリーを整理します。
※注1:「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ🎥 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
※注2:以下の文中の「○分」という表記は、映画開始からの経過時間を意味しています。
第1幕
<1>
1944年12月、舞台はヒュルトゲンの森。ドイツ軍と戦うアメリカ軍の兵士たちは疲弊しきっていた。
・理由1:広大な密林地帯で攻めづらい。
・理由2:寒く、しかも雨が多い。
・理由3:ドイツ軍が徹底抗戦を挑んでくる。ゆえに戦いは長期化しており、終わりが見えない。
・理由4:多くの死傷者が出ており、兵力が不足気味。
・理由5:ドイツ軍の攻撃によって補給路が断たれてしまった。したがって物資が不足している。
アメリカ軍の兵士たちにとって、この森は<死の森>なのだ【オープニング/0分】。
<2>
物語冒頭、グレッグ隊長と部下4人は、ドイツ兵4人に捕まっている。彼らは森の中を歩かされ、やがて地面に穴(グレッグ隊長ら自身の墓穴)を掘るよう命じられた。
グレッグ隊長らは「タイミングを見計らって反撃に転じよう」と考える。だが、隙がない。ドイツ兵は油断なく銃を構えている。
そしてそうこうする内に、部下の1人が殺されてしまった!さらにもう1人!残りはグレッグ隊長、ボストン上等兵、ゴールドマンの3人である。
3人はもう我慢できぬ。決死の覚悟で攻撃に出た。彼らはシャベルやヘルメットでドイツ兵を殴り倒し、さらに指で眼球を潰す。
かくしてドイツ兵4人を始末したものの……戦いの中でゴールドマンが銃創を負った。重傷のようだ。グレッグ隊長とボストン上等兵はゴールドマンを担ぎ、駐屯地へ急いだ。
<3>
しばらくして、3人は駐屯地に到着した【インサイティング・インシデント/11分】。
衛生兵がすぐにゴールドマンの治療を行う。しかし……ダメだった。ゴールドマンは死亡。グレッグ隊長とボストン上等兵は肩を落とす。
そんな2人に女性衛生兵が声をかけてくれた。2人は女性衛生兵と話す内に、少しばかり元気を取り戻した。
<4>
その後、グレッグ隊長とボストン上等兵が体を休めていると……突如、駐屯地が砲撃を受けた【ファースト・ターニングポイント/31分】。
第2章前半
<1>
次々と砲弾が飛んできて、駐屯地が破壊されていく。
グレッグ隊長とボストン上等兵は慌てて伏せ、様子を伺った。どうやらこれは迫撃砲、つまり敵はすぐ傍から砲撃してきているようだ。
2人は素早く駆け出した。
<2>
2人は迫撃砲を撃っているドイツ兵3人を発見、見事に一掃した。
しかし……駐屯地に戻った2人は言葉を失った。多数の死傷者が出ていたのだ。駐屯地はいまや壊滅状態である。
<3>
それから少しして、駐屯地に大佐がやってきた。
大佐は、皆に戦況と今後の方針を説明した。曰く……①9km先にドイツ軍の給油所がある。②彼らはそこを拠点として、明日の朝にでもこの駐屯地に本格的な攻撃を仕掛けてくる見込みだ。③だが我々にはそれを撃退する力はない。ゆえに退却することになった。④退却まで時間に余裕がない。しかしいまから急いで準備をすればぎりぎり間に合うのではないかと思われる。
話を聞いたグレッグ隊長は提案した「我々レンジャー部隊が奴らの給油所を襲撃します。そして敵の動きを止めれば、皆が退却する時間を稼げるでしょう」【ピンチ1/39分】。
グレッグ隊長の提案は無謀だ。何しろ、ドイツ軍の駐屯地まで9kmもある。狙撃手や機関銃がどこから狙っているかわからぬ中を9kmも歩いていき、さらに給油所を襲うだなんて……!
だが、負傷兵や衛生兵が無事退却する時間を作るには他に手はなさそうだ。かくして大佐は苦しそうに頷いた「頼むぞ」。
<4>
グレッグ隊長とボストン上等兵、そこにアーチャー上等兵を加えた3人で、給油所を襲撃することになる。
3人は仲間から武器を受け取り、装備を整える(物資が不足しているためそうでもしないと装備が整わないのだ)。
第2章後半
<1>
やがて、3人は駐屯地を出発【ミッドポイント/51分】。周囲に警戒しながら森の中を進む。
<2>
しばらくして、ふいにアーチャー上等兵が撃たれた。狙撃手が潜んでいたのだ!狙撃手はアーチャー上等兵を目がけて銃弾を放つ。2発目!さらに3発目!
やがてグレッグ隊長が狙撃手を仕留めるものの……手遅れだった。アーチャー上等兵は既に死んでいた。
グレッグ隊長とボストン上等兵はショックを受ける。だがしかし、ここに留まっているわけにはいかない。2人は前進した【ピンチ2/60分】。
<3>
その後も、2人は森に潜むドイツ兵と遭遇。激しい銃撃戦の末、見事に打ち倒した。
なおこの時、ボストン上等兵が死にかけのドイツ兵を銃剣で執拗に刺した。極度の緊張ゆえだろうか、彼は錯乱気味だ。
グレッグ隊長がボストン上等兵を止める。グレッグ隊長は言った「俺たちは人間なんだ。ケダモノになってはいけない」。
<4>
やがて日が暮れる。2人は野営。
朝、2人は再び前進。そしてついにドイツ軍の給油所を発見した。ドイツ兵は7人。戦車が1台。そして戦車用の燃料(ガソリン?軽油?)が入ったドラム缶が並んでいる。
2人はタイミングを見計らって攻撃を開始した【セカンド・ターニングポイント/70分】。
第3幕
<1>
グレッグ隊長とボストン上等兵は燃料に火を点けるなどして、ドイツ兵3人を殺害することに成功。
しかし敵はまだ4人、こちらは2人。真っ正面から撃ち合っていては勝ち目がない。かくして2人は木を盾にして、じりじり後退していく。ドイツ兵は追いかけてくる。
2人は後退する、ドイツ兵は前進する……彼らは追いかけっこをしながら銃撃戦を繰り広げた。
<2>
しばらくしてボストン上等兵がナイフで刺され、さらに銃撃を受けた。重傷だ。ボストン上等兵は自力で立つことすらできない。
グレッグ隊長はボストン上等兵を背負って移動する。
だが……その後さらに狙撃を受け、ボストン上等兵は死亡。
<3>
グレッグ隊長はショックを受ける。しかしそれも束の間、彼もまた肩に銃撃を受けてしまった。
逃げなければ!
グレッグ隊長は重い荷物を捨て、地面を這いつくばって移動した。
<4>
だが、ドイツ軍はぐんぐん迫ってくる。しかも戦車までやってきた。
もうダメだ!
……と思ったその時、大佐率いる援軍がやってきた!【エンディング/85分】
大佐はドイツ軍に銃撃を浴びせながら、グレッグ隊長に言った「よく戻ってきた」。
<5>
グレッグ隊長はすぐに保護され、担架で運ばれた。そして、先の女性衛生兵と再会を果たした。
グレッグ隊長は問うた「皆は無事後退できたのか?」。女性衛生兵曰く「あなたたちのおかげで無事よ」【おしまい/86分】。
三幕構成(概要)
・第1幕:舞台は昼なお暗い密林。ドイツ軍と戦うアメリカ軍の兵士たちは疲弊しきっていた。グレッグ隊長やボストン上等兵も例外ではない。
・第2幕前半:「ドイツ軍が間もなく駐屯地に攻撃を仕掛けてくる」と判明。グレッグ隊長率いるレンジャー部隊3人は、仲間(負傷兵、衛生兵)が退却する時間を稼ぐために、ドイツ軍の拠点を襲撃することになる。大変危険な任務だ。
・第2幕後半:レンジャー部隊が出発。森に潜んでいたドイツ軍と交戦しながら前進。途中、隊員が1人死ぬ。
・第3幕:グレッグ隊長とボストン上等兵は、たった2人でドイツ軍の拠点を襲撃した。さらに、森の中を後退しながら戦闘を続ける。やがてボストン上等兵が死亡。グレッグ隊長ももうダメかと思われたその時、援軍がやってきた。なお、レンジャー部隊の決死の時間稼ぎの甲斐あって、仲間は無事退却できたそうだ。
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(担当:三葉)