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【時事】新しい「ベム」のキャラデザは、「鬼太郎」とは方向性が違う
クリエイターのためのニュース解説『クリエイターニュース』です。
<参考記事>
三葉「さて、『妖怪人間ベム』シリーズの新アニメの放送が決定したわけですが……」
清水「ええ」
三葉「清水さんは『妖怪人間ベム』シリーズをご覧になったことはありますか?」
清水「いや、見たことはないのですが……タイトルやキャラはなんとなく知っていますね。『懐かしの昭和アニメ』なんてバラエティ番組で見かけたのかな」
三葉「そういう人は多そうですね」
清水「ええ」
三葉「というわけで、そんなみなさんのためにスーパーウルトラシンプルに概要をまとめておきました」
清水「ふむふむ」
三葉「続いて、シリーズの歴史も振り返ってみましょうかね」
清水「はい」
清水「これが3度目のアニメ化なんですね」
三葉「最初が1968年の『妖怪人間ベム』。次いで、2006年の『妖怪人間ベム -HUMANOID MONSTER BEM-』。そして今回が『BEM』、と」
清水「1作目が放送された1968年は、『ジャンプ』や『オールナイト・ニッポン』が始まった年ですか……いやぁ、歴史を感じさせますね」
話題の『BEM』のキャラデザを見てみよう
三葉「さて、今回『BEM』の放送が発表されるや否や、そのキャラデザが大きな話題を呼びました」
清水「ふむ」
三葉「ということで、論より証拠、実際に見てみましょう」
▶ 1968年版のキャラデザはこちらのサイトから
清水「ああ。確かにこんな化け物みたいなデザインでしたね」
▶ 2006年版のキャラデザはこちらのサイトから
清水「へぇ、ここで結構現代的なキャラデザになったんですね」
▶ そして……今回の『BEM』のキャラデザはこちらのサイトから
清水「うっ!」
三葉「おー……」
清水「……マジか」
三葉「……」
清水「原形が残ってない……」
キャラデザ、超大幅アップデート!これは大胆……
三葉「うーむ……これはまた大胆にアップデートしましたねぇ」
清水「……これ、本当にベム、ベラ、ベロなんですかね。別の妖怪人間の話と言われたら納得してしまいそうなほどデザインが変わっているんですが……」
三葉「確かに」
清水「ベム(50代男性)は、『お前誰だよ』っていうレベルで超絶イケメンになってますし」
三葉「うーむ」
清水「ベロ(少年)は……ああ、そうか。どこかで見たと思ったら、褐色の肌や銀髪など、『ヨルムンガンド』のココに似ているんですね」
三葉「なるほど」
清水「そしてベラ(20代女性)は……完全に別人ですねぇ……」
『ゲゲゲの鬼太郎』のアップデートはどうだったか?
三葉「ところで……『続編制作にあたってキャラデザが大きくアップデートされた作品』といえば、『ゲゲゲの鬼太郎』が有名ですよね」
清水「ええ」
三葉「実は『妖怪人間ベム』と『ゲゲゲの鬼太郎』は、アニメ1作目が同じ年に放送されているんですよ」
清水「へぇ」
三葉「そういう意味で『同級生』ともいえるわけです」
清水「ふむ」
三葉「そこで、少しばかり『ゲゲゲの鬼太郎』について考えてみましょう」
清水「承知しました」
三葉「『ゲゲゲの鬼太郎』は第5シーズンに、キャラデザが大きくアップデートされましたよね」
清水「ええ、あれは大成功でしたね」
三葉「ほぉ、『大成功』ですか」
清水「特に『猫娘』。昔はちょっと不気味な顔をしていた記憶があるのですが、第5シリーズで一挙に現代風にアップデートされ、『あれ、かわいい……』と話題になりました」
三葉「かなり注目を集めたようですね」
清水「ええ、薄い本も出たりして」
三葉「へぇ」
清水「そして第6シーズンでは、キャラデザがさらにアップデートされました」
三葉「ふむ」
清水「とはいえ、『猫娘』はやはり『猫娘』なんですよ。美形になり、モデル体型になり、性格が妙に快活になっても、それでもしっかり原形をとどめている。これが重要だと思います」
三葉「なるほど」
キャラデザのアップデートは、リメイク・リブート作品の王道的手法
清水「『キャラデザのアップデート』それ自体は、リメイク・リブート時の王道的手法だといえます」
三葉「ほぉ」
清水「そもそもアニメは、『女の子がかわいければどうにかなる』という面がありますからね。リメイク・リブートにあたってキャラデザに手をつけるのは当然でしょう」
三葉「なるほど」
清水「また、これまた当然のことなのですが、いまのアニメーターが得意なのは『いま風の絵』です。半世紀前のキャラデザを再現するのはなかなか大変なことだと思います」
三葉「ふむ」
清水「つまり、作業コストの面からいっても、思い切ってアップデートした方が効率的だと考えられます」
【疑問】なぜ『BEM』は、『ゲゲゲの鬼太郎』や2006年版『ベム』とは違って、原形を残さないほどキャラデザをいじったのだろうか?
清水「つまり、今回のリブートにあたってキャラデザをアップデートするのは至極納得のいくことなのですが……」
三葉「『なぜ原形を残さないほど大きくいじったのか?』ということですね」
清水「ええ、そうです。例えば、改めて2006年版『妖怪人間ベムHMB』のキャラデザをご覧ください」
三葉「ええ」
清水「これ、結構よい按配だと思うんですよね」
三葉「ほぉ」
清水「1968年版と比べると現代風になっているものの、しっかり原形が残っていますよね」
三葉「確かに。少なくとも、『これ誰?……えっ、ベラ!?』ということにはなりませんね」
清水「そうなんですよ。『ゲゲゲの鬼太郎』や、2006年版のように、これまでの方向を維持しつつアップデートすることだってできたと思うんです。しかしそうでなく、原形がわからぬほどいじってきた……大変興味深いことだと思います」
三葉「なるほど。『BEM』が成功した場合、今後、リメイク・リブート作品を作る時に、キャラデザを大胆にアップデートする例が増えるかもしれませんね」
清水「そうですね。試金石になるかもしれません」
三葉「ティザーPVが随分シャレた雰囲気に仕上がっており、ストーリーや演出がとても気になる『BEM』ですが……『まったく新しいキャラデザがどこまで受け入れられるか』、『原形をとどめぬほどアップデートしたのは正解だったのか』といった点にも注目ですね」
清水「はい、放送が楽しみです」
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)
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