見出し画像

水滸噺 20年8月【怒髪天張藍】

あらすじ
燦燦黒騎兵    林教頭装いは目に余り
カンカン神機軍師 九紋竜お痛が目に余る
フレッシュ三銃士 永久に唱和し
巨大九紋竜    ただの出オチ 


すいこばなし 注意書き
北方謙三先生水滸伝,楊令伝何でもありな二次創作です。
・水滸伝の原典ネタは日常茶飯事、スマホにPCなど電子機器も飛び交うし、あの人が梁山泊で元気に生きていたりする、異世界からお届けします。
・原作未読の方でも楽しめるように、ネタバレを極力避けていますが、薄々感づいてしまう個所が垣間見えますので、その点はご注意ください。
楊令伝編で出てくる好漢は、すなわち水滸伝を生き残った者ということですので、未読の方はその点ご留意いただいた上でお読みください。
・作者のtwitterにて連載しています。 
・今月号、バックナンバーのご意見ご感想、リクエスト等々、こちらまで
 お寄せいただけると、とても嬉しいです!いつも助かっています!
・原作に興味を持たれるきっかけになったらこれ以上の喜びはありません。



それでは行ってみましょう! 

梁山泊

梁山泊…夏は暑い。調練も熱い。バカップルの諸々も、アツアツったらありゃしない。

騎馬隊

騎馬隊…隊長のセンスはあらゆる部門ではちきれているらしく…

人物
林冲(りんちゅう)…戦のセンスは右に出る者はいない。その他のセンスの酷さもまた然り。
索超(さくちょう)…青が好き。着物も青地が多いし、オーラカラーもどことなく青っぽい。
扈三娘(こさんじょう)…持ち物や衣類へのこだわりは特にない。もったいないったらありゃしない。
馬麟(ばりん)…落ち着いた色が好き。一度鮑旭にコーデを任せてみたら、やたらおどろおどろしかったという。
郁保四(いくほうし)…気に入った着物は色々あれど、身体がデカすぎて着れない。

1.
林冲「郁保四には」
郁保四「なんですか?」
林「アンチはいないのか?」
郁「はい?」
索超「郁保四アンチとは」
馬麟「確かに想像が難しいな」
郁「どういう意味ですか?」
索「お前を嫌う奴はなかなかいない、という意味さ」
馬「良いことであることは違いないな」
扈三娘「…」
郁「照れますね…」

林「それは一概に言えんぞ、郁保四」
郁「何故です?」
林「アンチがいないと言うことは、ファンもつきにくいという事さ」
索「なるほど」
馬「それも一理あるな」
郁「よく分かりません」
林「人気者には得てしてファンと同じくらいアンチがいるのだ」
索「つまり、アンチがいてこそ人気も出るのさ」

馬「例えば張藍殿は林冲殿のアンチ筆頭で、ファンの急先鋒だろう?」
郁「そういう事ですか」
林「なんだと、馬麟!」
馬「仲睦まじい二人の関係を長続きさせるには、多少歪な方が良い」
郁「なるほど…」
扈「張藍の話を聞いていると、林冲殿の大好きが溢れていますよ」
索「それを屈折させるのだな」

林冲…ファンが多すぎるからこそ暗殺の標的になるのだ。
索超…それはアンチではなく敵だ、林冲殿。
馬麟…公孫勝の気を感じていたが、黙っていた。
扈三娘…張藍によく連れ出されては、林冲の罰ゲーム企画のブレストを付き合わされている。
郁保四…人気投票でランクインしない程度の人気に不満あり。

本隊 

本隊…結局戦の大将とか軍師とかやってても、男はみんな子供なのだ。

人物
関勝(かんしょう)…子供おっさん筆頭。宣賛のえかきうたを考えるのに一日費やした。
呼延灼(こえんしゃく)…堅物おっさん筆頭。プライベートと仕事の切り分けが下手くそすぎる。
穆弘(ぼくこう)…ブラコン隊長筆頭。穆春にちょっかい出したら凄まじい勢いで突撃してくる姿は没遮攔(ぼっしゃらん)以外の何物でもない。
張清(ちょうせい)…嫁好き隊長筆頭。瓊英(けいえい)がエイプリルフールで宋軍に行きましょうって言ったら、否応なく寝返る準備を初めて驚いたという。
宋万(そうまん)…巨漢隊長筆頭。組打ちでは突きが重い。
杜遷(とせん)…ナイスミドル隊長筆頭。組打ちでは寝技の名手。
焦挺(しょうてい)…横綱隊長筆頭。組打ちでは投げ技の名手。ただ戦だと弱気になりがち。
童威(どうい)…ニコイチ隊長筆頭。童猛がうっかり髭を剃った時は、会う人会う人のリアクションが一緒で鬱陶しかった。
李袞(りこん)…部下好き隊長筆頭。項充の飛刀と李袞の飛槍を収納する団牌を発注中。
韓滔(かんとう)…作者の推し筆頭。扈三娘のみならず、働いている女性陣の恋愛相談でオフの予定はいっぱいだという。
彭玘(ほうき)…安定将校筆頭。誰とでも上手く人間関係を構築できるのも、代州での居酒屋放浪の賜物。
丁得孫(ていとくそん)…蛇嫌い将校筆頭。張清のいたずらで、蛇の人形を寝床に収納された時は本気で袋叩きにした。

2.
関勝「出たな宣賛!」
宣賛「返り討ちです!」

呼延灼「なにをしているのだ、あの二人は」
穆弘「砂をかけあっているな」

宣「覆面ディフェンス!」
関「おのれ!」

呼「なあ、穆弘」
穆「宣賛につこう」
呼「ならば俺は関勝」

関「覚悟!」
宣「しまった!」
穆「砂に遮られろ、大刀!」
関「!?」

関勝…金翠蓮に叱られながら宣賛の着物の洗濯をさせられた。
宣賛…覆面がほこりまみれになってくしゃみが止まらない。
穆弘…片目にモロ食らい悶絶。
呼延灼…彭玘と郭盛に見られて我に帰った。

騎馬隊&遊撃隊

騎馬隊&遊撃隊…男同士の格付けは、些細な事のようでその後の関係性を決定づけるから迂闊なことはできないのだ。

3.
林冲「おい、史進」
史進「なんだ、林冲殿」
林「…今なんと言った?」
史「林冲?」
林「今言った言葉を聞いている」
史「!」
林「林冲?」
史「…」
林「…」
史「…殿」
林「言ったことを忘れるな」
史「一生の不覚だ…」
林「二度と言わんからな」
史「…」

馬麟「嬉しそうな顔を」
扈三娘「?」

林冲…殿をつけろよ、デコ助野郎!
史進…陳達と話す時だけ呼び捨てにしまくっている。

馬麟…大事なことなのだ、扈三娘。
扈三娘…男は分かりません…

重装備部隊 

重装備部隊…空軍を設立したいが、空を飛ぶのに精いっぱいで攻撃ができない。ミサイルとか打てるようになるには宋の時代では早すぎるよね。

人物
李応(りおう)…凌振の大砲で吹き飛んで飛べるようになった。矢も避けられる。
解宝(かいほう)…あだ名は双尾蝎(そうびかつ)。さそり座の男らしい。

4.
李応「空は飛べるようになった」
解宝「李応殿だけだ」
李「二人目がほしい」
解「そりゃ欧鵬だろうな」
李「摩雲金翅だからな」
凌振「砲手冥利に尽きるぞ」
魏定国「しかし、大砲以外で空を飛ぶ方法は無いのか?」
李「それは思う」
解「ふっとぶ瞬間はいつもヒヤヒヤするぜ」
李「模索してみよう」

欧鵬「この時ばかりは摩雲金翅のあだ名が憎いぜ」
李「今更変えられんだろう、欧鵬」
欧「まあな」
解「このスーツを身にまとえ」
欧「飛べそうなスーツだ」
凌「大砲は使わんのか?」
魏「この崖から飛び降りて飛ぶのだ」
欧「着地の練習がしたい」
李「想像で済ませろ」
欧「…じゃあ飛んでみるか」

欧「鳥のように羽ばたけばいいんだな?」
李「そうだ」
解「上手く風に乗れよ」
欧「あばよ!」
魏「飛んだ!」
解「急降下してるぞ!」
李「羽ばたけ!欧鵬!」
欧「!!」
凌「なんだ!」
李「凄い…」
解「風を友にしている…」

欧「…」
花栄「!!」
欧「俺だ!花栄殿!」
朱武「撃墜するな!」

李応…空を飛ぶ練習中。着地で足首を痛めた。
解宝…俺は副官だからあえて飛ばないのさ。
凌振…まだ体重制限に引っかかっている。
魏定国…関勝殿は飛びたがりそうだな。
欧鵬…さすがは摩雲金翅。花栄の矢をかろうじて躱した。
花栄…害鳥かと思った。
朱武…取り違えるな、花栄。

二竜山 

二竜山…曹正がソーセージを作りすぎて、朝・昼・夜のバイキングでも消費できなくなりつつあるという。

人物
楊志(ようし)…楊令ともどもソーセージに飽きつつある。
秦明(しんめい)…もともと祭りの料理ではないのか?
解珍(かいちん)…ついに秘伝のタレを市販で売る許可をだしたらしい。
郝思文(かくしぶん)…娘の郝嬌が解珍直伝の男女の知識を周囲の子供たちに吹聴して回っていると聞き、目の色を変えた。
石秀(せきしゅう)…太ったり元に戻ったりを繰り返した経過が公孫勝にばれ、指導の手紙が届いた。
周通(しゅうとう)…あだ名は小覇王(しょうはおう)。項羽の小さい奴か、孫策のどっちですかと部下に半笑いで聞かれた。
曹正(そうせい)…ソーセージ以外の肉料理のレパートリーもあるけど、ソーセージほどのインパクトがない。
蔣敬(しょうけい)…暗算の達人。口頭でもフラッシュ暗算でもどっちもいける。
李立(りりつ)…掲陽鎮にいた頃は李俊のよき補佐役。人を見る目はさすがの催命判官(さいめいはんがん)
黄信(こうしん)…二竜山でも双頭山でも兵の評価は高くないと愚痴りたおしている。そういうところなんだってば。
燕順(えんじゅん)…地味に見えるが、一喝する時の咆哮は今なお錦毛虎(きんもうこ)と呼ばれる所以。
鄭天寿(ていてんじゅ)…イケメンで優しくても血の気は多い。王英にキレた時は燕順でも手におえなかった。
郭盛(かくせい)…方天戟の素振りは欠かさない。小旗に楊令の似顔絵があるらしい。
楊春(ようしゅん)…冗談が分からないわけではないが、史進の下ネタは大嫌い。
鄒潤(すうじゅん)…普通に話しかけてきた扈三娘に対してすごく複雑。
龔旺(きょうおう)…郝瑾と仲良し。飛槍の相棒になってほしい。

5.
石秀「豚め!」
曹正「なんだ、石秀」
石「お前も豚だが、今罵った豚は残念ながらお前ではない」
曹「豚にも俺にも失礼な野郎だ」
石「豚にもお前にも礼などいらんだろうが、豚め」
曹「豚で悪態をつくのをやめろ、石秀」
石「ならば豚が豚をソーセージにするのはどうかと思うぞ、曹正」
曹「野郎…」

石秀…楊志が遠巻きに笑ってたのが気になる。
曹正…指導してくれ、楊志!

6.
楊志「曹正は太っているな」
曹正「…だからなんだ」
楊「言ってみただけだ」
曹「…」

楊令「曹正殿は太っていますね!」
曹「だからなんだ、楊令」
令「言ってみただけです」
曹「…」

曹「そんなに太ったかな?」
石秀「豚が痩せたら売り物にならんだろうが」
曹「これは脂肪ではない、筋肉だ!」

曹正…脂肪と筋肉のハイブリッド。
楊志…夏は暑苦しいよな、曹正。
楊令…夏は暑苦しいです、曹正殿。
石秀…なんだかんだで太り気味。

双頭山 

双頭山…主張が強い総隊長とエッジの利いた個性派の部下揃い。もうBクラスではなくなった。

人物
朱仝(しゅどう)美髯公(びぜんこう)といえば髭。周囲を翻弄する機能を持ち合わせている。
雷横(らいおう)…朱仝の髭にキレたら触り心地がとげとげしくなった。
董平(とうへい)…彼もクセが強く自己主張も強い。バンドメンバーもきりきり舞い。
宋清(そうせい)…無口なだけで言うときは言う。その時は宋江ですら黙りこくる。
孟康(もうこう)…ひ弱に見えるけどやるときはやる。スカウトした時、皇甫端はしばらく眠れなかった。
李忠(りちゅう)…控えめだけど見るところは見ている。義足の損耗ご用心。
孫立(そんりつ)…バンドメンバーライブ時の留守番係。その時に磨いた技巧とは?
鮑旭(ほうきょく)…冷静沈着で安定感抜群でも、血化粧をしたら豹変。
単廷珪(たんていけい)… 当たるとねばねばする矢をあみ出した。現状ねばねばするだけ。
楽和(がくわ)…弾き語りもできる。ソロコンサートでもいけると思う。

7.
朱仝「気を抜くと髭が伸びるのだ」
雷横「どれくらい?」
朱「これくらい」
雷「伸びすぎだろう!」
宋清「縮めることはできんのか、朱仝」
朱「出来たら苦労せん」
雷「引っ張って手離したら縮まんか?」
朱「メジャーではない!」
宋「やってみよう」
朱「やめろ!」

雷「伸びるだけ伸びて戻らん」

朱仝…髭を断つのにすごく苦労した。断った髭はカツラにして再利用しよう。
雷横…剣が毛だらけになってすごく気持ち悪い。
宋清…朱仝の髭を繊維にできないか侯健に相談してみた。

8.
雷横「なんという剣だ…」
朱仝「髭だらけになってしまったが仕方がない」
雷「こんな剣で聚義庁に行くのか」

晁蓋「おう、朱仝、雷横」
呉用「梁山泊は初めてだな」
朱「なんと居心地の良い」
雷「全くだ」
呉「お前らの剣についているのは?」
朱「それは…」
雷「朱仝の髭だ」
呉「髭?」
雷「髭」

朱「俺の髭が異様に伸びてな」
晁「なんと」
呉「…」
雷「俺たちも困っているのだ」
楊志「晁蓋殿!呉用殿!今参った」
呉「おう、楊志」
晁「楊志!」
楊「何か?」
晁「朱仝の髭を吹毛剣で断ってくれ!」
楊「朱仝と雷横か?」
朱「おう、楊志」
雷「とんだ初対面だな、楊志」
楊「家宝なんだが…」

晁「髭も断てなかったら吹毛剣とは言い難いぞ」
楊「そうですが」
呉「室内でやらないでください」

朱「程々の長さに断ってくれ」
楊「吹髭剣ではないのだが」
雷「ものは試しだ、楊志」
楊「これくらいでいいか?」
朱「頼む」
楊「!?」
晁「これは!」
楊「なんと柔らかな髭だ!」
雷「断てんの?」

朱仝…侯健が目の色を変えて髭を欲しがっただと?
雷横…さすが美髭公。
晁蓋…吹毛剣では髭は断てんか。
呉用…朱仝と雷横の剣では断てたのでは?
楊志…吹毛剣が斬るものを選んでいるのかな。

9.
侯健「こんな素材が双頭山で見つかるとは思わず飛んできた」
朱仝「わざわざご苦労、侯健」
雷横「そんなにいい素材なのか?」
侯「黒い絹だぞ、これは」
宋清「織物にしようか」
朱「しかし織物を作るほどの量は取れんぞ」
侯「なんだと、朱仝!」
雷「待て、侯健」
宋「目の色が違う」
侯「当然だ」

朱「緊張すると伸びんな」
侯「捻り出せ、朱仝!」
朱「善処はしているが…」
雷(侯健ってこんな奴なのか?)
宋(プロならば誰しもこうなるのでは?)
侯「あともう一尋欲しい」
朱「!」
雷「どうした、朱仝?」
朱「髭切れだ…」
侯「なんと」
朱「ストックまであと一月かかる」
雷「プリンターかよ」

侯「この量では着物は作れん」
朱「何が作れそうだ?」
侯「筵とか草履なら作れそうだ」
雷「髭筵に髭草履か…」
宋「あまり使いたくないな」
侯「人形の髪で使うのはどうだろう」
朱「なるほど」
雷「用途として自然かな」

馬桂「李富様」
李富「…」
馬「あなたの人形の髪が伸び放題です」
李「…」

朱仝…髭繊維は日光に当てると妙に伸びるとクレーム多数。
雷横…俺の虎髭に価値はないのか。
宋清…だてに美髭公を名乗っておらん。
侯健…息子のおもちゃでつけ髭を贈った。

李富…馬桂に似合っていると思ったのだが。
馬桂…婆惜の呪いかと思いましたよ。

10.
董平「それでは留守番を頼んだぞ、孫立」
孫立「待ってくれ、董平殿」
董「孫立?」
孫「俺も風流喪叫仙に入れてくれ」
楽和「義兄さんも?」
鮑旭「しかし、留守を守る者が…」
孫「お前らばかりずるいぞ!」
馬麟「気持ちは分かる」
董「ならば楽器は何ができるのだ?」
孫「これだ!」
楽「ギロ?」

孫「いざ!」
董「…」
孫「♪〜ギロ〜♪」
鮑(悪くない)
馬(風流とは少し違うが…)
楽(我らの楽曲のレパートリーは広がりそうだ)
董「悪くない、孫立」
孫「ならば…」
董「ただ一つ問題がある」
孫「それは?」
董「風流喪叫仙のどこにお前を加える?」
孫「!」
鮑「病風流喪叫仙…」
馬「嫌だな」

楽「風流喪叫仙病…」
董「俺たちのガチ勢がかかる病みたいだ」
孫「風流喪叫仙尉遅…」
董「尉遅敬徳もびっくりだ」
孫「ならば…」
鮑「やはり、孫立殿は守りを堅めてもらうか…」
孫「恨むぞ、鮑旭」
董「ならばギロでソロデビューしろ、孫立!」
楽「なるほど!」
馬「それだな」
孫「話が違う!」

孫立…魂のギロデビュー。技巧に圧倒されるが、一回聴けばいいレベル。
董平…孫立のギロは合わせにくいな。
楽和…私たちにあまり合わせる気ないところは姉さんに似てます。
鮑旭…バンドの楽器じゃないですよね。
馬麟…そういうところあるよな、孫立。

11.
董平「風流双槍将らしいことをするぞ」
楽和「それは?」
董「派手な旗を背に掲げて出陣する!」
楽「山で戦う時にすごく邪魔では?」
董「分かっている」
鮑旭「槍に旗をつけては駄目なのですか?」
董「郭盛が方天戟に小旗をつけているからパクリになる」
楽「目立ちたいのですか?」
董「すごくな」

董「!!」
孫立「なんて書いてあるんだ?」
鮑「英雄双槍将?」
楽「風流万戸侯?」
孫「知府の娘に取り憑かれたのか、董平殿?」
董「やかましい!」
孫「!」
鮑「速い!」
董「董一撞とも呼べ!」
楽「一撃の董?」
董「これで兵の士気も上がるだろう!」
楽(どうかな)
鮑「では山に帰りましょう」

董「待て!みんな!」
孫「思いっきり木に引っかかってますな、董平殿」
鮑「一撃の董が最後尾じゃ示しがつきませんよ!」
董「おのれ!」
楽(言う時は言うよな、鮑旭)
董「旗が折れる!」
孫「縁起でもない…」
董「めんどくさい!」
鮑「董平殿!」
楽「破り捨てた…」
董「旗手の旗を派手にする!」

董平…たまに奇抜な事をやっては周囲を困惑させる。英雄双槍将はみたまんまの意味。風流万戸侯は風流な一万戸抱えた男って意味だと思うよ。
孫立…一撃の董の一撃は重いが、旗は軽いのな。
鮑旭…たまにドラムでアドリブ入れててんてこ舞いになるんですよ。
楽和…隊長のフォローは結構大変だよな。

流花寨

流花寨…花栄の妻は花栄と会話しただけで射たこともないのに弓がすこぶる上達したという。

人物
花栄(かえい)…弓矢以外の特技?顔か?
朱武(しゅぶ)…陣形以外の知識?史進の弱みか?
孔明(こうめい)…諸葛亮以外のそっくりさん?諸葛亮に似てるなんて恐れ多いぜ。
欧鵬(おうほう)…鉄槍以外の得意武器?板斧を練習中だ。
呂方(りょほう)…気配が分かる以外の特技?占いをしてやろうか?
魏定国(ぎていこく)…瓢箪矢以外の武器?効果的な地雷の配置とかどうだ?
陶宗旺(とうそうおう)…石積み以外の兵器?投石とかいかがですか? 

12.
花栄「騎射がしたい」
朱武「あいにく騎馬隊が走り回るスペースは、流花寨にない」
花「馬に乗ってそっくりかえって十連射したい!」
朱「立ってそっくりかえれば良いではないか」
花「馬に乗らんとかっこ悪いだろう」
朱「駄々をこねるな、花栄」

孔明「朱武もあまり分かってないよな」
欧鵬「ああ」

花「ならばお前が馬になれ、朱武」
朱「馬に変わる物を用意しよう」
花「なんだこれは」
朱「ロデオマシンだ」
花「そういうのではない!」
朱「百里風の動きを再現できると言ったら?」
花「…やぶさかではない」
朱「一度やってみろ」
花「最高難度で頼む」

孔「結局ちょろいな、花栄殿」
欧「…」

花「百里風モード!」
朱「いけ、花栄!」
花「何という暴れ馬だ!」
朱「的はあっちだ」
花「林冲はこんな馬に乗っているのか!」
孔「乗りこなすだけで一苦労ですな」
花「射るぞ!」
朱「外すなよ」
花「!!!!!!!!!!」
欧「すげえものを見た…」
朱「当てたのか」
孔「…花栄殿?」
花「降りれん!」

花栄…両手が塞がっててオフボタンを押せなかった。
朱武…弾き飛ばされそうで近寄れなかった。
孔明…リモコンはないのか、朱武?
欧鵬…コンセント引っこ抜いたら花栄が吹き飛ばされた。

聚義庁

聚義庁…夏は暑いが聚義庁の激論もまた熱いらしく…

人物
晁蓋(ちょうがい)…キノコだと言っているだろうが!
宋江(そうこう)…タケノコこそ至高だ!
盧俊義(ろしゅんぎ)…アルフォードではないのか!
呉用(ごよう)…カントリーマームです!
柴進(さいしん)…どうでもいいけどマカロン食べたい。
阮小五(げんしょうご)…おっとっとが好き。
宣賛(せんさん)… 金翠蓮のパウンドケーキが好き。

13.
晁蓋「暑いな…」
呉用「さっきから暑いしか言っていませんよ、晁蓋殿」
晁「暑いものは暑いのだ!」
呉「暑いと言うのを禁止します」
晁「なに!」
呉「言う度に書類仕事を一刻です」
晁「ならばお前もしまったを禁止しろ、呉用!」
呉「…いいでしょう」
晁「すぐに言うお前が目に見えるぞ、呉用!」

晁「…」
呉「…」
阮小五(また子どものようなやりとりを)
呉「し…」
晁「なんだ、呉用?」
呉「やってしまった…」
晁「もう言ったか、呉用」
呉「言ってません」
晁「やって…?」
呉「しまった!」
晁「ちょろいな、呉用」
呉「!」
晁「一刻走るのだ」
呉「死にます」
晁「ペナルティだ、呉用!」

晁「呉用はちょろいな、阮小五!」
阮「油断は禁物ですよ、晁蓋殿」
晁「今なら思う存分暑いと言えるぞ」
阮「…やめた方が」
晁「暑いな!」
阮「…」
晁「何という暑さだ!」
阮「…」
晁「暑いったらありゃしないな!」
呉「…何回言った?」
阮「三回ほど」
晁「!」
阮「だから言ったでしょう…」

晁蓋…あついとはこの書類のことだぞ、呉用!
呉用…奇しくも晁蓋殿がため込んだ書類ですな。
阮小五…律儀に走ってきたのか、呉用殿。

14.
宋江「梁山泊絶叫王選手権を行う」
呉用「霹靂火の優勝では?」
盧俊義「秦明はシードだ」
宋「始めるぞ」

史進「…」

宋「シャウト!」

史「キャストオフ!!!」

呉「史進は叫びましたが」
盧「客はノーリアクションだな」
宋「退場」

林冲「…」

呉「なんですかあの着物は」
盧「ハートマークの片方か?」
宋「シャウト!」

林「張藍!愛しているぞ!!」

呉「史進とは違う意味で羞恥をかなぐり捨てたか」
盧「張藍殿は?」
宋「ハートマークのもう片方の着物を着ている」

張藍「…」
扈三娘「行かないと、張藍」
張「笑わないで」

秦明「…」

呉「総大将の登場です」
盧「耳栓は禁止だぞ」
宋「シャウト!」

秦「公淑!いつもありがとう!!」

呉「染みるシャウトですね」
盧「これは優勝だ」
宋「二竜山の方角に雷が落ちたぞ!」

解珍「…死ぬかと思った」
陳娥「解珍殿」
郝思文「また嬌にいらぬことを教えようとしましたね」

宋江…李逵!やってみてくれ!
盧俊義…清々しいな。
呉用…さすが霹靂火。

史進…着物は徹夜して作った自信作。

林冲…二人壇上に立ったら妙な空気になった。
張藍…見ないで…
扈三娘…珍しく笑った。

秦明…すっきりした。
解珍…また井木犴夫妻に叱られた。
郝思文…解珍殿!
陳娥…反省文を。

15.
宋江「梁山泊スイカ割り大会だ」
呉用「粒ぞろいですな」
盧俊義「朱富の部下が丹精込めて作ったスイカだ」
呉「所々熟れた桃が置いてあるのは?」
宋「史進だ」
呉「史進…」
盧「スイカの収穫祭と懲罰を兼ねているのだ、呉用」
呉「つまりどこかに本物が紛れ込んでいると?」
宋「詳細は差し控える」

林冲「…」
公孫勝「…」
関勝「…」

呉「数多の参加者が得意武器を持参して参加していますが…」
宋「スイカへの敬意だ」
呉「でも史進が…」
盧「皆、スイカの気は覚えたな!」
宋「目隠しをしろ!」
呉「…何も言いますまい」
盧「それでいい」
宋「桃に擬態した史進が最高得点だ!」
呉「なぜ?」

宋「出陣!」
呉「将が解き放たれましたな…」
盧「スイカを愛でるのが主目的だからな」
呉「史進は?」
宋「ボーナスゲームだ」

秦明「!!」
桃「!」

呉「秦明が粉砕したのは?」
宋「擬態史進だな」

林「…」

呉「林冲が桃に狙いを…」
盧「今動かなかったか?」
宋「結末やいかに」

林「!」

宋江…見応えがあったな。
盧俊義…紙一重か…
呉用…双方見事でした。

林冲…惜しかった…
公孫勝…致死軍の剣でスイカを切り分けた。
関勝…青龍偃月刀でスイカを真っ二つ。
秦明…狼牙棒で史進人形を木っ端微塵。

史進…二度とやりたくない…

三兄弟 

三兄弟…殺戮現場を目撃すると悪魔にしか見えないが、食事現場を目撃するとお袋にしか見えない。

人物
魯達(ろたつ)…長男。片腕の変わりは二人の弟分。
武松(ぶしょう)…次男。手のひらは、鍋焼きうどんを素手で持てるほど分厚い。
李逵(りき)…お袋。兄貴分の無茶ぶりには飯抜きで対抗。

16.
李逵「見てろよ燕青」
燕青「…」
李「こうして!」
燕「…」
李「こうやって!」
燕「…」
李「こうだ!」
燕「…」
李「分かったか?」
燕「…速すぎて分からん」
李「そうか」
燕「やるだけやってみる」
李「お!」
燕「こうして!」
李「よし!」
燕「こうやって!」
李「いいぞ!」
燕「こう!」

李「使えてるじゃねえか、燕青!」
燕「これでいいのか?」
李「板斧はこうやって使うのさ」
燕「李逵の真似だよ」
武松「…」
燕「武松は使わないのか?」
李「兄貴は駄目だ。持ち手を粉砕しちまう」
武「…」
燕「もっと大きい板斧ならいけるのか?」
李「あれならいいかもしれねえけどな」
武「…」

武「…」
燕「なんという大斧だ…」
李「こんな兄貴とは立合いたくねえな…」
武「!!」
燕「なんという風…」
李「ひとたまりもねえや…」
燕「その大斧はどこから?」
武「李逵が」
李「断罪用さ」
燕「断罪…」
李「料理用や戦用もあるぜ」
燕「…料理にしてくれ、李逵」
李「よしきた」
武「…」

李逵…板斧は色々使い分けている。
燕青…やたら器用だから何となくでも板斧は使えた。
武松…うっかり料理用の板斧を粉砕した時は、ひと月拗ねられた。

17.
李逵「なあ、大兄貴」
魯達「どうした」
李「みんな仲良くするってのはできねえのか?」
魯「…無理だな」
李「大兄貴でも?」
魯「無理だよ」
李「なんでだい?」
魯「…恨みが深すぎるからな」
李「敵の?」
魯「いや、俺のだ」
李「…大兄貴のか」
魯「その恨みに任せて人に言えぬ事をしたからな」

李「俺は母者を食った虎が憎かった」
魯「…」
李「でも殺した時にかわいそうな事をしたと思ったんだ」
魯「…優しいな、李逵は」
李「母者のためだと思ってたけどよ、虎を殺しても、母者は喜ばねえ」
魯「…」
李「だから俺は、これからは母者の喜ぶようなことがしたいと思ったんだよ」
魯「立派だ」

李「俺はただ、仲間で仲良く暮らせればいいんだけどな」
魯「それを許さぬ者がいるのが人の世だ」
李「…難しいな、大兄貴」
魯「難しくするのもまた人間さ」
李「キリがねえな」
魯「そうだな」
李「…飯にするぜ」
魯「頼む、李逵」

魯達…それは誰の分だ、李逵?
李逵…虎の分だよ、大兄貴。

養生所&薬方所

養生所&薬方所…強そうに見える将軍連中が意外な弱さを露呈する現場らしい。

人物
安道全(あんどうぜん)…関勝は苦い薬に大量のオブラートを要求するぞ。
薛永(せつえい)…呼延灼殿は注射する時に筋肉が邪魔して一苦労です。
白勝(はくしょう)… 穆弘は目薬する時口が開けっ放しになるんだ。

18.
安道全「観念しろ、林冲!」
林冲「嫌なものは嫌なのだ!」
白勝「お前は本当に女々しいところは異様なまでに女々しいな」
林「なんとでも言え」
薛永「化膿しますよ」
林「しみるのが堪えられん!」
薛「やれやれ…」
安「この有り様で、なぜ肺腑の矢の摘出はノーリアクションなんだ?」
白「さあな」

公孫勝「賑やかだな、林冲」
林「ウスノロ!」
安「見るに耐えん醜態だぞ、公孫勝」
公「ならばじっくり見せてもらおうか」
林「!」
薛「観念してください、林冲殿」
白「塗るぞ」
林「!」
安「筋肉が弾き飛ばそうとしている…」
公「…」
白「それ」
林「!!」
安「リアクションを黙らせろ、林冲」

公「良いものを見せてもらった」
林「我慢したぞ、ウスノロ」
安「それで、公孫勝はなんの用だ?」
公「兵の怪我を確かめに」
林「おい、公孫勝」
公「なんだ、馬鹿」
林「背の傷はどうしたことだ?」
公「…」
安「手負ったのか?」
白「見せてみろ」
公「…断る」
薛「公孫勝殿?」
林「観念しろ!」

林冲…しみるのが苦手。矢傷の痛みの方がまだマシだとか。
安道全…本当にこいつらは…
白勝…こんなにほっとくなよ。
薛永…しみるのも自業自得ですよ。
公孫勝…しみるのが苦手。ほったらかして膿んだ方がまだマシだとか。

文治省 

文治省…彼らがいるのといないのとでは、潜入工作も兵站確保も大変さが天と地ほど違った。

人物
蕭譲(しょうじょう)…呉用に騙されたと思ったが、自分の偽書が確保してきた物資の量に唖然。
金大堅(きんだいけん)…呉用に騙されたと思ったが、梁中書が騙されたと聞いた時には思わずガッツポーズ。
裴宣(はいせん)…孫二娘にぞっこん。一番好きな料理は肉饅頭。

19
金大堅「どいつもこいつも…」
蕭譲「金大堅の反抗期か?」
金「軍の将軍連中がまた印を無くしたのだ」
蕭「誰が?」
金「林冲、史進、関勝だ」
蕭「やはりその面子か」
金「戸籍用と日常用の両方を無くしたという」
蕭「やれやれだ」
金「呼延灼は片方あるらしいがどちらか分からぬと」
蕭「面倒な」

金大堅…林冲をうっかり林沖にしてしまった。
蕭譲…指紋認証はできんのか?

練兵場 

練兵場…野球好きが多いのは作者のせいではない。

人物
徐寧(じょねい)…アンパイアをやったことがあるが、鎧がうるさすぎて退場処分。

20.
穆弘「代走、王定六!」
王定六「…」

項充「嫌な奴が出てきましたな」
李立「どうする、李俊殿」
李俊「俺に策がある」

穆「王定六」
王「…了解」

俊「いくぞ!お前ら!」
項「おう!」
立「…」

王「李立、ミットを見せろ」
立「…何のことだ?」
王「隠し球」
立「さすが…」
王「バレバレだ」

項「!」
王「!」
張横「セーフ!」

俊(項充の牽制をものともしねえか…)

王「早く投げろ、李立」
立「やれやれ」
王「せこい野球だ」

項「!」
王「また!」
張「セーフ!」

穆「野球を進めろ!李俊!」
俊「…しかたねえ」

項「!」
王「!」
立「走った!」
俊「」
王「…投げるまでもねえ」

彭玘「…」
俊「このおっさんもなに考えてるか分からねえ…」
彭「…李俊よ」
俊「…」
彭「スライダーか…」
俊「!?」
項「→→→」
俊「しまった!」
王「ぬるい!」
立「三塁を蹴りやがった!」
項「李俊殿!」
俊「」
項「…また明後日の方角に」
王「やれやれ」
俊「くそっ」
彭「ちょろいのう」

李俊…キャッチングもスローイングも難あり。
項充…スライダーを逸らされたら投げる球がない…
李立…ファースト。掲陽鎮野球大会では隠し球を恐れられていた。

穆弘…一塁コーチ。隠し球で穆春がアウトになったのをまだ根に持っている。
王定六…さすがの俊足。内野ゴロでもそうそう刺せない。
彭玘…さすがの読み。老獪なリード。
張横…一塁審。バントが上手い。

顧大嫂のお店

顧大嫂のお店…孫新がいれば掃除はマメにやってるんだけど…

21.
林冲「焼き饅頭も美味いな」
索超「たまにはガッツリ食うのもいいですね」
顧大嫂「!!」
馬麟「何事だ?」
顧「黒い魔物が!」
馬「!!」
郁保四「俺もパスです…」
林「槍があれば」
索「こんな所で振り回すな、林冲殿」
林「どけ!腰抜け!」
馬「面目ない」
扈三娘「…」
索「真顔で捕らえた…」

林冲…素手で触りたくないから槍の出番だろう。
索超…手を消毒しろよ、扈三娘。
扈三娘…そうさせてもらいます。
馬麟…椅子から転げ落ちた。
郁保四…店の隅っこに逃げた。
顧大嫂…男ってのはこんな時に役立たずなんだよ!

間者

間者…なかなか後進が育ちにくいセクションなので、人員募集のためにスパイ映画の撮影中。

人物
時遷(じせん)…主役。変態的な身体の柔らかさ。
石勇(せきゆう)…相棒。気弱な顔はフェイク。
侯健(こうけん)…仕立て屋。スーツが決まっている。
孫新(そんしん)…飯屋店主。地味すぎるいい仕事。
顧大嫂(こだいそう)…おかみさん。一番の見せ場は大立ち回り。
張青(ちょうせい)…モブ。しかしやたらカメラにフレームインしているとか。
孫二娘(そんじじょう)…ヒロイン。ボンドガールもビックリの暗躍っぷり。

22.
時遷「すまん、侯健」
侯健「どうした、時遷」
時「侯真に誤って酒を飲ませてしまった」
侯「何をどう誤ったらそうなる?」
時「そしたらひどい酒癖でな」
侯「本当か?」
時「申し訳ないが滑稽なことこの上ない」
侯「親の前で何を言っている」
時「助けに行くぞ、侯健」
侯「何事なのだ、一体…」

侯真「おう、師匠」
健(これは人体なのか?)
時「関節を外しすぎだ、侯真」
真「いけねえ」
時「お前を綱で捕縛しようとしても無理だな」
真「おう、当たり前さ」
健「…戻れるのか、真?」
真「ちょっと待ってくれ、父上。うっかり両肩を外しちまったから苦労してる」
健「…」
時「手伝おう、侯真」

真「この右肩がハマる感じが堪らねえ」
健「何を言ってる、真」
真「左肩もまた違う味だよな、師匠」
時「一丁前のこと言いやがるぜ」
健「私にも分かる会話をしてくれ」
真「体術の達人になった時にこの技が大活躍する気がするぜ、師匠」
時「突きのリーチが三倍になるからな」
健「頭を冷やせ、真」

時遷…石勇が右肩外してのたうち回ってた。
侯健…真に体術か…
侯真…近隣の子供達の人気者。そんじょそこらの芸人じゃ太刀打ちできなくなってる。

林冲さん家

林冲さん家…旦那の壊滅的センスによる悲喜こもごも。

23.
張藍「その着物は?」
林冲「侯健の新作だ」
張「何が書いてあるのですか?」
林「かっこいいだろう」
張「大きな三角が散らばっているだけではないですか」
林「それがいいのだ」
張「無地は?」
林「つまらん」
張「チェックは?」
林「気に入らん」
張「三角は?」
林「お気に入りだ!」
張「…?」

張藍…あまり近くを歩かないでください。
林冲…なぜだ?

24.
白勝「美味いな張藍殿」
安道全「こんな味の分からん旦那に出す料理ではないぞ」
林冲「なんだと」
張藍「この間二人で食事した時に本当に恥ずかしいことがあって…」
白「またか」
安「何をやらかした?」
林「この財布のどこがかっこ悪いのだ!」
白「…」
安「…」
張「マジックテープなんです…」

林冲…黒地で収納しやすいから良いのだ!
安道全…なんだあの剣のキーホルダーは。
白勝…土産物屋で餓鬼が買うあれだろう?
張藍…馬麟殿に選んでもらいたいです。

25.
馬麟「張藍殿から依頼が来た」
索超「どんな?」
馬「林冲殿の私服と財布のチョイスをしてほしいと」
扈三娘「あのヘンテコな私服とマジックテープの財布を…」
郁保四「俺でも選びませんよ」
馬「厄介なのは、本人が好きで選んでいる所だ」
索「ほっておけないのか?」
扈「張藍はそうはいきません」

林冲「…くだらんマネを」
馬「どうした林冲殿?」
林「刺客がいた」
索「なんだって」
林「この剣がなかったら危ないところだった」
郁「どの剣ですか?」
林「これだ」
扈「…この土産物屋の剣で撃退したのですか?」
林「そうだ」
扈「体術を使わなかったのですか?」
林「…忘れていた」
扈「…」

索「土産物屋の剣で撃退するとは…」
林「こいつは俺の相棒だよ」
馬「…」
扈「張藍が男らしい財布を使ってほしそうでしたが」
林「この刺客を撃退した剣が男らしくないというのか、扈三娘!」
扈「…」
郁「今日の着物は何ですか?」
林「苺だが?」
郁「苺…」
索「…なぜ?」
林「何がおかしい?」

林冲…そこそこのやり手だったが俺の敵ではない。
索超…本当にこの剣で撃退を…
馬麟…しばらく難航しそうだという書を張藍に送った。
扈三娘…彼女は彼女で平凡な着物ばっかり着てくる。
郁保四…市販の着物ではサイズが合わない。

殷天釈…刺客を指揮。林冲の強さに憧れながらも信じられなかった。

26.
張藍「林冲」
林冲「…」
張「あなたの見るに耐えない着物を処分します」
林「そんな!」
張「この中で三着だけ残すことを許しましょう」
林「なんと」
張「選びなさい」
林「苺は必ず残すな…」
張「…」
林「ソーセージと饅頭の柄もだ」
張「…」
林「どうしよう、張藍」
張「どうしようもないです」

張「あなたはもっと自分を客観視するべきです」
林「客観視とは?」
張「たとえばこの鯉の着物を郁保四殿が着ていたらどう思いますか?」
林「センスを疑うな」
張「この人参の着物を馬麟殿が着ていたら?」
林「正気を疑う」
張「するといつもそれを着ている林冲様は?」
林「見事に着こなしている」

張「…」
林「不服そうだな」
張「じゃあ着てごらんなさい」
林「あっと驚け」
張(私が間違っているの?)
林「見ろ!張藍!」
張「ダサイを超越しています、林冲」
林「なぜだ!もう一着お前の分があるというのに!」
張「いつの間に!」
林「お前は俺とペアルックを着たくないというのか?」
張「…」

林冲…たまに素で甘えてくることがあるから手に負えない。
張藍…笑いを堪えないで扈三娘。

牢屋

牢屋…開封府の地下牢は、某高俅宅と中継がつながっているらしく…

27.
林冲「…」
牢番「林教頭、水の差し入れを…」
林「!」
牢「!?」
林「…塩水、ではないのか?」
牢「砂糖水だよ、林教頭」
林「なぜ?」
牢「塩水じゃ美味しくないから、砂糖水にしたんだよ」
林「…背中にかけてしまった」
牢「もう一杯くんでくるかい?」
林「いらん」
牢「大丈夫かね?」
林「…」

牢「林教頭?」
林「早く水をくんできてくれ」
牢「どうした?」
林「蟻が」
牢「言わんこっちゃない」
林「水をくれ」
牢「分かったよ」
林「礼を言う」
牢「そこは、林教頭」
林「なんだ」
牢「ありがとうじゃないのかい?」
林「首を捻じ切るぞ」

牢「くんできたよ」
林「なぜ柄杓一杯分しかないのだ」
牢「こっそりやってるからね」
林「バレてないのか?」
牢「同僚しか相談してないよ」
林「モロバレではないか」
牢「柄杓一杯なら李富様にもお許しいただいてるよ」
林「一番知られたくない奴に…」
牢「そら、水だ」
林「…酢ではないのか?」

林冲…お前は俺をどうしたいのだ。
牢番…実は高俅の手の者の仕掛け人。ワイプで高俅が爆笑している。

滄州

滄州…柴進の屋敷には、州対抗武術大会一回戦負けの面々が一様に負け惜しみを言いに飲みに来る。

28.
男「これより、槍を百回回す稽古を行う」
子「またかよ…」
子「自分は途中で止めるくせに」
柴進「性が出るな」
男「これは、柴進殿!」
柴「なぜお前はいつも百回までしか回さぬのだ?」
男「よくぞ聞いてくれました、柴進殿!」
柴(そんなに興味ないんだが)
男「百という数字に意味があるのです!」

柴「百にどんな意味が?」
男「キリがいい!」
柴「まあな…」
男「百の縛りを設ける事で、一回一回回す事に注力します!」
柴「…よく分からんが、林冲くらい回せた方がいいのではないか?」
男「回し過ぎは身体を壊します!」
柴「お前は今まで最高何回回したのだ?」
男「百です!」
柴「百回将か」

柴「折角だから渾身の百回回しを見せてくれ」
男「!!」
子「師範!お願いします!」
男「…見せましょう」
柴「…」
男「一つ!」
柴(林冲と比べるのは酷だが、やはりしょっぱいな…)
男「二つ!」
柴(もう息があがってないか?)
男「…三つ!」
柴(つまらんな)
男「四つ!」
柴「もういい、飽きた」

柴進…ニヒルな顔した子どもが気に入った。名は盛栄。

…柴進殿!ここからが本番ですぞ!私の渾身の百回槍回しのサビに突入するのです!まだイントロも終わっていないではありませぬか!本当なら驚天動地百花繚乱の棒の技をお見せしたかった所ですが、今日はふくらはぎの調子が悪いので次にします。

少華山

少華山…子午山から帰ってきて調練や戦の無茶がなくなったが、生活態度はなかなか治らなかった。

29.
史進「…」

阮小五「史進は何をしているのだ、陳達?」
陳達「あれは朱武兄貴に嫌がらせを企んでいる顔だな」
阮「全裸で?」
陳「全裸で」
阮「全裸にならんと知恵を出せんのか?」
陳「全裸になると良い知恵が出ると言っていた」
阮「…」
陳「助力するか、チクるかどっちがいい?」
阮「見物する」

楊春「!」
史「!?」

阮「楊春が銅鑼を?」
陳「少華山の風紀委員だ」

史「!」
楊「追え!」

阮「企画倒れか」
陳「追うぞ」

楊「追い込め!」
史「しまった!」

阮「罠にかかったぞ!」
陳「あの罠は猿でもかからん罠のはずだが」

楊「史進。懲罰室へ」
史「まだ何もしていないではないか!」

朱武「ご苦労、楊春」
史「おのれ!」
朱「ちょうどいい仕掛けがある」
陳「そりゃなんだい、兄貴?」
朱「神機軍師のワクワク八陣図という」
阮「再現したのか、朱武?」
朱「まあな」
陳「なんだそりゃ?」
朱「今から史進を投入して皆で楽しもう」
史「俺はプレイヤーではない!」
楊「行け、史進」

朱武…史進の罰のためにコツコツと作り続けた甲斐があった。
陳達…スケールの違いはあれど、兄貴も史進と同レベルじゃないか。
楊春…史進の逃走経路を塞ぐ兵の指揮に定評あり。
阮小五…慌てふためく史進に爆笑。

史進…死門に王母様からの叱責のお手紙が山ほどあって死にかけた。

子午山

子午山…夏野菜の収穫時には、近隣の子供たちが大挙してお手伝いに来る。

人物
王母(おうぼ)…よく似合う麦わら帽子は馬麟の贈り物。
王進(おうしん)…ヒマワリの種を集めていて死域。

30.
王母「進!」

史進「!」
鮑旭「史進?」
史「なんだ、また王進先生が死域に入ったのか…」
鮑「そうか、史進の進も王進先生の進ですね」
史「王母様に呼ばれるたびに死を覚悟しているよ」
鮑「それは」
史「あんな厳しい声で呼ばれて、よく平気だと思うな」
鮑「ところで死域ってなんなのですか?」

史「そうか。死域はまだか、鮑旭」
鮑「稽古は欠かしませんが、まだ入ったことはなくて」
史「死域童貞なのだな、鮑旭は」
鮑「…言い方が嫌らしい」
史「稽古へ行け、鮑旭!」
鮑「はい!」
史「しかしいきなり死域に入るのは危ないぞ」
鮑「そうですよね」
史「ちゃんとゴムを…」
鮑「!」
史「!?」

鮑「」
史「打たれに打たれてたな、鮑旭」
鮑「何か一瞬だけ身体が自由に動いた気がしました…」
史「初体験が王進先生だと、生半可な戦じゃ死域に行けなくなるからな」
鮑「なぜ卑猥な言い方を…」
史「死域の行き方も色々あるぞ」
鮑「それは?」
史「したたかで死域にいくと…」
鮑「!」
史「!?」

王母…史進を叱る時はいつのまにか背後にいる。
王進…土の湿り気を確かめて死域。
鮑旭…史進の猥談には容赦のない制裁を浴びせる。
史進…この時ばかりは鮑旭の棒の動きが読めない。

31.
馬麟「…」
鮑旭「…」
王母「…」

母「進!」
鮑「もう死域に?」
馬「全く分からなかった」
母「武術の稽古をする進は、着替えている時に死域です」
鮑「私達が先生を呼び捨てにするのは恐れ多い…」
母「余興です、鮑旭」
馬(飲むと自由になるな、王母様)
母「まさに歌うべしです、馬麟」
馬「!」

王母…私は武術はしないので、死域は分かりません。
王進…母親の余興に付き合わされて死域。
鮑旭…母上は死域に入らないのですか?
馬麟…家事の最中ちょくちょく入っていると睨んでいる。

32.
楊令「盆とはどんな日なのですか、王母様?」
王母「ご先祖様が帰ってくる日のことですよ、楊令」
楊「…」
母「…帰ってこれるように、野菜で乗り物を作りましょうか」
楊「野菜で?」
母「そういう日なのですよ」
張平「作りましょう、兄上!」
楊「よし、作ろう」
張「強そうな乗り物にしますよ!」

張「できた!」
楊「禍々しい舟だな」
張「張礼爺さんが帰ってくる舟なら派手にしないと!」
楊「お前も冥土に連れて行かれそうな舟だな」
張「楊令殿は?」
楊「父上と母上が帰ってくる馬に」
張「力強いナスですね」
楊「楊業様の一族が乗る馬だ!」
張「大変な騒ぎになりますね」
母「飾りますよ」

楊「すごい舟と馬だ」
張「野菜とは思えません」
母「…おや、物音が」
楊「吹毛剣?」
張「倒れたのですか?」
楊「…来てるのかな?」
張「いるのか、爺ちゃん!」
楊「ちょっとだけ抜いてみるか…」
張「楊令殿!馬が!」
楊「向きを変えるな、張平」
張「風で動きました!」
楊「…まだにしよう」

王母…吹毛剣が楊令を叱ったのですか?
楊令…誰かに叱られた気がしました。
張平…お供えの饅頭が消えてた。

王進…やって来た楊業たちと気で会話しながら死域。

禁軍

禁軍…童貫の面々はサウナに入る調練で軒並み脱水症状になってお休み。

人物
童貫(どうかん)…サウナでみるみる干からびていく様を見て、部下たちは慄然。
趙安(ちょうあん)…夏といえばフレッシュ!

33.
趙安「フレッシュ!」
何信「我らの季節ですな、趙安殿」
公順「…」
何「どうした、公順」
公「…臭気が」
趙「確かに鼻にあまる臭気だ、何信」
何「!」
公「実は童貫元帥と宿元景将軍からも苦情が…」
何「どういうことだ…」
趙「親衛隊の兵たちも辟易しているぞ」
何「アゲインストが吹き止まん」

趙「身体を洗っているのだろう?」
何「欠かさず」
公「これでその始末ですから、タチが悪いですな」
何「不覚…」
趙「しかし物は考えようだ」
公「どういうことですか?」
趙「何信の周囲を見ろ」
何「蚊が!」
公「いや、何信殿を露骨に避けている!」
趙「虫が好かない奴だ」
何「褒めてますか?」

趙「何信のエキスを抽出して、蚊取り線香を作るのだ」
公「誰がですか」
趙「それは…」
公「誰がどうやって何信殿のエキスを抽出して濃縮し」
何「公順?」
公「一粒で何信殿千人分の臭気を閉じ込めたカプセルにして」
趙「やめろ、公順」
公「誰に経口投与するつもりですか!」
何「公順が暑さに!」

趙安…冗談半分だったけど、やはり何信の臭気は鼻にあまった。
公順…何信に熱中症の介抱をされた時、臭気で悪化したと言いにくい。
何信…人知れず体臭カットのボディーソープを全て試していたが、なす術がなく困り果てている。

34.
趙安「フレッシュ斉唱」
何信「…」
公順「フレッシュ斉唱とは?」
何「歴代フレッシュマンの英霊に感謝するのだ、公順」
公「楊業様に呼延賛様に…」
何「そうだ」
公「でも、何信殿」
何「どうした?」
公「以降のフレッシュマンは皆ご存命ですよね?」
何「確かに…」
趙「フレッシュ!」

趙安…遠目で袁明様、洪清殿、沈機殿、呉達殿が見守っていたぞ?
公順…いつの間に!
何信…フレッシュの気には敏感なのですな。

35.
趙安「フレッシュ趙安のフレッシュジュースだ」
公順「なんとフレッシュな」
何信「果実がフレッシュで溢れている」
趙「しかしただフレッシュなだけでは面白くない」
公「それは?」
趙「アクセントを加えよう」
何「良いですな」
公「炭酸とかトニックは」
趙「守りに入るな、公順」
何「攻めよ!」

趙「フレッシュにも程があるぞ、何信」
何「柑橘を濃縮しました」
公「フレッシュが濃すぎて飲めない…」
何「柑橘をこれでもかと加えたのだが」
公「加えすぎです」
趙「消毒薬になりそうだ」
何「趙安殿は?」
趙「1日分のフレッシュドリンクだ」
公「まだ濃いです、趙安殿」
何「枯れるには早い!」

公「むせます、趙安殿」
趙「フレッシュマンの副官が寝言を言うな」
何「一気飲みします」
趙「行け何信!」
何「!?」
公「気管に入りましたね」
何「…エグい」
趙「だらしない奴らだ」
公「では趙安殿、飲んでください」
趙「フレッシュ!」
公「さすがフレッシュマン」
趙「…厠に参る」
公「おい」

趙安…果実が傷んでいた…
公順…割り剤なら美味しいですよ。
何信…フレッシュマンを薄める気か!

楊令伝

黒騎兵

黒騎兵…なんだかんだで皆陽気なんだ。

人物
楊令(ようれい)…忖度されるのは好きではない。つまらないなら容赦なく落としてくれ。
郝瑾(かくきん)…過去稀に見るほどすべった。蘇端も凍り付いた。
張平(ちょうへい)…楊令殿を落とす奴は誰だ!
蘇端(そたん)…いじられキャラ筆頭。定食屋のおかみさんにもいじられてる。
蘇琪(そき)…ピン芸は独特すぎる世界観。
耶律越里(やりつえつり)…デカいキャラネタばっかり。

36.
楊令「…」
張平「黒騎兵青騎兵一発芸選手権を行う」
郝瑾「侯真を上回る逸材はいるかな」
張「一人目!」
蘇端「どうも〜」
郝「!」
蘇「!?」
張「…」
郝「二人目に行こう、張平」
楊「見事な出落ちだ、蘇端」

張「二人目!」
耶律越里「痛っ!」
郝「!」
耶「!?」
楊「…落とし穴からはみ出ているではないか、耶律越里」
張「縮め!耶律越里」
郝「入場口に頭を打つのもベタだぞ」
楊「また出落ちか」

張「三人目!」
史進「…」
班光「…」
郝「なぜ遊撃隊が…」
史「!」
班「…」
楊「…」
張「洗濯ばさみをこれでもかと…」
班「!」
史「…」
郝「班光まで」
班「…とれる」
郝「!」
班「!?」
史「!?」
張「今のは卑怯だ!班光!」
楊「まだ途中だが」
郝「強制終了です」
楊「出落ちしかないな」

楊令…これが戦だったら大変なことだな。
張平…班光のとれるがリフレインしている。
郝瑾…芸に厳しいが、かくいう自分はどうかというと…

蘇端…コメツキバッタのモノマネを準備した。
耶律越里…落とし穴から出られず苦労した。
史進…班光と反省会。
班光…乳首に洗濯ばさみがこれほど痛いとは。

遊撃隊

遊撃隊…ノーコメント。

人物
班光(はんこう)…エロスな史進の夢を見た。
鄭応(ていおう)…異動届を提出したいが、字はあまりかけないし、他の奴に頼むわけにもいかない。
葉敬(しょうけい)…えっちな史進に一度会ってみたい。

37.
史進「花飛麟」
花飛麟「はい」
史「班光を魔道から連れて帰ってきてくれないか」
花「…私のせいなのですか?」
史「遠因であることは違いない」
花「私が何をしたというのですか?」
史「ナチュラルエロスは自覚がないのがたちが悪い…」
花「史進殿の方がたち悪いです」
史「否定はせん」
花「…」

花「班光」
班光「花飛麟殿!」
花「もう私と史進殿を困らせないでくれ」
班「…申し訳ございません」
花「一体どうしてここまでふしだらになってしまったのだ、班光」
班「…いつの間にかに」
花「御竜子が羞恥をかなぐり捨てたら皆困るのだぞ」
班「そうですね」
花「また史進殿を止めてくれ、班光」

班「しかし私は史進殿のエロスの教えを完全に理解してしまったのです」
花「そのエロスと言うのをやめないか」
班「私にエロスは無いにしても、それに近づくことはできないかと日々励んでおり…」
花「話を聞け、班光」
班「私にとって花飛麟殿のエロスはさながら陽炎…」
花「結局そうなのか、班光」

史進…遠目で見守っていた。
花飛麟…班光の相手がめんどくさくなってきた。
班光…エロスと口にすると豹変する。

38.
史進「王様は裸だ」
班光「史進殿も裸です」
史「すると俺は王なのか、班光?」
班「裸の王様ですね」
史「それは裸で街を歩いても問題ないほど統治に成功した名君か?」
班「…」
史「それとも家臣を堅く信じる事一切揺るがぬ名君か?」
班「違います」
史「ほう」
班「破廉恥王のことです、史進殿」

史「破廉恥王!」
班「淫ら王とも言います」
史「淫ら王…」
班「私ももう花飛麟殿で暴走しませんからやめてください」
史「ふん、スケベ王班光め」
班「史進殿!」
史「…すると花飛麟はエロス王か?」
班「エロス王花飛麟殿!」
史「奴に相応しいな」
班「否定はしません」
史「やはりスケベ王だな」

班「シシハラはやめてください!」
史「ならばむっつり王か!」
班「許しません!」
史「やるのか、班光!」
班「楊令殿に史進殿を去勢してもらいます!」
史「何を言っている、班光!」
班「このシシハラポイントカードを百八枚集めたら、問答無用で去勢ですよ!」
史「いつの間にそんなカードが!」

史進…本当に抜け目のない野郎だ…
班光…シシハラポイントカードを破ったら、二倍の効力です!

39.
班光「史進殿が巨大化しました!」
葉敬「なんということだ」
楊令「どうしてこんなに大きくなったのだ、史進」
史進「なんでだろうか」
班「真面目にがんばったからですよ!」
史「握り潰すぞ、班光」
楊「縮めないのか、史進?」
史「試みている」
班「それにしても着物も一緒に巨大化してよかった」

史進…縮みすぎた。
班光…ポッケに入りそうな小ささです。
葉敬…オチはないのか?
楊令…ただの出落ちの思いつきさ。

致死軍

致死軍…代替わりして新たなメンバーも加わりつつある。

人物
侯真(こうしん)…公孫勝にストレッチを伝授した。意外と硬くてびっくり。
羅辰(らしん)…公孫勝に鉄球を伝授した。はじくとき意外と痛そうにしてびっくり。

40.
公孫勝「…」
喬道清「公孫勝殿?」

芸人「妖術使うは入雲竜!」
子供「すごいや!」
子「かっこいい!」

公「…」
喬「妖術ですか…」

芸「入雲竜の杖だ!」
子「ほしい!」
子「小遣いじゃ買えねえや…」
公「…」
喬「公孫勝殿?」
芸「お買上げですか?」
公「…」
芸「二本分?」
喬(俺のも?)

公「…」
喬「振るのですか?」
公「…」
喬「何も起きませんな」
公「…」
喬「どれ…」
公「!」
喬「紙吹雪が」
公「どうやった、喬道清」
喬「振っただけですが」
公「…」
喬「何も起きませんな」
公「…」
喬「覗かないでください!」
公「!」
喬「公孫勝殿!?」
公「…」
喬「鳩が…」
公「…」

公孫勝…説明書に覗かないでくださいって書いてあるのを知らなかった。
喬道清…公孫勝の弟子。妖術の素質がかなりありそう。

41.
公孫勝「お前の仲間はどんな個性があるのだ?」
喬道清「馬霊は異様に足が速いです」
公「戴宗とどちらが速い?」
喬「互角ですね」
公「それほどか」
喬「孫安は武芸自慢です」
公「どれほど?」
喬「ああ見えて、呼延凌や花飛麟に遅れをとらないほどです」
公「韓伯竜は?」
喬「よく分かりません」

喬「俺たちは田虎の所で下っぱしてたんですよ」
公「すると張清や鄔梨殿は?」
喬「遠くで見たことしかありませんでした」
公「なぜ仲間にならなかった?」
喬「その時は仲間になるより放浪したかったんです」
公「なるほど」
喬「孫安と馬霊と一緒に傭兵やってて韓伯竜に出会ったんです」
公「ほう」

喬「あいつはよく分かりませんよ」
公「どういう所が?」
喬「武芸も並」
公「…」
喬「顔も並なのに、戦の指揮だけはなぜか上手いんです」
公「どこで学んだか知っているか?」
喬「我流だと」
公「手強いな」
喬「いつもよく分からんうちに負けてました」
公「ほう」
喬「あいつは全く分かりません」


公孫勝…久しぶりに波長が合う喬道清がなんだかんだでお気に入り。
喬道清…田虎の下郎は大嫌いでした。

馬霊…喬道清の仲間。驚異の俊足。セカンドキャリアは通信部隊か。
孫安…仲間。小柄だが武芸は梁山泊上位。
韓伯竜…朱貴の店に行ったことがあるらしい。その時、肌の黒い男がやけに怖かった。

42.
公孫勝「お前の個性は?」
喬道清「俺は、特にないですね」
公「ふむ」
喬「妖術でも使えたらかっこいいですけど」
公「使えんのか?」
喬「使えませんよ」
公「しかしお前」
喬「何か?」
公「よく雨を降らせるじゃないか」
喬「雨男なんですよ」
公「今降らせてみろ」
喬「…試してみます」
公「…」

喬「えい!」
公「降らんな」
喬「今雲を集めてます…」
公「日陰が?」
喬「雨雲に育ててます…」
公「湿度が上がった」
喬「降らせます!」
公「降ったか」
喬「やはり俺は雨男ですね」
公「お前が降らせた雨だろう」
喬「…できた?」
公「今、雨雲を生成していたではないか」
喬「止ませてみます」

公「どうやって?」
喬「頭を使って」
公「見事な坊主頭だ」
喬「!」
公「光が!」
喬「…」
公「雲が散った…」
喬「公孫勝殿」
公「…」
喬「やっておいてあれなんですが」
公「…」
喬「これは妖術だと思いますか?」
公「少し違うと思う」
喬「…」
公「妖術はもっとかっこいい」
喬「そういう」

公孫勝…人為的に降らせた雨だが、思った降らせ方と違った。
喬道清…すごくエネルギーを使ってくたびれた。

禁軍

禁軍…将来の英雄が下積みしている。

43.
徐史「岳飛!洗い物がなってないぞ!」
岳飛「…はい、徐史殿」
孫範「今日はどうした、お前たち」
徐「部下の気持ちになる調練です、孫範殿」
岳「覚えてろ、徐史」
徐「徐史?」
岳「徐史、殿…」
孫「また弱みを握られたのか、岳飛」
岳「うるさい!」
徐「孫範様にその口はなんだ!」
孫「様?」

徐「調練でも継続するからな、岳飛」
岳「はい、徐史殿…」
童貫「岳飛」
徐「!!」
岳「はい、元帥」
童「新しい調練を思いつかんか?」
岳「それは?」
童「新しい調練だ、岳飛」
岳「…」
童「お前は思いつかんか?」
徐「!」
童「…」
徐「…部下の気持ちになる調練」
童「ふむ…」
岳「元帥?」

童「岳飛殿、ご命令を」
岳「…遠駆けだ、童貫元帥」
童「岳飛殿。元帥は禁じております」
岳「…行け、童貫」
童「はい」
岳「…」
徐「えらいことになった…」
岳「どうしよう、徐史殿」
徐「…」
童「徐史殿、騎馬隊の調練の検分をお願い致す」
徐「!?」
孫「岳飛!」
童「これは孫範様」
孫「!?」

岳飛…冷や汗が止まらなかった。
徐史…恭しい童貫に心臓が止まりそうになった。
孫範…丁重すぎる童貫の気に当てられそうになった。
童貫…結局兵卒まで位を落として調練に励んだ。

山中

山中…まだまだ詳細は差し控える。

44.
史進「死ぬかと思った…」
杜興「ここ一番の糞力だけは満載だの」

史「死ぬかと思った…」
陳達「やはり容赦はないな、林冲は」
鄒淵「身体をほぐすぞ、史進」

史「死ぬかと思った…」
班光「シシハラ警告発令の結果です!」
葉敬「限度があるだろう!班光!」

史「…死なねえもんだな」
侯真「?」

史進…俺の番はまだか?

杜興…もう少しで腐刑になったものを…
陳達…笑いながら観賞。
鄒淵…強引なストレッチを手伝った。

班光…シシハラポイントカードが23枚たまりました!
葉敬…お前は遊撃隊で史進殿の味方ではないのか、班光!

侯真…飲みますか、史進殿?

twitterにて連載中!

ご意見ご感想やリクエストは、こちらまでよろしくお願いいたします!

今号も、お読みいただき、誠にありがとうございました!

これからもすいこばなしを、どうぞよろしくお願いします!


中学生の頃から大好きだった、北方謙三先生大水滸シリーズのなんでもあり二次創作です!