置換力|俯瞰的共感力のススメ|PRESIDENT-SHIPS
相手の気持ちに置き換えて考えてみる。とても大切なことですが、意外と難しいものです。上司や経営者になった場合、関わる人の年齢層や立場が様々になるからこそ必要となる置換力についてまとめてみました。
■相手の気持ちを想像する
私たちは、幼い頃から「相手の気持ちになって考えてみよう」と言われてきたものです。相手の心の中を読み取ることはできないからこそ、自分がもし相手の立場だったら?と想像するしかありません。
これまでは「なんとなく」やってきたこの置き換え。上司や経営者になったとき、置き換えがうまく出来ないと様々なトラブルが起こります。
良かれと思ってやったことが裏目に出たり反感を買ったりしてしまい、結果として落ち込んだり自信を失ったりしてしまいます。
現代は多様な生き方が尊重されている世の中であり、時代は大きく変化しています。「これまでの自分の物の見方」だけでは相手の気持ちを汲むことが難しい場合がありますので、今一度立ち止まって、じっくりと「相手の立場に置き換えて考える」時間をとってみませんか?
■相手の立場に置き換える
①自分がお客さんだったら?
<ポイント>
丁寧なヒアリング・馬鹿にしないこと
お客様にも様々な方がいらっしゃいます。
こういった方に対して同じ対応をしてしまうと、クレームにつながる可能性が高くなります。目の前にいらっしゃるお客様が、何を求めているのかを知るためには、まずヒアリングする必要があります。
ここで私が一番大切だと考えているのは、【馬鹿にしないこと】です。
「いやいや、お客様を馬鹿に
する人なんていないでしょう!」
そう思う人も多いかもしれません。しかし、本人に自覚が無かったとしても、相手は馬鹿にされていると感じるケースは多々あります。
例えば【スペックはすべて理解していて購入しに来た方】に、サービスを一から初心者向けに説明をすると【馬鹿にしてるのか!】と思う方が出てきます。
一方で【その商品のことを何も知らない方】に、既に知っているものとして、何も説明せずに接客をしていると、【知らないヤツを馬鹿にしているのか!】と思われることがあります。
ヒアリングしている時に、「あっ!この言葉を知らないんですね!」という反応をあなたがしただけで、お客様は不快感を示されることがありますので、従業員教育の際に最も気を付けて指導すべき部分だと思っています。
これを何度も繰り返し自問自答し、それを周囲とも共有することで、非常に心地よいちょうどいい接客や対応に繋がります。
馬鹿にされたと感じると、その会社は二度と使いたくなくなるものです。あなたからすると、当たり前のように使っている言葉や専門知識、言い方などは、外部の人からすると初めての言葉かもしれません。
この自問自答は、仕事をしている限り、常に意識して考えていきたいものです。
②自分が部下・従業員だったら?
<ポイント>
昔の自分と比べない
就業規則を決めるとき、36協定を結ぶとき、昇給や賞与の評価をするときなど、経営者や上司側と、部下や従業員側との見え方が全く異なることがあります。
経営者や上司は、会社の業績や株価・株主の反応等に意識してしまいがちです。一方、部下や従業員は、自分の将来設計や生活基盤などを意識する人も多いと思います。
経営者や上司も、昔は新入社員の時代があったはず。そんな時に「若い時の自分は頑張ってきた」という武勇伝を語っても、若い人には何の効果もないでしょう。
「現在の」若い人たちの生活レベルや求めている仕事環境をきちんと理解し、自分がこの時代に生まれた若者だったとしたら、どんなことを求めるのか?というのを置き換えて考えてみることが必要です。
「自分の過去と比べる」のは、環境や社会情勢が大きく異なりほとんど意味がなく、周囲から嫌がられますのでご注意を…。
■反対意見の場合
時には、完全に反対意見の方と対立することもあるかもしれません。自分の考え方は絶対に曲げたくない場面もあるでしょう。しかし、一旦冷静に、落ち着いて、深呼吸。
<ポイント>
一旦受け入れる
一見、誰が見ても「悪」だという行動であったとしても、反対意見の人がいる場合は、反対意見の人からみると、どう見えているのか?と心を寄せる時間も作ってみたいところです。
一部でも「確かに、こういうところあるよね。」と認め・受け入れることができると、様々な立場の方への理解が深まり、様々な立場の人の気持ちに寄り添えるようになります。
全ての事柄は、決して100%対0%ではないという大前提のもと、中立的な立場で俯瞰的に物事を判断する能力は、経営者や上司には必要でしょう。
こういった言葉は一旦封印し、「本当はどう思っているのだろう?」「真意は何だろう?」「私が相手の立場・環境だったらどう思うだろう?」と疑問を持ちながら接すること、そして共感してみること。これこそがチームをまとめる上司や経営者において最も大切な力だと思っています。
■置換力の具体事例
私はこの置換力を使って、こんな決断をしてきました。
①28歳の時、全貯金500万円を資本金にして会社を設立
→死ぬ前にもし500万円を持っていたら、このお金は若い時に使って挑戦しとけばよかったと後悔するだろうと想像できるから。
②就業規則は「自分だったらこんな会社で働きたい」と思える内容
→会社員の時、親友の結婚式のための休み申請を却下されたことを未だに根に持っている。そんな思いを私の会社で誰一人としてさせたくないから、休みは自由に取得可能。
③お客様からのご意見やトラブルへの対応
→お客様が「わざわざ嫌な思いをしても伝えてよかった」と思ってもらえるような着地点を目指して、お客様の立場になって解決・改善に挑む。
④従業員との距離感
→自分が会社員だった時、上司に気を使うから飲み会はあまり行きたくなかったので、経営者になってからは従業員と仲良くなるための飲み会をしたり誘ったりしない。(私が誘うと断れないだろうという自覚をもつ)
自分の考えはしっかり持ちつつ、相手の気持ちにも寄り添う。とても難しいことではありますが、これができると組織はうまく回ることがあります。
この置換力が、少しでも皆様の日常のお役に立てれば幸いです!
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株式会社minitts
代表取締役 中村朱美
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Thanks!!
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