はじめまして。知床で森作ってます。
しれとこ100平方メートル運動の森・トラストは、斜里町のふるさと納税で森をつくる活動のことです。
斜里町が運営し、(公財)知床財団に現地業務を委託して実施するナショナルトラスト運動です。
※ナショナルトラスト運動とは
この記事は斜里町役場環境課の事務員、寺屋が書いています。よろしくお願いします。
どこそこ?知床
「知床」ってご存じでしょうか。生物多様性などの顕著な価値が認められ、世界自然遺産に指定されている地域です。
その北海道の知床半島での活動で、
斜里町のうち、幌別地区・岩尾別地区の台地で森づくりが行われています。
南に知床連山、北に海にはさまれた、2つの台地です。
開拓跡地で森を作っています
写真:1974年の開拓跡
国策で開拓が3度行われました(つまり3度離農がありました)が、その後不動産業者の手に渡ったり、リゾート開発の話が持ち上がったりしていて、「日本列島改造計画」の号令のもと、開拓から開発へ動こうとしていました。
当時の斜里町長や議会議員は開発に反対しました。とはいえ土地を買い取るほどのお金はなかったので、国や道に買い取って欲しいと陳情に行くも、離農地を買い取る制度はないと断られます。
当時の斜里町長・藤谷豊 氏は英国のナショナルトラスト運動にヒントを得て、「100平方メートルあたり1口8,000円の寄付を受け付け、土地を買い取り、植樹する」活動を発表し、全国から寄付や応援メッセージが寄せられました(ありがとうございます!)。これがしれとこ100平方メートル運動です。
今では土地の取得は完了し、まわりは(ほぼ)国有林だけになったので買い取る必要はありません。林野庁により知床森林生態系保護地域として保護されているからです。
しかし一度人の手で傷つけた森をもとに戻すには相当な時間がかかります。
森づくりする必要ある?
「もとあった森に戻す」とはどういうことでしょうか。
この地の自然が成立した経緯からひもといてみましょう。
知床連山は活火山です。
たとえば岩尾別台地にある観光地・知床五湖の土地は、3700年前に知床連山の山の一部が崩れおちるほどの大規模な噴火で形成されました。それから植物が生えてきたのは1900年前のことです。つまり、焼き払われた植物が再生するまで1800年かかっています。
私はかつて、「自然は勝手に再生するから放っておけばいいんじゃないか」とすら思っていましたが、今では、「再生するまでの途方もない時間を人の手で短縮する意義は大きい」と考えています。
つまり、森本来の回復力を人の手で助ける活動なのです。
写真:2014年の運動地
ですから、林業的な収穫効率のために直線的に樹を植えることはしていません。植樹祭では「決められたエリアの中の好きなところに植えてください」とご案内しています。
エゾシカ対策と森づくり
では、森づくりは順調に進んでいるのでしょうか。植樹をしているのだから森になっていくだろうと思われるかもしれません。
しかし、そこにエゾシカたちが立ちはだかります。
増えすぎたエゾシカが問題になっています。全国的な問題なのです。世界遺産をシカが喰う という本があるほどで、エゾシカが増えすぎたため、(本当は美味しくないと思っているかもしれませんが)樹皮や枝葉を食べて木を枯らしてしまうのです。
生物多様性の課題もあります。
かつての開拓者が植えたアカエゾマツや、むかし土地取得運動の時に植えた直線的な針葉樹(間に植えた広葉樹はシカに食べられて消失)が多様性を損なっているので、周囲の原生林をお手本に、シカ対策をしながら、針葉樹と広葉樹が入り混じった森(針広混交林)を作っています!
森づくりは、100年、200年先を見据えてこれからも続けてまいります。
みなさまはどういう経緯でこのページに来られましたか?
以前からこの運動をご存知でしたか?
ぜひ、なんでもコメントしてみてくださいね! お返事保証できませんが、みなさんのお話、読ませていただきたいです!
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【しれとこ100平方メートル運動の森・トラストWeb媒体】
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読んでいただきありがとうございました。