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100の夢と、20年前の自分

100の夢、現在進行形の報告は少し休憩して(なかなか毎週夢は叶わないですし)、20年ほど前に遡って、初めて夢を紙きれに書き始めた時のことをご紹介させてください。

大学5年生、振るわない就活と100の夢

当時わたしは大学5年生。一年間の英語圏での交換留学を経て、急いで焦って数か月で就活・卒業するよりも、「新卒」ステータスで長めに就活すべく学生五年目を過ごしていたものの、この就活が難しくて、将来の自分像が明確に浮かばずにいました。

小学生の頃からの夢は、編集者になること(昔の夢なので、今の文章の稚拙っぷりをお許しください!)。それで、出版社にたくさん応募していました。S社さんは、グループ面接で一緒だった就活生が語る林真理子さんへの熱い思いに「完敗だ!」と打ちのめされたり、T書店さんへは突然本社ビルを訪ねたら専務の方が会ってくださった上に書籍までくださって感動したり(しばらく編集者は募集していないとのこと)。H書房さんでは英語と日本語両方向で小説的な文章の翻訳問題があって苦労しました。M雑誌社さんの面接では、「魚を使ってギャグを言うとしたら、何の魚を使いますか?あ、ギャグ自体は言わなくて大丈夫です」と聞かれて「マンボウですかね」と答えたり(この面接はなぜか受かりましたがその後に試験で落ちました)。それなりに充実していましたが、仕事に繋がらなければ結局ダメなものはダメ。

なんとなく鬱々とした気分になっていたある日、ふと、同じ大学でも普段は行かないキャンパスに立ち寄りました。反対側の出口から駅に向かおうという気まぐれな理由でしたが、そこに手作り感ある立て看板が。学生の有志がおこなった入場無料の講演会でした。時間だけはある身だったので会場に入ると、若い男性がお話しされていました。

この方が、「100の夢を、だまされたと思ってとにかく書いてみてください!絶対無駄にはしないから!」と、わたしが最初の投稿(1/100)で書いたようなことばを語ってくださっていたのです。なんとなくおもしろそうだと思ったし時間だけはあって将来も何も決まっていない身だったので、その夜さっそく、家にあった使いかけの無印良品のB6ノートを広げて、とりあえず「夢」を書き出してみました。到底叶わなそうなことでも、とにかく勢いで。

  • 編集者になる

  • 海外で働く

  • ロニーと再会する

  • アフリカ大陸に行く

  • 国際機関で働く

  • 出産する

今でもよく覚えているものだけ書き出してもこんなにざっくりとした、しかも当時の自分にはまさに夢のまた夢のようなことばかりでした。

編集者にはとてもなりたかったけれど、就活でことごとく撃沈していたわたしには、切実だけれど現実味が急スピードでなくなっている夢でした。しかも、編集者には新卒でしかなれないと思っていたので(実際のところはどうなのでしょうか?)、時間がそろそろ無くなってきているという焦りと共に、全く叶う気はしていませんでした。

交換留学には行ったものの、日本で生まれ育って英語が本当に苦手な自分には、海外で働くなんてまったく遠い世界の出来事に思えていましたし、ましてやその自分が「国際機関」って一体どこからでてきたの!?と、今さらながら自分でもつっこみたくなりますが、当時のわたしは、世界のために働くってなんだかやりがいがありそうだなぁ、国籍を超えて働くって楽しそうだなぁ、と思っていたのでした。夢にあげるだけでもおこがましい気がしたのですが、70くらい夢を絞り出して書いてみてまだ100に全然足りないので、えいやで「どうせ実現はしないだろうけれど」とい思いつつ書いたのを覚えています。

ロニーは、留学中に仲良くしていたデンマークからの留学生でした。でも、当時はまだSNSもなく(少なくともわたしは使っていなかった)たまのメールだけのやりとりだし、お金もないわたしには、ロニーとの再会はぜひ叶えたいけれど、相当先になる夢だと思っていました。それまで連絡を取り続けていられるのかもわかりませんでした。

20年後、夢たちはどうなった?

20年経った今、結論をいうと、でっちあげではなくて、上に書いたことはすべて叶いました。国際機関と出産以外は、大学卒業後約3年以内にすべて現実になりました。約10年経ってから国際機関に就職し、また10年くらい経って、出産もしました。もちろん、これ以外のいろいろな小さな夢や行動もどんどん実現されていって、ノートの叶った夢を横線で消すときが快感でした。

語弊を恐れずにいえば、わたしはこれを、「言語化したら(それだけで)夢が現実になる」というようなスピリチュアル(?)な風にはとらえていません。でも、あの時100の夢リストにあげていなかったら、これらのことは自分の人生の一部として実現されていなかったのではないかと思うくらい、夢を書き出してみることは、小さいけれどとても意味がある行為でした。

自分に正直になって、ひそかに言語化してみること

何一つ条件や障壁がなかったら、なんでも夢が叶うとしたら、自分は本当は何に挑戦してみたいだろう。何に憧れているんだろう。どんな人生を送りたいんだろう。「実現しなかったら恥ずかしい」とかいう自意識を一度忘れてみたら、何をしたい!って自分は言うんだろう。

100というのはかなりの数なので、日ごろ思っていることや比較的簡単な願いだけを書いているとだんだんネタが尽きてきて、徐々に、深いところにある思い、自分すら否定したり気づかないでいる願いや憧れにも、向き合わざるを得なくなります。もしくは、それらが勝手に意識の表面に浮かんできます。そしてなんとなく、リストに加えているのです。

そのとき、少しだけ、意識のベクトルが変わるのだと思います。日常でアフリカとかデンマークのことを目にすると「あっ」と思って立ち止まったり情報を得たりするし、海外での仕事に関する記事や情報があったら、少し目を通してみたり。きっと以前だったら見逃がしていたことなど。脳とか人間の意識ってすごいんだなと思います。

まだ夢を書き出してみたことのない方に、ぜひともおすすめしたいです。わたしの一例を読んでいただいて、「こういう人もいたんだし、まぁやってみるか」とでも思っていただいて、何も失うものはないので(ノートの数ページとインクと少しの時間でできます)、ぜひ一度。結果の責任はとれませんが(ごめんなさい笑)、いろんな夢を想像してそれだけでもわくわくして、なかなか楽しい作業です。

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