キャンプ、平時、災害時、それぞれでEVが重宝する理由 【2/2】 楽しく過ごしながら環境を考えるきっかけづくりに。
2024年8月3日(金)~8月5日(月)の3日間、2泊3日で電気自動車を使ったキャンプ(以下#BEVキャン)を行ないました。2022年から主催し今年は3年目で少し目指すものが見えてきたました。その説明をしながらなぜ私がこういったイベントを開くのかお話ししていきたいと思います。
これまでのキャンプと一線を画すのがこのキャンプ唯一のルール「CO2フリー」ということ。キャンプで使うエネルギーは全て電気自動車から取ることがルールです。内燃機の発電機はもちろんですがキャンプの醍醐味である炎、つまり薪や炭も使わないルールにしています。それはシンプルにエネルギー源を電気に絞ることで見えてくることが必ずあるから。タイトルでも触れていますが楽しみながらも環境問題へと意識してもらうきっかけづくりにすることが目指すべきことなのです。
※カーボンオフセットの観点からの薪に関するお話はこのキャンプでは適用しません。
※これまでの開催分レポなどは文末に纏めて載せていますのでご覧ください。
①キャンプの3大嫌な事が無くなるのがBEVキャン!
②小さな子供連れなど若いファミリー世代にオススメな理由は”楽”&”学び”
これら①、②の前編を読んでいない方は先にそちらをお読みいただいてからお読みください。より理解が深まります!
前回の記事は↓↓↓からドウゾ
③BEVキャンから再考するEVの有用性
さてこれまではおもにキャンプの前後、途中の過ごし方などにフォーカスして楽と楽しいを伝えましたが今回の記事では”学び”に焦点を当てていきます。平時と非常時、共に言及しますがこれまでが少し長くなってるので次回へ持ちこします。
と言っていた分のお話が今回です。どうぞよろしくお願いします。
まず今回集まっていた車両は総勢で73台ありました。うち電気自動車(以下BEV)が持つバッテリー総容量の概算値は約4471kWhとなります。これがどの位かわかりやすく表すと、1日の一般家庭消費量約390件分※に相当します。
※環境省「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)」より
令和3年度一般家庭年間消費電力4175kWhから1日あたり11.44kWh/件の消費換算
あくまで数字上での話ですが一台当たりのBEVで約5件の電気を賄えることになります。また視点を変えると一台で住宅一軒へ5日間電気を供給できるとも言えます。本記事を書いている8/29日現在、台風10号により様々な被害が出ていますが各所で停電などが発生する可能性があります。その際にBEVがあると5日間は通常と変わらない暮らしができるとしたらどう感じますか?
※丁度、翌日にV2Hで停電を乗り越えているXのポストがあったので引用しました。
加えて太陽光発電設備があれば昼に発電した電気をBEVへ溜めて適宜使う事が可能です。我が家もそうですが犬などを飼っていると季節によっては文字通り死活問題でヒトは我慢が出来たり避難所へ行けたり方法がありますが飼育されている動物たちはそうはいかない状況になり得ます。一緒にするのはアレですが小さなお子さんが居る場合も鳴き声など含め憚る状況も考えられます。そんな時に自宅で過ごせるというのは避難場所という観点からだけでなく精神衛生上、人も動物も両者にとってメリットしかありません。
また避難所でのBEV活用例が出ておりましたのでこちらも引用します。
このように避難所運営にも活用できることが実証されてきています。
折角なので先ほどのイベントのBEV車両総電池容量を今度は避難所運営にあてはめてみます。
◇例1災害時電力需要から見たZEBへの供給可能日数
→夏季は約22日間、冬季は45日間の電力供給が可能
条件 小規模体育館、避難想定人数250名、発災より1週間を想定、必要電力量199kWh/日(夏季)、99kWh/日(冬季)
ZEBスクールの災害時避難所利用におけるエネルギー確保に関する研究より
◇例2 豊橋市の避難所運営に必要とされる想定電力消費量の場合
→118日間(収容人数70名、避難所モデルは市民館)①
→36日間(収容人数330名、避難所モデルは市民館の多目的ホール)②
一般的に避難所になるであろう例2を取り上げて一般家庭の時と同様に一台当たりに直すと避難所①の場合は2台で1日を、避難所②は1台で1.5日を供給できる計算になる。あくまで計算上なのは変わらないけれど前掲のyahoo記事にあるように非常に役立つことに変わりはない。また自治体既築物へ太陽光発電設備などを合わせて整備することも非常に有効でBEVとの相乗効果は緊急時であればある程、遺憾なく発揮するものとなります。
自宅や企業では普段通りに近い暮らしや企業活動ができるのも大きなメリットで言わずもがな。
さて、ここまで非常時における電気とBEVの有用性について話をしてきました。加えて通信環境というものが必要だと思いませんか?
トップの画像にも写っているのですが2年ほど前に発売され最近では災害時に使えるとして自治体で採用されたり、諸島部の環境で導入されたりしているものです。
CPにも入れてますがネット環境を整備できる装置で地球上空に周回している無数の衛星と直接通信をするので既存通信インフラに頼らずに電気さえあればどこでもインターネット環境が整備できるものです。詳細はStarlinkのHPや各種情報を見て欲しいのですがここでも電気が必要でコンセントが装備されているBEVであればすぐに通信環境も確保できます。
平時非常時問わず、いまネット環境が無いというのは恐らく大部分の人にとって不便であり情報を得る手段としては必須とも言えます。ことさら非常時においては最重要で避難所運営はもちろん家族との連絡手段など平時以上に、そして電気と並んで必須なものと言えます。これらを使えるのもまたBEVは有用であるという理由です。
ここまで非常時にフォーカスして書きました。ここからは平時へ目を向けてみます。
お家に電気自動車があった場合の活用法ですが電気代や燃料代の削減効果があげられます。また企業においてはこれにプラスして環境意識にしっかりと向き合う企業であるというアピールにもなります。弊社施設で言えば規模が大きくないので自宅も職場もほぼ全てをBEV+V2H+PVの組合せにて賄う事が出来ています。今の設備状況になってから約5年、これまでのトータル電力自給率は160%程で推移しています。自宅だけに絞ると180%を超えてきますので収支で言えばプラスになり実質的には電気を買わずに暮らすことが出来ています。
※実質としたのは1、2、6月あたりで日照不足により買電する場合がある為
お金の生々しい部分はこちらの記事で出しており、最後半に有料部分がありますがそこから先はそれはそれは生々しい数字なのでご興味ある方はご覧ください。
例えば直近の電気料金に目を向けると32kWh使用で1248円です。㎾単価は39円ですね。系統に繋がっている&V2Hが接続中は常時50~70w程度を消費するので最低でもこのくらいかかります。
売電は5,501.7kWhとなってますね。対して買電が831.1kWhなので差引すると4670kWhのプラス収支となります。
車の電気代はこれまた前出の32円/kWhの単価を使って計算してみます。
2756km走っているので電費7.0kmで計算すると約393kWhの電力消費量になります。これに32円をかけると12608円の電気代となります。
これをガソリンに換算すると今はレギュラー171円/Lほどの様なので12608÷171で約73.7Lのガソリンが買えます。
国土交通省が発表しているデータによると、車の燃費の平均は19.4㎞/ℓ(R4年・WLTCモードの場合)、19.4×73.4ℓで約1424km走行可能となります。先ほどの電気代換算のパターンと比べるとマイナス48%で約半分の走行可能距離という計算です。家庭の電力料金を関東での実勢価格に近い金額で計算するともう少し変わると思いますが約5割の差を埋めるほどではないのでいかに燃料代が節約できるかがわかります。
この結果、一般家庭平均とを比較すると車両エネルギーにかかる費用は約半分でV2HやPVなど入れているとさらに光熱費も下がります。ちなみに我が家はPVで発電した電気を使うので電気代はかかりません。
というわけで仮に筆者の環境がガソリン車に乗っておりEVへ乗り換えて同じ距離を走ったとすると、、、
ICEVパターン→走行距離2756km÷平均燃費19.4km/ℓ≒消費ガソリン142ℓ×レギュラーガソリン平均価格171円≒24282円
EVパターン→同様の計算で12608円
差額マイナス11674円となります。12か月をかけると約140,000万円程浮く事になりますね。筆者の場合は家の電気代もPVによりかかりませんのでもっとお得になりますがここでは車だけにしておきます。
触れていませんがメンテナンスコストもEVの方が比較的安く済む傾向が強いです。全ての方にコレが当てはまるわけではないのでケースバイケースですがおおよそ戸建てにお住まいの方、集合住宅でも基礎充電(駐車場等に)環境がある方はEVの方がお得な事が多いと思います。
結論、走行コストは圧倒的に電気の方が安いという事ですね。
イニシャルコストなんかも含めたもっと詳しいものは前出させました記事の中にありますのでぜひご覧ください。
少々長くなってしまいましたがどんどんとEVの環境は進んできていますし不便に感じるケースも減ってきています。過渡期にはいろいろな情報が出てきて迷われるかもしれませんが車両検討のきっかけとして一助にして頂ければ幸いです。何より、EV特有の乗り味はとても気持ちいいモノです。毛嫌いせずに一度乗ってみてそれから考えてみても損はないはずなのでぜひお近くの電気自動車試乗可能なお店へ足を運んで体験してみて下さい!
#BEVキャン に関する過去の関連記事などは以下からご覧ください。
関連記事
2022年
・EVSmart 参加レポ
2023年
・Hyundai Mobility Japan 公式HP掲載
・EVSmart 参加レポート
2024年
・Hyundai Mobility Japan 公式HP掲載
・WE OWN IT - EV SUMMERCAMP 2024 | ヒョンデ
・EVSmart 参加速報レポート① by木野龍逸氏
・EVSmart 参加レポート② by寄本編集長
・EV総合研究所 ロケハンレポ
・WEB CARTOP 取材記事 by TEXT: 佐橋健太郎氏 / PHOTO: 和田清志氏
・carview 掲載記事
・YAHOOニュース
・KCB( Korean Car Blog)
・WRD ※筆者の皮革事業にフォーカスしそこから派生したBEVキャン動画となっています。
これら以外にも#BEVキャンで検索して頂くと電気自動車オーナーが実際にキャンプしてる様子や感じた事を発信しています。イベント以外の模様もチラホラ出てきていますのでSNSで検索してみて下さい!
気が早いですが来年もよりパワーアップし沢山の楽しさと環境を考えるための機会創出の場として企画しますので今後もBEVキャンにご注目下さい!
最後に参加してくださった皆様、ご協賛企業様、ボランティア含め運営をしてくれたスタッフ、関わった全ての皆様のご協力、お力添えのおかげで大きな事故もなく無事にイベントを終えることが出来ました。改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
EV Summer Camp 2024
主催
IONIQ OWNERS QLUB
特別協賛
Hyundai Mobility Japan / EV Owners Club
協賛
EVごはん / ニチコン株式会社 / EV充電エネチェンジ / EVSmart by ENECHAGE / STRAYCATS / TENT MONSTER / RayDa / 株式会社ソマウッド / CONCIERGE SYSTEMS / Samtopia / 1008株式会社
※申込順、敬称略
運営STAFF
Kume Ayumu / Yoshihito Kodera / Ryo Tano / Youichi Sugimoto / Takatoshi Ishikawa / Manabu Oizumi / Ryuichi Nagashima