この胸いっぱいの愛を

先日、とある方の出産レポを読んだ。出産レポなどこれまで何度も何度も目にしたことがあったのに、涙が止まらなくなったのは初めてだ。それも悲しいのではなく、ただただ感動したという理由で。これまでも書き連ねているが、私には父が居ない。正確にはこの世のどこかには存在しているが、多分もう姿を見ることは無い。だから心の奥底で「私は要らない」「捨てられた」そんな気持ちがあった時期もある。

ふと思い出したのは、実家の普段見ない場所を何気なく漁っていた時に、私が産まれた時の写真を見つけた時のこと。父からの愛を感じたことはあまり無かったが、そこには見たことが無いくらい嬉しそうに、私を包む父が写っていた。「私は必要とされていた」その後の様々なことがあって、もう姿を見ることは無くなったが、少なくとも産まれた時、私は必要とされていたのだ。そう思って涙が止まらなくなった時のことを思い出した。

今、私は生涯をかけて幸せにしたい、絶対に寂しい想いをさせたくないと思える人と一緒に居る。時々とんでもなくイライラすることもあるし、ぶつかることもある。何なら絶賛マリッジブルーで八つ当たりばかり。ここ数日は特にひどかった。でも彼は、理由をきちんと話したら「分かった」と言って、今日もふんわりと柔らかく私のことを迎えてくれる。「子どもが来てくれたらいいね」とぽそっと口にする。マリッジブルーもあり焦りが止まらない私だが、心の中では子どもが来てくれたらと思ってくれていることを確認出来ると、少し安心する。

まだ来てくれてもいないし、諸々手続きがまだ済んでいないので、本当に気が早すぎるくらい早いのだが(せっかち発揮中)、もしも立ち合い出産となったら彼はどうするのだろうか。出張が多く、立ち合いは難しいから計画にするのかな。間違いなく私は暴君になるだろうし、彼はおろおろするし、てんてこまいになるのだろう。実家は頼れないから2人の生活になるが、育休が取れない彼は大丈夫なのか？ほら、また考えすぎてしまう。帰ったらふんわりと柔らかく「また考えすぎ、大丈夫」と言ってもらおう。早く彼が見たことが無いくらい嬉しそうに子どもを包み込む姿を見てみたいな。

せっかちな私は買い物に行くたびに可愛い子ども服が気になって気になって、カゴに入れようとして彼に止められる。そんな彼も親戚から子ども用品の何がもらえるかを考えている。とても気が早い。まだ見ぬ我が子に言いたいのは「お父さんお母さんはこんなにも前からあなたのことを心から待ちわびているよ、絶対に大きな大きな愛を用意するから安心して来てね」ということ。

私は別として、彼はとてもとても優しくて思いやりがある。無条件に子どもから好かれる。(本人は舐められると言っているが。)こんなにも温かくて優しくて思いやりがある人のところに来られたら、幸せに決まっている。それだけ周りを幸せにしてくれる彼を、私は生涯をかけて幸せにしたい。彼の遺伝子を後世に残したい。自分にこんな気持ちがあることを知らなかった。

週末から彼は4連休。サービス業の私はいつも通り。趣味にばかり感ける彼にマリッジブルーの私はイライラと不安をぶつけまくった最初2日。3日目は落ち着いて、久しぶりに2人で外食。コミュニケーションが取れるだけでとても落ち着く。4日目は朝からバタバタと数日分の作り置き。残りもので彼の食事を用意したら「あー美味かった」・・・全然手がかかっていない残りものですが・・・でも少し嬉しくなって、ご機嫌で出勤する。

次の休み、やっと指輪を受け取りに行ってくる。写真を撮ってくれるらしいので、少しでも手が綺麗に写るよう、数年ぶりにネイルを予約して、毎日ハンドクリームを塗る。月末は有休のため6連休、4月の顔合わせのためのDIYをするつもりだ。4月に顔合わせを終えたら、その翌週にはやっと彼と家族になれる。それまでには退職出来ている(予定）で、5月の転居に向けて家探しをしているだろう。

色々落ち着くまで何度も何度もマリッジブルーを発症するかもしれないが、その度にある方の出産レポを読み、気持ちを新たにしたい。