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【当て馬回収部屋】エリート当て馬山口賢二(となりの怪物くん)

25年の人生の中で数多の漫画を読んできた私が選ぶ『お前がいなけりゃ成り立たない!最強!当て馬ランキング』堂々の第一位。
それがヤマケンこと山口賢二である。
「なんかキモいこと言ってる〜」と思った正常な感覚をお持ちの方は今すぐスマホを置いて、スニーカーを洗うとか、水回りの掃除をするとか、なんかそういう有意義なことしてください。
こんなん読んでる場合じゃないです。

では、この先を読み進めようとしているおかしな皆さんに問いたい。
皆さんは『となりの怪物くん(ろびこ著)』という作品をご存知だろうか。
ヤマケンとはその作品に登場するキャラクターで、主人公である水谷雫に恋をするが報われない男、平たく言えばプライドが高くて不憫な当て馬界のサラブレッドである。
※当て馬とは本来「相手の反応を探るために、本命以外の人をさも本命のように仕立てて表に出すこと」をいうがここでは「主人公の恋を更に燃え上がらせるために焚べられた薪」を意味する

「スーパーで服を買うようなダサくてモサいガリ勉女(水谷雫)を好きになるわけねえだろ!この俺様が!」と自分に言い聞かせながらもどんどん深みにハマっていく姿がもう可愛くて可愛くて、、、
「ね〜、そうだよね〜、わかるよ〜、ヤマケンくんそんな男じゃないよね〜」とニヤニヤしながら見守ってあげたい。

ちなみに不憫な男のプライドは高ければ高いほど良いとされているが、彼のプライドの高さは世界最高峰の山、エベレストに匹敵するほど高いのだ。
作中で、プライドが傷付き足元が崩れ落ちそうになる描写があるのだが(コミックス8巻参照)そこが崩れることは、すなわちエベレストの頂上からの転落、彼の死を意味する。
だがヤマケンは死なない。
ギリギリのところで踏ん張るのがヤマケンという男なのだ。

彼はやっと取り付けた休日デート(ヤマケン視点)の待ち合わせ時間に遅れ、もう相手に帰られてることを知らず1時間待ち続けても(コミックス7巻参照)
勇気を出して連絡先を聞いたら「携帯持ってないけど」と家電を教えられても(コミックス5巻参照)
恋敵である吉田春に雫の前で自分の恋心をバラされても(コミックス8巻参照)決して死ぬことはない。

それどころか、とうとう携帯電話を手にした雫が真っ先に自分の真横にいる春に電話番号を教えても、「それは俺の番号 入れといて」と自ら番号を打ち込む。
それが漢・山口賢二である。
そんな姿を私は「それにしても酷いことするよ雫、、、仮にもヤマケンは連絡先教えてって言ってきた相手なのに、、、春のことが好きで春に番号を教えたい気持ちはわかるけど、ヤマケンが隣にいるんだから100万歩譲って二人同時に見せようよ、、、2人とも見て!でいいじゃん、、、、、、ねぇ、、、ねぇ、、、、、、!!」と涙を流しながら見守るのだ。

それにね、そんな仕打ちを受けながらも、彼って健気なんですよ、、、。
春とのことで悩んでいる雫の相談に乗ってあげたり、雫が忘れたボールペンをずっと胸ポケットに刺して持ち歩いたり、、、。
別れた後にバス停で(寒くて)鼻を啜る雫の姿を見て「なんだ 泣いてんのかと、、、」と急いで声をかけるシーンなんて、ヤマケンがいかに雫のことを見ているかが窺えるじゃないですか、、、。

外ヅラが良くて、理性的で、医者の息子で顔も頭も良くて自信もある。
さらにはサラサラヘアで細身で背も高い。
将来有望で、戸田恵梨香にも劣らぬ最強のスペックを持っていながらも"絶対に勝てないだろう"という圧倒的な安心感を与えてくれる最高の男。

初登場時、バッティングセンターで(金持ちのくせに)春に金をたかっていた超絶モブ男がまさかここまで成長するとは誰も思わなかったでしょ?
これが当て馬のあるべき姿。
お手本として教科書に載せるべき偉人なんですよ彼は。

もうとっくにわかってると思うけど、これは「ヤマケンを当て馬なんて呼ばせない!」という話ではなく、当て馬として120%のパフォーマンスを発揮する彼を全肯定して最優秀賞で表彰しようって話だから。

「ヤマケンに報われてほしい!」
「ヤマケンは雫と幸せになって欲しかった!」という人とは方向性の違いで解散です。すみません。

ヤマケンは雫に
「好きだ」
とストレートに伝えられる漢気を持ち合わせた出来杉くん。

数多の名場面、名台詞を生み出しているヤマケンも最大の見せ場はやっぱり告白シーンではあるけど、その後の展開を含めて最高なんですよ。
自分を振ったのに友達になりたいなどと寝言を言う雫に「友達くらいならなってやってもいーけど?」と言い、結婚式にまで出席。
高校時代好きだった女(しかもフラれている)の結婚式に出席ってどんな感情なの、、、ねえヤマケン、、、でもそういうところが好きだよ、、、、、、。

私には彼の苦悩は到底理解できないが、己の役割を全うし美しく散るその姿を心の底から褒め称えたい。

ありがとうヤマケン。
君の勇姿は私が責任を持って後世まで語り継ぐ。

あわよくば、この文章を読んだ誰かが「え、ヤマケン好きかも」と漫画を手に取って、君の物語を見届けてくれることを願って、、、、、

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