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プロポーズされた翌日、恋人が盗撮で捕まった。【読書思考文】

私は基本的に、古本屋で本を買います。
何故なら金欠だからです。
古本屋に巡ってくるまで我慢できなくなった時だけ、新書を買うようにしています。

ということで、新書でこちらを書いました。
恋とか愛とかやさしさなら / 一穂ミチ
どんな本だったかの説明は出来ません。一穂ミチさんの想いを再上限汲み取って説明出来る自信がないからです。
なので、読書して考えたことを書きます。


【読書思考文】
私なら、許せない。けれども許したくて堪らない。許す許さないなんて、私が決める立場なのかどうかも分からないけれど。それでも許したい...。気づけば私は、読者という1人の人間ではなくニカの立場に立って物語を読み進めていた。ニカは、啓久のことが大好きだったと思う。それ以上に愛していたのかな。だからこそ、啓久がどんな立場に居ても世間的にどうであっても、向き合いたいと心から思ったんだと思う。
ラブホテルのくだりでは、ニカに激しく共感した。
①啓久が行ったこと(盗撮)と同じことをする。そして、その気持ちを探る。少しでも啓久の考えを理解したかった。
②もしここで良い写真を撮ることが出来れば、啓久が行ったこと(盗撮)に価値があったと思える。悪100にならずに済む。
③最後に啓久が自分にどのくらい縋ってくれるのかを測る(「その格好のまま駅まで送ってよ」のくだり)
①②③を行えば、啓久のことを分かって(理解して)許せるかもしれない。その可能性にかけての行為だったと思う。また、啓久のためならコスプレを買うことも、自分が盗撮まがいのことをすることにも、街行く人にバカにされることにも、何もかもに抵抗がなくなる。そのくらい、啓久に本気なニカが、読んでいて苦しかった。この時点で、ニカは啓久を手放すことが出来ない女なんだなと思った。そして私も、ニカと同じことを思った。「私は性犯罪を犯した過去があったとしても、この人がいい。」と。
恐らく、別れは啓久からだと思う。ニカといることで自分が性犯罪者であることを思い返す機会が増えてしまうことに耐えられなかった。のだと思う。ニカに対する想いよりも、自分への想いの方が強い人なんだろうなと啓久に対して思った。そこも悲しかった。
読んでいて、私がニカなら、被害者の女性への想いなんて1ミリもない。正直どうでもいい。ただ、「自分の婚約者が盗撮をした」という事実に対してしか考えていない。人間なんてそんなものなんだろうなぁと思った。
ニカのように、弱くとも強くあろうとする人物には惹かれる。啓久のように、弱くとも温かい人物に惹かれる。性犯罪者に対して温かいという表現は間違いかもしれないが、私は啓久肩入れしてしまう。(上記でボロボロに言ったけど笑)
途中、被害者女性の自尊心の低さにも共感した。被害者なはずなの弁護士や駅員に「なんでお前の顔のレベルで?」みたいな顔をされた事実。苦しくなった。顔が全てではないが、節々に出るこの男から女に対する評価。苦しいよなぁと思った。この女性は、被害にあったことよりも自分の顔を評価されることの方が辛そうだった。もうなんなんだよルッキズム社会と思った。はぁぁぁぁ

全くまとまらなかったが、考えていることをぶつけられた気がする。スッキリ〜〜〜!一穂ミチさんが生み出す登場人物は、なんでみんなこんなにも人間味があって愛おしいのだろうと改めて思う。すごい作家さんだなぁ。
啓久とニカが、どこかで幸せに暮らしていますようにと願う。
あ、これ小説だった

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