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貨幣創造の現場

昨日はA銀行の個室にて実家の引き渡しでした。買主様と売主である私は、テーブルを挟んで対面しています。銀行の融資担当者が、買主様にタブレットを見せながら操作しています。

担当者「お客様の口座にご融資金が振り込まれました」

買主様は画面を確認して了承の操作をします。この世に、新たにお金が生まれた瞬間です。このように、銀行は企業や個人に貸付を行うことによって、貨幣を「創造」、つまりお金を作っています。顧客から預金として集めたお金を貸しているわけではありません。書き込むだけでお金が生まれることから、古くは「万年筆マネー」、電子化されてからは「キーストロークマネー」などと呼ばれ、今や差し詰め「タップマネー」でしょうか。

さて、次に買主様がご自分のスマートフォンを操作して、B銀行にある私の口座に購入代金を振り込みます。すぐに手続きは終わり、私のiPhoneに入っているB銀行のアプリで確認すると、確かに代金が振り込まれています。
買主様が他の手続きをしている間に、私はiPhoneを操作、司法書士事務所や測量会社への振り込みを済ませます。

ここまでのやり取りで、現金紙幣は全く動いておらず、単に各自の口座残高の数字が増減しただけです。

引き渡しは無事に終了。仲介手数料の支払いは現金なので、不動産会社の担当者と一緒にB銀行へ向かいます。
ATMを操作して、仲介手数料分を引き出します。ここで今日初めて、現金を目にしました。ですが、当たり前ですがこの現金紙幣はA銀行から転送されたわけではなく、元々B銀行のATMに入っていたものです。単に私の口座の数字が減り、その分の紙幣を受け取っただけです。現金はその場で担当者の手に渡り、不動産会社の所得となります。

以上のように、貨幣(お金)とは、需要に応じて最初に誰かの口座に書き込まれることによって、この世に「創造」されるのです。逆にいうと、需要がなければお金は生まれないのです。
#信用貨幣

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