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私の好きなもの① [オリジナル吹奏楽曲編]

共感していただけるものが1つでもありましたら、コメント等ぜひ反応してくださると嬉しいです。
あわよくば語り合いなどしてみたいですね…!笑

URLを交えて沢山紹介しておりますので、ご存知の方もそうでない方もお楽しみいただけますと幸いです。(その内1曲1曲の紹介に特化した投稿も作成してみようか、などと画策中…)

とりあえず、説明を交えつつ10曲紹介させていただきます。(知名度高い順な雰囲気で並べています、100%私見ですが…)
選曲に関するルールなど細かい話は、その後に補足という形で。

① 天野 正道 / ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コル・ム・カレイドスコープ

コンクール等でも度々聴かれるコチラからご紹介。曲名にインパクトがあり、それで覚えている方も少なくないはず。
天野正道作品は大半の曲を通じて、「和声の豊かさ」が大きな特徴の1つとして挙げられるような気がいたします。今年(2023年)は課題曲にも氏の作品があり、中間あたりに同じく氏特有の豊かな色彩が放たれた演奏箇所があります。これがまたもう…!吹いているだけで気持ち良くなれる感覚を覚えたことを今でも鮮明に覚えています!
『ラ・フォルム…』は特に、そういった和声的な進行をする時間が他の曲よりも多いように思えます。

Ob.Soloは、最早登竜門と言うべき程に奏者の技や意図が見える旋律ですが、音域も無理しておらず、多少楽器を扱えるようになれば誰でも“挑戦”は可能である難易度なのが凄い。それでいて非常に多岐に渡る面から音楽性を培うことのできる名旋律です。
テンポが速くなってからも一筋縄ではいかない。軽快に行きたくても全員の理解が必要となり、バンドの実力が試されるかのよう。はまるとどこか、ちゃんとした必然性を感じることができます。

全曲ですと約13分という演奏時間、上記のような困難を乗り越えて辿り着くラストのC durの全力演奏、これほど爽快なラストは他にありましょうか…!!!(最後だけ聴いてもその感動は半減でしょう、ぜひ頭から通しでお聴きください!)
いずれ十分と言える人数と環境が揃ったバンドで、長い時間をかけてじっくり完成させていきたい1曲です。

なお…、
曲自体に関する情報は、調べれば色んなサイト等に載っているということと、あくまで「私の好きなもの」ということで紹介させていただきたいので、聴きどころばかりに重きを置いて綴ってまいります。予めご了承ください。

② J.バーンズ / 交響的序曲

1曲前で「これほど爽快なラストは他にありましょうか…!!!」としましたが、早速同率とも言えるであろうもう1曲を並べたいと思います…笑
アメリカの作曲家ジェイムズ・バーンズ氏による作品で、その魅力を私的に一言で表すならば“分かりやすく難しい”。演奏できることに強い憧れを抱いてしまう1曲でしょう、少なくとも私はそうでした。

“分かりやすく”というのも、全体は急-緩-急の3部で説明できるほどシンプルな構成であり、基本的なモチーフも一貫されています。1度聴いてすぐ覚えられてしまうほどの単純明快な旋律に、様々なドラマが乗せられるのです。
そのドラマたちも実に変化に富んでおり、中には連符1本で4小節を繋いだり、長い長いcresc.が連なるかと思えば、金管楽器はハイトーンの連続…。中間部も奏者の歌心が常に問われる自由な旋律たち。誤魔化しの効かない曲想にこそ“難しさ”が付き纏ってくるものです。

そしてこの曲のラストは大迫力のB dur!何度か実演を聴きまして、『序曲』ですのでオープニングで奏されることが多く、この約10分間で既にお腹いっぱいになる事象が数多く発生しました…笑
今日1日良い日だったな、と思わされるほどにボリューム感が強く、魅力盛り沢山な吹奏楽曲です。

③ 酒井 格 / てぃーだ

ここまでの2曲とは打って変わって。この曲も度々コンクールで演奏されることが多い曲…でしょうか。2010年に龍谷大学(委嘱団体ではない)によって全国大会で披露されたことを皮切りに、多くの団体に愛される曲へと昇華されたように思います。
この旋律が、律動が、多くの人の心に届くと思うと、それだけで「人生って悪くないもんだな…」と楽観視ができてしまうほど(…?)、とてもとても楽しい時間をお過ごしいただけます。

この曲を急-緩-急の3部を軸に構成されるシンプルな作りですが、もしこの曲を“演奏する”と考えながら聴かれる場合は、開始1分で尻込みしてしまう場合が多いかもしれません…。
速奏部のほとんどがシンコペーションな動きで、1拍目から吹き出すことの方が遥かに少ない。何なら動画をよくご覧いただければ分かりますが、冒頭の2音でさえ裏拍の動きです。これをメンバー全員で掴むには、相当量の鍛錬が必要でしょう。

しかしながら、噛み合った時の楽しさと来たらこれも相当なもので、奏者も聴者も踊り出してしまう!疾走感MAXなまま終曲し、余韻と同時に爽やかな風で辺りを包んでくれます。そこまでがこの曲の唯一無二の魅力!
字数の都合上割愛しますが、中間部の深い深いメロディもとても心に来ます…日本という文化を知っていて良かった。

④ J.マッキー / フローズン・カテドラル

近年の吹奏楽コンクールでは、上位大会に進むほどその名を見ないことの方が少ないであろう、アメリカの作曲家ジョン・マッキー氏。日本のみならず世界から注目を浴びる氏の作品の中でも、コンクールでは中々演奏されない1曲をご紹介。

なぜコンクールで演奏されないのか…その答えはScoreを見れば一目瞭然(ブレーン・オンラインショップでサンプルが公開されています)。スコア1ページの下部約4割を占めるほど、打楽器が必要不可欠な曲なのです…その人数、なんと10人。
職場・一般の部で考えてもMAX人数は65人。演奏はどうにかなっても、運搬やセッティングに対する苦労は計り知れません…()

そんな打楽器より、冒頭から放たれる煌めき溢れる音楽。10人も求める理由が1発で分かります。終始清涼感に溢れる音楽で、とにかくスケールが大きいのなんの。
後半は16分音符が敷き詰められ一定のビートを獲得しますが、ゆっくりと音楽は展開していき、徐々に高揚。最後には超大編成ならではの、笑ってしまうくらいには大大大迫力のサウンド。あっという間に過ぎ去っていく10分越えという時間に、幸せさえ覚えます。

⑤ E.ウィテカー/ゴースト・トレイン

これは本当にたまたまなのですが…ここまでの海外作曲家による作品3曲、全てアメリカの作曲家によるものとなりました。この曲はエリック・ウィテカー氏によるもの。
こちらもまたかなりの大編成を求める曲で、演奏時間は20分越え、グレード設定は堂々の5の難曲ではありますが、1度聴いて虜になってしまう方も少なくないのでは、と推察します…!

『ゴースト・トレイン』という曲名をそのまま投影したかのように、列車が走り出し、線路脇の踏切や建物などを通り抜け、ガタガタ走らせる情景がこれでもかというほど浮かんで来ますでしょうか、冒頭1分30秒ほど後から始まるaccel.に、ワクワクが止まりません!
…という1楽章から、なんとオシャレなSlow Jazzの音楽に飛び込むのが2楽章。吹奏楽という編成の良さを遺憾なく発揮した飛び込みようで、Sax.とPf.のSoloをワインを片手にいつまでも聴いていられます。そしてこの動画、いつまでも聴いて欲しい!と言わんばかりにSolo回しがとても長いのが…またニクい。笑

ラストにはシンフォニックな響きを多少取り戻し、見事な総括であっという間に終曲。細部にこだわってカッコ良く演奏したい1曲です。

⑥ 真島 俊夫 / レント・ラメントーソ〜すべての涙のなかに、希望はある(ボーヴォワール)〜

後半戦に突入。
また先ほどとは変わりまして、日本の吹奏楽史に必要不可欠と言える巨匠、真島俊夫氏による非常に美しい作品。他にも氏による美しい作品は数多くありますが、この曲ほど“洗われた”色彩を放つ曲は中々ないのでは、と個人的に感じます。

緩-急-緩の3部で説明できる曲ということで、前述とは逆であるもののシンプルさに変わりはない構成。この中で特に注目したいのは「緩」の部分。この部分だけ抜き出して考えれば、終始支配される調性はDes durなのですが、この主調がはっきりと奏でられるのはなんと最後の1音のみ!(譜面を見たことがないので確信し切れませんが…汗)
長い時間、長い展開の間焦らされ続けた結果、ラストのcresc.により最高の安堵感、最高の感動を届けてくれます…!

曲名に『レント』とあるように、非常にゆっくりと進行する曲であるため、各楽器のサウンドが相当洗練されてこそ挑戦できる曲である分、再演回数が少ないのがとても残念な曲…。立ち会うことができたなら、何事にも代え難い体験となりうることをお約束いたします。(私自身がその機会を構築できる側になれるよう頑張ります…!)

⑦ J.デ=メイ / エクストリーム・ベートーヴェン 〜ベートーヴェンの主題による変容〜

同じ作曲家で『エクストリーム・メイクオーヴァー』という作品もありますが、全くの別曲ですのでご注意を。こちらは随所でベートーヴェンの有名な旋律が引用された楽曲で、全体を通して20分近くの演奏時間を誇ります(今回演奏時間が比較的長い曲が多くなってしまった…と後から反省…)。

昨今、吹奏楽編成に編曲される作品は数多く事例がありますが、ベートーヴェンの作品が吹奏楽に書き換えられることはあまり多くないように感じます。そんな数少ない事例でありながら、非常にエネルギッシュな姿に生まれ変わったのがこの曲。鼓笛隊を模した編成が必要であったり、終盤に来て金管楽器を中心に強奏に次ぐ強奏であったりなど、挑むだけで相当の編成や技量が必要です。今回の紹介曲の中で最もハードルが高い1曲のような気がします…。
その第一段階を超えてしまったが最後、ボリューム満点の音楽に酔いしれてばかりの時間が味わえることでしょう…!実は譜面自体はそこまで難解な部分は少なく、正攻法で読み進めることができそうな印象なのがまた、挑戦してみたい冒険心をくすぐられる原因だったりします。

“変奏曲”、“変容”とされる曲は、長い場合によく中弛みを感じることもしばしばですが、緊張感が途切れることなく終始楽しめるため、ストーリーメーカーとしてもとても巧みな構成!一生に一度は演奏側として、実演に立ち会いたい(=立役者になりたい)ものです。

⑧ O.トーマス / Come Sunday

この辺りの曲を既にご存知である皆様は、吹奏楽を愛好される皆様ということで胸を張っていただいても良いのではないでしょうか…!
この曲も、アメリカでご活躍中の作曲家、オマール・トーマス氏による作品で、日本での演奏歴は、昨年に1団体だけ吹奏楽コンクールの自由曲として演奏されたことがある他、いくつかの団体に定期演奏会などの場で演奏された程度、まだ数えられる程度の回数だったかと思います。

全体は2楽章で構成されており、相反する音楽がそれぞれ展開されます。1楽章は、まるで教会内で祈りを捧げているかのような崇高な音楽。とても自由な旋律を複数人で歌い上げるには、細かいニュアンスまで揃える必要があって大変そうな印象もありますが、安心感のある和声進行も相まっていつまでも浸っていたいような音楽です。冒頭のT.Sax.のSoloも相当の魅せどころ。
こんなテンションで穏やかに終曲するかと思えば…2楽章でとんでもないハイテンションに変貌!このギャップ、一発で惚れます。動画内でもたちまちお祭り騒ぎになり、軽快なゴスペルミュージックが全体を支配!各パートに出番が多く、連符を無双していく…この場にいる全員が興奮と感動で、幸せそうな様子です…!最後の一音までMAXで駆け抜けた結果、2つの意味で「あっという間」の満足感を得ることができます。

吹奏楽編成は、様々なジャンルの音楽を旅することができるということこそが大きな魅力の一つ!ぜひ週末に向けテンションを上げたい時にいかがでしょう!

⑨ 高 昌帥 / Chirche for Wind Orchestra

日本では吹奏楽コンクールを筆頭に非常に有名な作曲家、高 昌帥氏。圧倒的な演奏歴を誇る楽曲も数多くありますが、この曲は未だ片手で数えられるほどの回数。毎年3月に行われる新作発掘に特化した吹奏楽公演「響宴」にて取り上げられることもあって全国へ広まっていきましたが、中々再演がされないのには…。

ということで、曲をご存知ない方はぜひ先に聴いてみてください。但し「よく分からない」ということを楽しむ姿勢で。また、どんなことが特徴的な音楽なのか、予想を立ててお進みいただけたら、よりお楽しみいただけるかと思います。

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…ということで、この曲の難しさは「拍子」にあります。
5/8 + 5/8 + 3/4 + 5/8 + 5/8 + 4/5(8/10) 数字に表すとこうなります。この複雑さでも実は「混合拍子」の一種、しっかりとした法則性があります。これを吹奏楽曲で起用する発想自体が末恐ろしい…!目まぐるしく変化に富んだハラハラする音楽に昇華され、氏の他の曲には無い演奏経験が味わえることでしょう!
このスピード感に音が乗り、合奏が成立するという時点で相当なものです。私は生粋の変拍子大好き人間でして…こういった音楽を聴いているとゾクゾクとしてしまうのです。どうか距離を置かないで…笑

拍子の話を抜きにしても、音楽的な高揚がとても大きく、最後まで駆け抜けきった後の達成感はかなりのものと想像します。前述により、この曲を知ってすぐに私はハマってしまったので、混合拍子も既に慣れてしまうほどに練習をしましたが、これが大人数でできる日はいつか来るのだろうか…(吹きたいという方、是非お声がけください笑)

⑩ J.ストレンス / ダンス・フュナンビュレスク

本noteでは10曲目、最後に紹介する曲であると共に、勝手ながら10曲の中で最も知名度的には低めな曲だろうということで…こういった曲も今後においてどんどん発掘していける活動を展開していきたいものです。

この曲を和訳すると「綱渡りの踊り」。綱渡りですよ…聴く前から穏やかな曲想では無いことが想像できることでしょう…()
まさにその通り。ヒヤヒヤするようなシーン、突然のトラブル、先の読めない展開などの連続で、約11分の時間で奏者も聴者も心臓の鼓動が数十早くなってしまいそうな構成です。このハラハラ感がお好きな方も、一定数いらっしゃるのでは無いでしょうか。笑

構造を分析しに掛かると意外と要素自体はシンプルで、同じリズムを繰り返しながら表情が変わったり、規則性を失ったりという流れがいくつか点在します、譜面に書いてある情報以上のことを読み取る重要性がより高そうです。これらを新鮮に演奏し切ることのできる表現も必要不可欠、情景を「想像して演奏」する以上に「想像させられる演奏」ということが必要です。きっと音楽づくりの過程すら楽しそうですね…!
一体最後にはどんな結末を迎えてしまうのか…これ、いくらでも速くしたくなりますね!(これは指揮をする人間でないと共感されないでしょう…())本当に綱渡りをしているような切迫感を、ぜひ生の音楽でもお楽しみいただきたいです!


ということで、10曲のご紹介でした。このウエイト(またはそれ以上)で広めたい曲が100曲以上あります…!(怖)
ぜひ色々と紹介させてください。自分自身の備忘録にもしているので、他の投稿と同様に「定期的に投稿する」ことを第一にやらせていただきます。

 … … …

今後も共通して、こんなルールを自分で設定してみています。

○ 同じ作曲家の作品は1曲のみとする(色んなスタイルの曲を紹介したいので)
○ 動画が紹介できる曲のみとする(せっかくならばお聴きいただき、共感いただける部分があると嬉しいので→私が出会ったきっかけである音源とも違う場合があります)
○ 譜面の販売状況、演奏歴は不問とする(紹介動画がプロでない、高音質ではない場合などがあります)
○ 読み込み度が浅い曲も含めて列挙(経験がある場合は説明内で触れるようにします)

広めたい曲が多すぎて…選曲に困ってしまう。今回の10曲が“最も”好きというわけでもありません、ご了承ください。

ということで、引き続き半分お気楽モードでお楽しみいただけていれば幸いです。笑

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