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タワーマンションの未来。新時代の共用施設 その1 後編

どうも、サウザンドハンズ社長です。

前回に続いて、「タワーマンションの未来。新時代の共用施設 その1」をお届けいたします。

今回で完結です。

こちら後編のため、前編・中編をまだご覧になられていない方は、前編から順にご覧ください。前編はコチラ 中編はコチラ

トライアルルーム運用開始

トライアルルームの運用が始まると、その物珍しさに、ネットニュースやSNSで取り上げられ話題になりました。

管理組合では、今後の運用の参考にするために、トライアルルームの効果測定をおこないました。

導入後一年間、物件売主からも情報提供を受けデータをまとめた結果、物件見学者の全てがトライアルルームの宿泊を希望することはなく、全体の2割に満たない程度、トライアルルームの利用頻度は週に1~2回という内容でした。

一方、トライアルルームを利用した物件見学者の申込率は凄まじく、約8割が申込に繋がっている、という結果が得られました。

ある程度気に入った方がダメ押しで利用し、確実な申込に繋がっている様子でした。

これらの取り組みを聞き付けたのでしょう、導入から一年が経過する頃から、首都圏各地のゲストルームがある大規模マンションやタワーマンションの管理組合から、問い合わせや視察の依頼が入ってくるようになりました。

今後、同様の取り組みが他のマンションにも波及していく可能性は高いと思われます。

物語はまだ終わらない

トライアルルームの運用が始まったタワーマンションに居住するD氏は、某大手デベロッパーのマンション開発部門で働いていました。

D氏自身は、しばらく自宅を売却する予定はなかったのですが、管理組合総会の議案に上がった頃から、トライアルルームが、今後開発する新しい物件の付加価値として参考になるのでは、と考えるようになりました。

タワーマンションは、資産性やリセールバリューを気にされるお客様層が分厚いです。

その層のお客様にもっと訴求できる共用施設・サービス。

D氏は、自らある程度の骨格を考え、その後は社内のチームで、新しい共用施設・サービス案をまとめあげました。

社内プレゼーションを経て、事業計画中のタワーマンションの新共用施設として導入することが決まりました。

新しい共用施設の名称は「UXスタジオ」

UXとは、ユーザーエクスペリエンスの略で、ある商品やサービスを通じて、利用者が体感し得られる印象のことです。

そのマンションのことをもっと知ってもらうための場所というコンセプトです。

具体的な特徴はこのようなものです。

一言で言ってしまえば、新築時のマンション販売センター(マンションギャラリーやゲストサロンなど呼び方は様々)と同等の機能を有するモデルルームのような部屋を、実際のマンション内の一角に共用施設として造ります。

通常、現地販売センターを作る時は、実際の商品である住戸を、モデルルームや事務所として利用するのですが、それとは別に造ります。

マンションの分譲が終わるまでは原則として、分譲主が利用しますが、完売後は、マンション内の中古物件を売却するときに利用できるスペースとなります。

UXスタジオの内部はこんな感じです。

玄関を開けて入ると、廊下の壁には設備・仕様説明パネルが並んでいます。

かなり広いリビングダイニングに入ります。

リビングの一角には、構造模型やマンションの立体模型が置いてあります。

テレビの代わりにスクリーンが設置されており、分譲時のコンセプト映像が観れるようになっています。

ここまで出てきた様々な設置物等は、新築マンションのモデルルームを見学したことがある方ならピンとくると思いますが、全て販売センターの内部に設置されていたり、確認したりできるものです。

その物件を知る上で非常に参考になる有益な情報源ですが、これまで中古物件の販売の現場では存在しないものでした。

なぜなら、実は何百万と経費が掛かっているものなのですが、新築分譲が終わると、基本的に廃棄されてしまっているからです。

これらを廃棄物ではなく、遺産としてマンション内部のUXスタジオに遺すのです。

中古物件を取り扱う不動産仲介会社の営業は、これらを使ってお客様に対してより詳細に物件を説明することができるようになります。

UXスタジオの内部には、寝室があり、水回りもあります。

勘が良い方はお気づきだと思いますが、UXスタジオは宿泊もできるようになっているのです。

宿泊機能は、トライアルルームと同じような運用ですが、初めからゲストルームとは別で計画されているため、運用システムは異なります。

最大の違いは、日中は、不動産仲介会社の営業も入り、お客様に物件説明ができる場であること、そして、このUXスタジオが、マンションの建物内部だけれど、居住エリアのセキュリティ外部に設置されることです。

これにより、トライアルルームよりもセキュリティ度が高まっています。

いずれにしても、宿泊者は、検討のための材料がこれでもかと詰まっている空間で、夜通しその物件について考えることができます。

将来の資産性維持にフォーカスした施設・サービスとして、新築分譲時から大きな注目を浴びることになりました。

最後に

皆さん、最後までご覧いただきありがとうございました。

こちらの内容は、一番最初に申し上げたように、あくまで私の予想する未来(妄想)です。

しかし、全くの空想ではなく、新築分譲マンションの販売と中古マンションの売買仲介のどちらも経験したことがあり、かつタワーマンションに居住している私が、”ここがこうでこうなれば良いな”と感じたことが基になっております。

ご意見、ご質問などございましたら、お気軽にお尋ねくださいませ。

なお、次回になるかはわかりませんが、「その2」の用意がございます。

かなりインパクトある内容で、”その発想はなかった!”と思っていただける自信がありますので、ぜひご期待ください。笑



東京都中央区日本橋にある不動産会社の社長が執筆しています。不動産取引のことや不動産業界のことなどを書き連ねていきたいと思います。何かご質問やご相談がございましたらお気軽にお尋ねください。noteのテーマのリクエストでも大丈夫です♪