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元実況アナ週一コラム      ファイナル           4cmに宿った見えない力

4cmに宿った見えない力

 
それは今から23年前、
だんご3兄弟がヒットし
💶ユーロが誕生した年の話し!
中央競馬1年の総決算
グランプリ有馬記念での出来事、
残り200㍍で

先頭に立ったグラスワンダーに
内からテイエムオペラオー
外からスペシャルウィークが猛追。
後20㍍でオペラオーが力尽き
最後は2頭首の上げ下げでゴールイン❕
勢いは外スペシャルウィーク、
しかしゴール板でグラスワンダーが
グッと鼻先を伸ばした。
殆んど同時の雰囲気で、
当然写真判定に持ち込まれた。
その中で勝利を示唆する

ウイニングランは、
スペシャルウィークが行って
15万人近くのファンから
騎乗している武豊Jの

ユタカコールが起き、
完全に勝負あった感の中山競馬場。

この時レース後取材の為
関係者エレベーターに向かう私の視界に、
グラスワンダーを管理する
尾形充弘調教師の姿が入っていた。
青ざめた顔色、
フーとため息を吐く様子は
やはり負けを覚悟しているムード。
そしてレース後確定迄の間、
暫定的に馬が入る
順位ボックス2着の場所に
鞍上的場均騎手と

グラスワンダーが入った。
暫くはほぼ決まった様な
判定を待つばかりの中、
検量室前に

スペシャルウィークが戻って来た❗
とその時衝撃の結果が・・・

長い写真判定の末
電光掲示板の1番上に灯った番号は7、
スペシャルウィークの馬番は3!
どよめく競馬場に

一際大きな声で響いたのは
「お父さんが勝ってたよ」と言う
子供の声だった。
声の主はそう的場騎手のお子さん、
一気に検量室前の空気が

変わったのである。

次の瞬間尾形調教師はやったーと叫び、
両腕を天に向かって突き上げ
渾身の喜びを表現
正に地獄から天国へ昇った様だった。

大接戦となった2頭、
実はこの年春の宝塚記念で初対決!
その時はスペシャルウィークが
早目に先頭に立ち
グラスワンダーが追い掛ける展開で
豪快に抜き去り3馬身差で
グラスワンダーに軍配が上がっていた。
それ故3馬身差を逆転するには
同じ競馬では駄目だという
最後方待機が

スペシャルウィークの戦法だった。
レースはスタート後武豊Jが
グラスワンダーを確認しながら後方に下げ
ライバルの真後ろに付けていた。
常にグラスワンダーの動きに
合わせるように走り
前を捉えに行く際も、
ずっと目の前に
グラスワンダーを置く競馬を貫いた。
それだけに最後の最後作戦通り
勢い的にしてやったりと言う高ぶりが
僅かなジャッジを

狂わせたかも⁉️しれない。
そうじゃないと

ゴール板を知っている天才が、
判断を間違えるはずもないだろう‼️
後は見えない力が働き
神様の後押しがゴールの瞬間、
劣勢になりかけていた
グラスワンダーを救って
もう一踏ん張り利かしたのか? 
と感じる粘り具合。
普通の脚色で有れば
スペシャルウィークの勝ちは

頷ける物だった❗

そもそもグラスワンダーは
尾形調教師が自らアメリカに足を運んで、
オーナーに頼んで購入した
キーンランドセール出身の馬。
デビューから4連勝を達成し
末恐ろしい競馬を続けていたが、
骨折を機にスランプを味わった。
この時同じ厩舎に

エルコンドルパサーという
強い馬が出現し、 
両馬の手綱を取ってきた的場騎手は
ある時同じレース出走で
選択を迫られた。
長らく迷った末

選んだのはグラスワンダー、
結果はエルコンドルに先着を許し
選択ミスという声も上がる中
本調子にない事を理由に
敗戦を飲み込んだのであった。

そんな経緯もあり、
このグランプリに賭ける
騎手の執念が最後の一押しを生み出し
微差を制した要因かもしれない。
勝利が確定すると
「正直驚いた❗
 ハナだけでも出ていた事に

 感謝したい」と 
冷静に喜びを噛み締めた的場J。
常にガッツポーズをしない
ベテランらしい言葉であり、
馬との絆が最後の瞬間を
演出したのかもしれない。
そして何より
尾形調教師がポツリと漏らした話しに、
そうかもしれないな~
と思った事が有った‼️
その中身が
「2月に亡くなった父が
 見えない後押しを
 してくれたんじゃないかな?
 恐らく神様がご褒美を
 くれたんだと思います」
尾形充弘師のお父さんは
同じく調教師だった盛次(もりつぐ)さん。
その父藤吉さんから合わせると
三代にまたがる競馬ファミリー、
だからこそ一族のプライドにかけて
大方の見方を覆す

後押しが有ったのでは・・
あの時息子が突き上げた拳は、
天国のお父さんお爺ちゃんへの
感謝だと察した❕

第44回有馬記念
大接戦の結末は4cmのドラマ、
神様しか書けないシナリオだった❗
さて67回の今年は
どんなゴールシーンが待っているのか❔
結末は神様だけが知っている❗
全馬無事を祈り、
熱く応援したいクリスマス🐴

競馬は人馬共に、
時に血が物を言う
奥深さが存在するスポーツなのである。

これからもそんな奥深さを感じつつ、
レースを見続けて行けたら本望な
何の取り柄もない筆者である。
 
これ迄乱筆をご覧頂き
有り難うございました🙇








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