元スポーツアナ週一コラム vol.7 3秒の美しさ 9月15日編 14 仙田和吉 2022年9月15日 14:43 3秒の美しさ日中はまだまだ残暑厳しいですが、朝晩は涼しくなって来ました。 秋めいてきた綺麗な夜空を見てふと思い出した言葉がある!「3秒に魅了されてしまったの」 今から約25年程前、初めてお会いした時に聞いた衝撃のフレーズ❗たった3秒で心惹かれるものなんて何があるだろう?絶景?赤い糸で繋がっている人?ペットショップの動物?大体がある1つの対象物に湧く感情の様に思える。その言葉の主は・・・直木賞作家であり作詞家としても五木ひろしさんの横浜たそがれ石原裕次郎さんの北の旅人などを書いた山口洋子さん。そんな山口さんが惚れた3秒とは?プロ野球で内野手が併殺を狙う一連の動きだった❗「あの白いボールが 何のためらいもなく、 例えば6➡️4➡️3と渡る ショートからセカンド そしてセカンドが クルッと反転して ファーストに送球して ボールが移って行く様。 白球が糸を引くように、 スムーズに軽やかに グラブに収まり 離れて行く姿 あの3秒の美しさは 芸術的! 本当にダブルプレーの 場面が好きなの」 確かに併殺シーンは鮮やかだと思う。ただ美しいと言う見方は無かった。女性ならではの目線であり、足繁く球場に通っていた山口さんならではの野球に対する愛情表現。そんな山口さんとお話し出来る機会は、自分のミスから始まった。忘れもしない人生初のプロ野球取材の時、場所は神宮球場。ヤクルト野村監督時代、練習時1塁ベンチで報道陣相手に30分程度監督を囲む取材対応があった。そしてここでの決まりは、絶対メモを取ってはダメ🆖本当に聞きたい事は目を見て話して覚えるものだろうと言う道理が有った。そんな中、初取材で多くの報道陣の輪の1番後ろにいた私は、何とか聞き取れる言葉をほんの僅かノートに記している所を野村監督に見られてしまった❗「おいそこの若いの、 見ない顔だな! メモを取ったら アカン事知らんのか?」野球の話が止まり、監督の低い声がこちらに向けられ周囲の冷ややかな視線が集中的に送られてきた。自身どうすることも出来ず、どぎまぎしていると監督の横に座っていた女性から救いの言葉が飛び出した‼️「あんな若いお兄さんが 汗かいて頑張っているんだから、 監督大目に見てあげなさいよ!」この一声で流石の野村監督も苦笑いで、次からは気を付けろよと事態は収まった。その声を出してくれた方こそ山口洋子さん。難を逃れた私は当然練習終了後監督に謝りに行き山口さんにお礼を言いに向かった。そこで教えて頂いたのが前述の「3秒の美しさ」ワンプレーの完成形に至る迄必死に練習している汗や涙を知っているだけに愛おしく思うとの事。そんな山口洋子さん亡くなって先日9月6日で8年も経った。五木ひろしさんで大ヒットした「夜空」の歌詞を書いたのも野球好きな山口さん!今宵もそんな空を見て白い星が白球の様にためらいもなく流れてくれたら美しいだろうな~と思う感傷の秋である❗ ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #プロ野球 #夜空 #ヤクルトスワローズ #神宮球場 #石原裕次郎 #スポーツコラム #元アナウンサー #五木ひろし #野村監督 #山口洋子 #ダブルプレー #北の旅人 #横浜たそがれ 14