偶然を力に変えて。[くま日誌]156号
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世の中というのは、複雑系であり、事後的にしか分からないことだらけなんですよね。「コネクティング・ザ・ドッツ」のスピーチを聞かれたことのある方も多いかと思いますが、これはまさに「世の中っていうのは、事後的にしか分からないものだよ」というメッセージなんじゃないですかね。
なにが起こるか分からないけれども、世の中へ働きかけることにより、結果として何かが起こる、
という真理を心底信じられるか、ということなんだと思います。
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シリアルアントレプレナーと呼ばれる、一人で複数の事業を立ち上げられる方がいらっしゃいますが、そのような方は「複数人集め、自分たちがなにができるのかを考える」と言われています。
サラス・サラスバシーが「エフェクチュエーション」で書いたクレイジーキルトの原則と呼ばれるものです。
キルト作りをイメージしていただきたいのですが、布があるところには必ず切れ端が生まれます。その切れ端を持ち寄って、友達通しでパッチワークをして、一つの作品に仕上げていくんですよね。
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一つの一つのキルトだけではその美しさを表現することはできないのですが、それをパッチワークによって表現することにより、事前には予想できなかった美しい、例えば、ベッドカバーなどができるわけです。
クレイジーキルトとは、このように、その辺にある余った布を張り合わて作る方法のことを指しています。
起業家精神というのも、このクレイジーキルトのように、複数人が集まり、自分たちの手持ちの資源を生かし、パッチワークのように、なにかを織りなしていく、それは事前に、どのような模様になるのかを予想することはできない、
というものになりますよね。
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私たちは、あまりに、「計画が先にあり、その計画に沿って実行したことにより事業が立ち上がった」という考え方に囚われているように思います。
事後的にしか分からないことに対して、「それをやったら、なにが手に入るのですか?」という答えを事前に求めてしまう傾向があるように感じます。
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「事後的にしか分からない」ということを言い換えると、「偶然をテコにする」ということですよね。
「偶然をテコにしたことがない方は、偶然がテコになると信じきれない」という断絶を乗り越えて、「コネクティング・ザ・ドッツ」、偶然の発生を信じて、世の中(他人)へ働きかけ続けられるか、ということなんだと思います。
その過程で、結果として出来上がってくるネットワークの中で、なにができるかを考え、交渉(アスキング)してみることで、(ひょっとしたらなにかが起こるかもしれないという)偶然を手にすることができるのだと考えています。
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