かまくび

帰り道。
周りを田んぼに囲まれた車道。
朝ではないので、ゆっくりと走る。
数十メートル先の道の真ん中に、「ひも」か「なわ」のようなものが見えた。
1メートルか、もうちょっと長いような。
太さは、どうだろう、直径2~3センチくらいだろうか。
走りながら気付いた、あれはおそらく「蛇」だろうと。
さすがに何蛇かは、分からない。
理科博士ではないし、蛇マニアでもない。
瞬間考えた、あれを轢き殺すこともできると。



タイヤでその蛇の一部分を踏む。
おそらく…、蛇は破裂して肉塊に成り果てる。
タイヤとか、車の下側の部分が蛇の血や、肉で汚れる。
もしかしたら、においが染み付く。
蛇のたたりとかは信じないが、信じなくてもまとわりつくかもしれない。



タイヤでその蛇の一部分を踏まず、速度はそのままで上を通り過ぎる。
蛇は死なず、うまくすれば車道を渡り切る。
反対側か、または同じ側の田んぼか用水に生還する。
大体どこから車道に上がったのか、不明ではあるが。
うまくしなければ…、俺ではない別の車に轢かれ、死ぬ。



数秒ののち、俺は蛇の上を通り過ぎた。
バックミラーで見る。
通り過ぎる前のまま、その蛇はいた。



あれが蛇かどうかは、はっきり確認できたわけではない。

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