ベテルギウス星人について
あなたはスピリチュアルな話が好きだろうか。
私は嫌いではない。
むしろ、興味をそそる。
最近面白いなと思ったのは、TikTokでたまたま見かけたスピリチュアルな人だった。
その人は宇宙からやってきたらしい。
宇宙人である。
ベテルギウスという星から来たらしい。
このおじさんの、脇の下にあるのがベテルギウスだ。
地球から約640光年も離れているらしい。
1光年が9兆5千億kmなので、時速15kmのママチャリでベテルギウスに行こうとすると
約10兆6千億年こぎ続けることになる。
体力に自信のある人はぜひ挑戦してほしいが、私は遠慮しておく。
しかし我々ベテルギウス調査班を驚かせたのは距離ではなかった。
ペテルギウスの大きさを見てほしい。
太陽が針の先のようだ。
でかすぎる、ベテルギウス。
しかもこのベテルギウス。
まだ生まれて800万年だが、でかすぎて寿命が1000万年らしい。
寿命まであと200万年ではないか。
ママチャリでベテルギウスに行っている場合ではない。
必死にこいでも到着した頃にはもう跡形もなくなっているだろう。
東大「早くて10万年後に爆発します。」
危うきベテルギウス。
危うきベテルギウス星人。
とんでもない星からわざわざ地球にやって来てTikTokに動画を投稿している場合ではない。
一刻も早くベテルギウスに帰って、ベテルギウスのことを心配するべきだ。
「人間の一生は、ベテルギウス星人のまばたき一回分です。」
そう言いながらへへへ、とペテルギウス星人は笑う。
笑っている場合ではない。
それは非常にまずいではないか。
仮にベテルギウス星人が8時間睡眠だとして、人の寿命を80歳だと仮定すると
ベテルギウス星人が寝て起きる間に約460万年過ぎてしまう。
ベテルギウス星人が寝ておきたらベテルギウスがもうないではないか。
ベテルギウス星人
「東京が浸水するのでできるだけ遠くへ逃げてください。」
画面に向かって一生懸命訴えるベテルギウス星人。
確かに東京も心配かもしれないが、ベテルギウスのほうが緊急だろう。
母星では避難指示の警鐘が鳴り響いているに違いない。
早く帰って少しでも家族との時間を過ごした方がいい。
庭にりんごの苗を植えるのもいいだろう。
我々ベテルギウス調査班は、彼女にママチャリを貸すべきか非常に悩んでいる。