見出し画像

『再評価されるコミュニティ:成長を促す運営技術』α版


序文

Web3において、Polygon JapanやPudgy Penguin Japanを立ち上げ、運営していく中で、コミュニティ運営についてよく質問されます。

また、グローバルなWeb3コミュニティの栄枯盛衰の中に身を置きながら、自分なりに考えをまとめてみました。

コミュニティとは、事業立ち上げと同じくらいさまざまな職能が求められ、非常に複雑化しています。

営業、採用、マーケティング、インフルエンサームーブなど、さまざまな能力を駆使しながら構築していくその実態は、マジックワード的な曖昧な概念で括られがちで、何から手をつけてよいかわからない人も多いと考えています。

私自身も勉強の途中ですが、このブログを通じて、これからコミュニティを始める人々にとって考えるきっかけとなり、また、コミュニティに精通している方々との意見交換の機会となればと考えています。

このブログは今後も更新を重ねていく予定です。私にとって、コミュニティに関連するテーマでブログを書くのはこれが最初で最後だと思うので、もし内容がお役に立ちましたら、ぜひ「いいね」やシェアをお願いします。

【第1部/コミュニティの理解】

(1)コミュニティの重要性

近年コミュニティの力が再認識されさまざまなカテゴリやジャンルで立ち上がっています。理由としては、SNSにおけるデベロッパーとユーザーの対話が難しくなったことが挙げられると考えています。

(ここでいうコミュニティの前提としては。インターネット/リアルを利用して営利を目的とする個人、企業、団体が立ち上げるようなコミュニティの範囲を考慮します。また、各種SNSのコメント欄やその他のコンテンツにおいて、大なり小なり以下のような問題が散見されると考えています。)

  • 誤情報とデマ: SNS上では誤った情報や根拠のない噂が迅速に広まることがあります。これが社会に対する誤解を招いたり、パニックや不安を引き起こしたりすることがあります。

  • エコーチェンバー効果: ユーザーが自分の意見や信念を強化する情報にのみ曝露される状況を指します。SNSのアルゴリズムがユーザーの過去の行動を基にコンテンツを推薦するため、異なる意見や視点に触れる機会が減少し、極端な意見が強化されることがあります。

  • ハラスメントとトローリング: SNS上での匿名性や偽アカウントを利用した攻撃的な行動や嫌がらせが発生しやすくなります。これにより、特定の個人やグループに対するネガティブな印象が形成されたり、不当な扱いを受けたりすることがあります。

  • ポリコレ(政治的正しさ)の過剰: 社会的な敏感さを考慮して言葉を選ぶことが重要視される一方で、過剰な政治的正しさが自由な表現を抑圧すると感じる人もいます。このため、SNS上での自己検閲や一方的な議論が増えることがあります。

  • アイデンティティの強調: SNSでは、ユーザーが自己のアイデンティティ(人種、性別、政治的立場など)を前面に出すことが多く、それによって極端なグループ分化が生じやすくなります

(2)始める前に確認すべきコミュニティ構築の前提条件

・時間軸:いいコミュニティは長い運営思想のもと成り立ちます。
・運営者の目的とゴールイメージ:コミュニティをプロジェクトとしてやる意義やゴールイメージを持っていることが設計の方針を決めると考えています。
・コミュニティが付随するサービス:どのようなサービス起点でコミュニティを作るかによって設計の方針が変わると考えています。
・組織として使えるリソース:YouTube、ツイッター、テレグラム、ティックトック、ディスコード、フェイスブックなど多様なコミュニティ形成ツールがある中で、最小リソースで最大効果を狙うためのツール選定をするために必要です。

(3)良いコミュニティの特徴

ほぼ理想系でしかないのですが、良いコミュニティは、以下の特性を持つと考えています。

  • 共通の目的や価値観: コミュニティメンバーが共有する明確な目的や価値観が存在することが、結束力の源泉です。これによりメンバーは一致団結し、協力して目標を達成しようと努力します。

  • オープンなコミュニケーション: 効果的なコミュニケーションは、コミュニティ内での理解と信頼を深めるために重要です。オープンで透明な対話を促進することで、誤解を防ぎ、健全な関係を築くことができます。
    包括性と多様性: さまざまな背景を持つ人々が受け入れられ、尊重される環境は、新たなアイデアや視点をもたらし、コミュニティを豊かにします。多様性は新しい学びと成長の機会を提供します。

  • 相互支援と協力: メンバーが互いに支援し合い、共同で問題解決を図ることができる環境は、コミュニティの結束を強化します。このような協力関係は、メンバー間の信頼を深め、共有の成功体験を創出します。

  • アクティブな参加とエンゲージメント: メンバーが積極的に参加し、コミュニティの活動に関与することは、活力あるコミュニティを維持するために必要です。活動的なメンバーは、他の参加者をも動機づけ、コミュニティの目標達成に貢献します。

  • リーダーシップと管理: 効果的なリーダーシップはコミュニティを指導し、方向性を提供します。良いリーダーはメンバーからのフィードバックを受け入れ、必要に応じて適応しながらコミュニティを前進させます。

  • 独自の言語やカルチャー:コミュニティの内部の人間は明確に意味がわかるが、外部の人間にはわからないフレーズや、外部の人間がマネして使い出すような行動指針を表す言葉

(4)またコミュニティ運営において不回避な事象の扱いについて

コミュニティ内では、個々の関係性や価値観の違いにより、ケースバイケースで善悪や方針の判断判断が難しい状況が生じます。

これらは必ずしも悪いわけではなく、問題は常に全体の割合に関連しているため、適切に対応、調整する必要があります。

  • 人間関係:個々で仲が悪い人が存在する。

  • 主張の違い:異なる主義主張を持つ人がいる。

  • フリーライド:何らかの共有リソースや公共財を利用する際に、そのコストに相応しく貢献しない個人の行動を指します。

【第2部/地下アイドルのイメージで理解するコミュニティ運営】


コミュニティ運営を地下アイドルの成長過程に例え、初期の個人的な接触から自立的なコミュニティ活動へと展開していくイメージを共有します

フェーズ1:1対1の接触/個別関係の構築

  • アイドル個人: 最初はライブや路上での直接的な握手など、個人的な接触を重視します。

  • コミュニティマネージャー: SNSや個別のつながりでの個別の「いいね」やリアクションを通じて、個人への直接的な訴求をします。

フェーズ2:1対多の拡張/より大きなグループとの関係拡大

  • アイドル: ライブイベントでファンの団体、いわゆる「親衛隊」が形成される段階です。

  • コミュニティ: モデレーターが増え、これによりファン自身がイベントの企画や運営に参加し、活動が自発的に盛り上がります。

フェーズ3:多対多の自律/コミュニティの自立化と成熟

  • アイドル: ファンの願いや要望を、自分という媒介を通じてサポートする側に回る段階です。これは集団的自己実現とサーバントリーダーシップの実践を意味します。

  • コミュニティ: コミュニティが自律的運営に移行し、運営者の直接的な介入が少なくなる状態です。また、メンバーの夢や実現したいこと、トラブルなどを解決するような役割に変わっていきます。

【第3部/1対1のコミュニティ立ち上げ】

(1)ナラティブ作り

ナラティブとは:

この文脈において、ナラティブはコミュニティ参加者全員が共感できるテーマや筋書きを指します。

このテーマは、ドラマの筋書きのように、参加者が共に達成を目指す目標に向けたストーリーを形成し非日常の体験をコミュニティメンバーに与えることができるようになります。

ナラティブをバイラルさせるフレーズ:

効果的なナラティブは、繰り返し使われるキャッチーなフレーズや言葉を用いて表現されます。これにより、メンバー間で広がりやすく、SNS上でハッシュタグとして使用しやすい内容が求められます。

大事なのは、コミュニティリーダーが説得力のある言葉を継続的に伝えることです。一度フレーズを決めたら、少なくとも一年間は、ソーシャルメディアやリアルの場で毎日繰り返し発信し続けることが重要です。

フレーズが他人に真似され始めたら、ナラティブが広がりを見せ、正しい方向に進んでいる兆しと考えることができます。

具体的な例

アップル社の「Think Different」キャンペーン


この広告キャンペーンは、創造性と革新を重視するアップルのブランドイメージを確立しました。歴史的な偉人たちをフィーチャーし、彼らがどのように世界を変えたかを通じて、アップル製品がいかにユーザーの創造的な可能性を解放するかを訴えました。

ナイキの「Just Do It」

このスローガンは単なるスポーツウェアの広告を超え、個々人の挑戦と成功を象徴するメッセージとして広く受け入れられています。ナイキはこのナラティブを通じて、すべての人がアスリートであるというメッセージを強調しています。

木下慶彦「起業しろ」

このスローガンは単なる個人の発言を超え、モバイルインターネットシフトにおける学生起業家を増やすためのメッセージングとして、広く受け入れられました。SkylandVenturesはこのナラティブを通じて、起業(スタートアップすること)は職業選択ではなく、人生の選択(ライフスタイル)であるというメッセージを強調しています。

(2)コミュニティマネージャーの仕事と振る舞い

初期のコミュニティマネージャーの仕事

コミュニティマネージのスタートラインは人それぞれだと考えていますが、下記のような仕事が一般的なスタートのタスクとなる場合が多いです

・コミュニティのビジョンとミッションの定義: コミュニティが何を目指し、どのような価値を提供するかを明確にします。これは、コミュニティの全ての活動の基盤となります。

・ターゲットオーディエンスの特定: コミュニティを誰に向けているのかを明確に定義し、そのニーズや期待を理解します。

・コミュニケーションプラットフォームの選定: コミュニティメンバーとの対話や情報共有のためのプラットフォーム(例えば、Facebook、Discord、Slackなど)を選び、設定します。

エンゲージメント戦略の策定: メンバーがコミュニティ内で積極的に参加し続けるための戦略を計画します。これには、ウェルカムメッセージの作成、イベントの開催、ディスカッションの促進などが含まれます。

・ルールとガイドラインの確立: コミュニティの健全な運営を保つための規範やガイドラインを作成し、公開します。これは後から設定すると不平不満や、見ていなかったなどのケースが発生するので、大枠のルールだけでも先行させて設計する必要があります。

・初期メンバーの募集とオンボーディング: 初期メンバーを募集し、コミュニティに歓迎して、活動に積極的に参加してもらうためのプロセスを整えます。

・フィードバックの収集と評価: 初期の活動を通じてメンバーからフィードバックを収集し、それをもとにコミュニティ戦略を調整します。

コミュニティマネージャの理想的なペルソナ

コミュニティマネージャーとして活動を始める際、すでに製品やサービスが大きな権威を持っている場合もあれば、まったくのゼロからスタートすることもあります。特に何もない状態から始める場合、ナラティブやコミュニティの方向性を正当化し、自分自身を布教者として売り出す必要が生じることがあります。

以下に、コミュニティマネージャーとして意識すべき行動を挙げます。これらを実践することが求められると考えています。(各人の個性を活かしつつ、下記のようなパターンを多少意識するくらいでいいと考えています。)

  • 個人の開示をできる: コミュニティのエンゲージメントを高めるためには、プライベートとパブリックの境界をあえて曖昧にし、参加者に余暇時間やマインドセットをコミュニティ活動に積極的に利用してもらうことが重要です。公式過ぎず、個人的な振る舞いを取り入れることが、参加者のエンゲージメント向上につながります。

  • 自らが布教者となる: コミュニティマネージャーとしては、自身の活動に共感を呼び、より多くの人々に参加を促すことが求められます。積極的に自己の役割を営業マンとみなし、コミュニティの独自性や思想を宣伝し、新たなメンバーを引き寄せましょう。

  • 事業者というより友達になる: より広く受け入れられる女性的なコミュニケーションスタイルを採用し、間違いや失敗を恐れずに、サービス提供者としてではなく、自然体で接することが望まれます。

  • ネットやリアルでのレスポンスを1.5倍にする: リアルSNSを含む全てのプラットフォームにおいて、迅速なレスポンスと詳細なフィードバックを心がけ、絵文字やスタンプを活用してコミュニケーションに温かみを加えましょう。これには、エゴサーチや即時のレスポンスも含まれます。

  • コミュニティの人間関係の中心円となる:初期の立ち上げにおいて組織やテーマ性より個人の与信を使って解決する事象が多くなるため自分が中心円にいる状態を一定期間キープする必要があります。ここをアウトソースしないように気をつけてください

よくあるTips

・毅然とした優しい態度をとる
よくあるのがメンバーからの質問や意見に対して、面食らって静かになってしまう人がいますが、自分がコミュニティの要ということをみんなに理解してもらえるように、毅然と説明していくことが必要です。

(3)初期メンバーの選定

初期段階では、身近な人々からスタートし、信頼できる範囲内でテーマと合致するメンバーを招待することが望ましいです。

目安としては、20名程度の顔と名前がわかるメンバー数から始めます。この段階で特に重要なのは運営メンバーの選定です。

適切な運営メンバーがいれば、たとえメンバー数が少なくてもコミュニティの形成がスムーズに進みます。また、適切な候補を見つけるためには外部からの流入を継続的に促進する必要があります。

自然流入のメンバーと自分が呼び込んだメンバーのバランス

自然に参加するメンバーと特定の役割を担う選定メンバーのバランスを適切に管理することが重要です。初期のコミュニティの雰囲気を方向づけ、全体の空気感を調整するため、このバランスがクリティカルになります。

【第4部/1:多のコミュニティ設計】

このフェーズでは、新たなユーザーが参加し、徐々にオンラインの集団が形成されます。コミュニティマネージャーは、この段階でコミュニティ自体、運営、およびコンテンツの仕組み化に向けた準備を開始する必要があります。

具体的には、効率的なメンバー採用プロセスの確立、コミュニティ内での権威を構築する戦略、および魅力的なコンテンツを定期的に提供する体制を整えることが求められます。

(1)コンテンツ戦略

コミュニティ内でのコンテンツの基本単位は「会話」です。コンテンツは、参加者が自由に交わすことができる共通のテーマに基づいて構築されます。

コンテンツ生成の方向性

コンテンツのトピックを考える際には、目的地を定めてから逆算するアプローチが必要です。目的から逸脱したコンテンツが溢れかえると、コミュニティが成熟し自律化を始めた際に、運営の意図と大きく乖離する可能性があります。

イメージ例)

  • Eコマース(EC): 製品販売を目的とするコミュニティでは、製品が解決する課題に関連するコンテンツを生成し、提供します。

  • ゲーム: ユーザーのリテンションを目的とするコミュニティでは、カスタマーサポートやゲーム攻略のコンテンツが有効です。

  • キャラクターやインフルエンサー: キャラクターの秘話や成り立ち、ストーリーを基軸にした物語を展開するコンテンツを提供します。

コンテンツの優先順位とコスト

コンテンツの形態によって優先順位が異なります。コミュニティが成立した初期段階では、リアルな対話が重要ですが、常に費用対効果と擦り合わせながら効果的なタイミングで適切なコンテンツ形態を提供する必要があります。

オンライン系
・オンラインチャット:
コストが最も低く、手軽に始められる段階。日常的な交流が行われます。
オンライン対話: より深い話題や議論が展開されるステージ。
オンライン企画: メンバーが共同で何かを企画し、参加する活動。
オンライン勉強会: 教育的要素や専門知識の共有が行われるイベント。

リアル系
・リアル対話:
オンラインでの交流を超えて、対面での交流を行います。
リアルイベント: オンラインでの交流を超えて、対面での大規模な集まり。
リアル飲み会: よりカジュアルな形式でメンバーが交流を深める場。
リアル合宿: 長期間にわたり密接にコミュニケーションをとりながら共同生活をするイベント。

各施策を効果的にチューニングし、コンテンツの形態をコミュニティの成熟度や目的に合わせて適切に選択することが、コスト管理と参加者のエンゲージメント向上の鍵となります。

ホームランコンテンツと毎日積み上げるコンテンツの使い分け

コンテンツ生成は容易ではなく、特に初期段階でのコンテンツ企画は多くの挑戦を伴います。以下の2種類のコンテンツ戦略を採用することで、運営が安定し、マネージャーの心理的な安心感が保たれます。

また、初期のメンバーが集まったコミュニティにおいて、コミュニティマネージャーは積み上がるコンテンツが何かをひたすら探索する期間に入ります。

  • ホームランコンテンツ: 大きなインパクトを持つが、成果を予測するのが難しいコンテンツ。例えば、テレビ出演、メディアへの取材、インフルエンサーとのコラボレーション、突発的なバズりなど。

  • 積み上げコンテンツ: 定期的にコミュニティに提供できるコンテンツ。例としては、コミュニティで貢献した人を表彰するイベント、プロジェクトの進捗報告、共有話題の提供、メンバーの自己紹介などが挙げられます。

困った時のコンテンツカテゴリー

コミュニティが直面する一般的な状況に対処するためのコンテンツには、以下のものが含まれます。

  • 日常あるある: メンバーが共感できる日常生活の小さな出来事を共有。

  • ランキング: 人気のトピックやアイテムをリストアップする楽しいコンテンツ。

  • 悩み相談: メンバーが相談者として参加し、アドバイスを求めるセッション。

  • 自己紹介: 新しいメンバーが自己を紹介し、コミュニティと繋がる機会。

  • プロジェクト報告: コミュニティのプロジェクトやイベントの進捗を共有。

  • 社会的イベント: 誕生日、飲み会、運動会など、メンバーがリアルで交流するイベント。

ネガティブなコンテンツの扱い方

ネガティブなトピックや不安を引き起こす可能性のある内容については、次のように対応します。

  • 特定のコミュニケーションチャネルの設定: ネガティブな内容は、個別に設けられた特定のルートで扱い、一般的なディスカッションエリアとは分けて管理します。

  • 公開的な改善措置: 問題が生じた場合は、その改善措置をコミュニティ全体に公開し、関与したメンバーのポジティブな貢献を評価します。

  • コンテンツの選定: コミュニティの全体的な方向性を考慮し、強調すべきトピックと避けるべきトピックを適切に選定します。

(2)モデレーターの採用

モデレーターとして適切な人材の属性の大枠は、経済的に自立しており、新しい居場所を求める好奇心旺盛なデジタルネイティブであることが理想です。選定時にはアンチパターンにも注意が必要です。

【第5部/多:多のコミュニティの拡大と外部との関係】

コミュニティが1対他、他対他の段階に成長すると、外部のコミュニティとの交流を通じてブランディングを強化し、新たなユーザーを引き寄せるための重要な手段となります。

この段階では、「借り物競走」や「わらしべ長者」の戦略を取り入れることが有効です。

自コミュニティの価値を、より大きなオーソリティを持つ個人や団体と交換し、将来的に同等の価値があると認識されるように振る舞います。

これにより、コミュニティの拡大フェーズにおいて大きな推進力を得ることが可能です。

(1)オーソリティの構築と管理

オーソリティの定義


ここで指すオーソリティとは、コミュニティ内外で認められている権威や影響力、効力を持つものを指します。

これには、Twitterのフォロワー数などの視覚的に分かりやすい指標だけでなく、社会的立場や行動など、目に見えない要素も含まれます。

これらは抽象的ですが、コミュニティを拡大していく上で非常に重要です。

コミュニティ運営におけるオーソリティの3つの側面

  1. 運営者のオーソリティ: 運営者がメンバーから認められ、運営者としての権威を確立することが必要です。このオーソリティは運営者が持つべき責任と信頼に基づいています。

  2. コミュニティとしてのオーソリティ: コミュニティ全体が外部に対して信頼と影響力を持つために必要なオーソリティです。これは、コミュニティのブランドや評判を形成し、拡大に寄与します。

  3. コミュニティインセンティブとしてのオーソリティ: 金銭的なインセンティブに依存せず、メンバーの活動を尊重し奨励するために重要です。

(2)コミュニティマネージャーとコミュニティのオーソリティの亜獲得

適切なタイミングの重要性

コミュニティの価値が確立された段階で、オーソリティを意識的に育てることが重要です。この時期には、コミュニティが持つ権威や信頼性が外部に認識され始めています。

コラボレーションの価値提供

コラボレーションでは、単にフォロワー数だけでなく、相手との関係や提供できる独自の価値が重要です。フォロワー数が少なくても、戦略的なポジショニングや価値の提供により、有益なコラボレーションが可能です。重要なのは、自分たちの強みを理解し、それをデザインすることです。

虚像と実像のバランス

ブランディング時には、実態よりも大きく見せる戦略が有効な場合もありますが、実態からかけ離れすぎた虚像を作ると、後に大きな調整が必要になる可能性があります。過度の虚飾は避け、リアリティを保つことが望ましいです。

オーソリティの「色」

オーソリティには「色」があり、単純にフォロワー数が多いからといって権威が高まるわけではありません。立ち上げるコミュニティの領域において、どのような権威を持つべきかを観察し、質を重視した成長を目指します。

メンバー流出とコミュニティの流動性

多くのコミュニティとの交流の中で、メンバーの流出は避けられない現象ですが、適度な流動性を保ちながらコミュニティを活性化させることが重要です。

過度に固定化すると、コミュニティが停滞するため、バランスの取れた出入りが可能な環境を整えることが求められます。

(3)コミュニティインセンティブとしてのオーソリティの作り方

限定品の提供

コミュニティメンバーへの感謝を示すために、市場には流通させない限定品(ステッカー、パーカー、宿泊権等)を提供します。これにより、独自性と希少価値を高め、メンバーのロイヤルティを育成します。

賞賛の促進

コミュニティ内でのポジティブな貢献や発言に対して、他のメンバーからの「いいね」の数を増やすよう働きかけます。(なるべく全員で行います。)賞賛は、詳細な情報提供、積極的な貢献、良好な雰囲気の促進、自己開示などの行動をトリガーとします。

役職の付与

貢献が顕著なメンバーには特別な肩書きを与えます。役職名は階級を顕著にせず、独特な名称を用いることが望ましいです。たとえば、「副部長」ではなく、「コミュニケーションリーダー」のように具体的で特定の役割かつ階層感を感じさせない名前が適切です。

終わりに

私は、これからの時代がコミュニティへのニーズを一層強化していくと考えています。ここで述べられているのは、理想的な状態や取り組むべきステップについてですが、実際の現場では思い通りに進まないことがしばしばあります。

しかし、何よりも大切なのは、現場で奮闘している皆さんや、これからコミュニティを立ち上げようとしている方々にとって、この内容が思考の出発点となることです。

このブログは今後も更新を重ねていく予定です。私にとって、コミュニティに関連するテーマでブログを書くのはこれが最初で最後だと思うので、もし内容がお役に立ちましたら、ぜひ「いいね」やシェアをお願いします。

お知らせ

お米生産者の橋谷田さん

私がメンバーとして参加しているQuestry社では、ブロックチェーン×地方創生の軸で、web3.0と現代の米本位制の確立をテーマとした石高プロジェクトを現在行っています。

このプロジェクトに興味があるまたは、岡山への個別での依頼、相談等も受け付けてますので、TwitterDM宛にご連絡いただければ対応します!

よろしくお願いいたします。

石高プロジェクトとは

このプロジェクトは、福島県の自然豊かな地域に根ざし、地元の基幹産業である米作りの新しい販売チャネルと持続可能な発展を目指しています。
Web3技術を駆使し、稲作農家を中心に一体感のあるコミュニティを構築。
具体的には、天候不順や米価の下落といった一次産業特有のリスクを軽減し、安定した稲作を実現するための斬新なアプローチが採られています。

https://www.kokudaka.jp/

Questryについて

株式会社クエストリー(QUESTRY Co., Ltd.)は金融の仕組みと最先端のブロックチェーン技術を組み合わせることで、これまで金融業界が照らすことが難しかった、日本に眠る様々なアセットクラスをトークン化し、通貨や国境を超えた新しい金融の形と、経済圏の創出を目指します。

https://questry.co.jp/