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【#Web3School】JPYC岡部氏が語るステーブルコインの変遷と最新トレンド完全版

この記事は2022/01/21(金)【Web3 School】JPYC岡部氏が語るステーブルコインの変遷と最新トレンドを編集し書き起こした記事になります。

PolygonJapan(@0xPolygonJapan)ではWeb3の起業家や投資家の方々をお呼びして、#Web3school と言う配信をTwitterSpaseにておこなっています。

ゲスト:JPYC株式会社 代表取締役 岡部典孝(@noritaka_okabe)
司会進行:PolygonJapanコミュニティマネージャー岡山佳孝 (@okayama1991)

今後のイベントの最新情報は下記のアカウントで告知しますのでぜひフォローよろしくお願いいたします。

PolygonJapanTwitterアカウント(@0xPolygonJapan)


-JPYCについて


岡部)私たちはJPYCという会社で社名と製品名が同じなんですけれども、JPYC社という会社があって、JPYCという日本円のステーブルコイン実際は、プリペイドの前払い式支払い手段を発行している会社です。

去年の1月にJPYCを発行して、今大体5億円くらい発行しています。世の中に未使用残高として流通しているのがその半分弱、2億円くらいが出回っている、そういうコインを流通しています。

その殆ど、8割から9割がPolygon上で今実は動いています。ということで、Polygonさんに大変お世話になっているので、今日のイベントも大変楽しみにしてきました。よろしくお願いいたします。

-代表の岡部さんがクリプトに出会ったきっかけ


岡部)2013年くらいだと思います。元々学生時代に起業していて、2001年にデジタルコインの会社を作って、ポイントサイトやネットゲームの開発とか、色々作ってました。

ゲーム内のコインとかを実装していて、ビットコイン何か伸びてきたぞーおもしろそうだなーってことで、一時期前の前の会社で主力事業としてマイニングやろうかなって検討していたのが2013年くらいだったんですけど、その時は本格的にそこにはのめり込まずにネットゲーム、特にIngressっていう位置情報ゲームにめちゃめちゃハマって、ポケモンGOみたいなやつを作っていました。

そうこうしているうちに、ポケモンGOみたいなのがまだ無かったんですけど、そういうのを自分たちで作ろうとなり、位置情報集める際に、お礼に現金をみんなに配っていたらあっという間に破産してしまうということで、位置情報を提供してくれた人にアルクコインという仮想通貨を配るという事業を作って、2017年頃から本格的にこの業界に来たっていう感じですね。

-事業を始めたきっかけ


岡山)別の話でなにかの媒体で話していた話だと、暗号通貨がある前からドルに固定されたコインみたいなのを作ったみたいなことを聞きました。

岡部)そうです。学生時代にやっぱりそういうのが必要だなと思って、デジタルな社会になるんだったらデジタルなドルとか円相当のコインが必要だと思い、自分で作りました。

当時はブロックチェーンなんかなかったんで、オレオレデータベースだとあんまり信用されない訳ですよ。なので、ブロックチェーンが必要だっていう結論に至りました。

岡山)もとからその構想としては、そういったデジタル通貨みたいなものっていうのはあって、それに対してブロックチェーン発展とか流れというものがあったところでJPYC創業に至ったような感じですか?

岡部)そうですね、わりと自然な流れでこっちに来ました。

特にあの前の会社でアルクコインっていうのを発行していたんですけど、自販機で使えるとか、靴を買えるとかにしたかったです。

そうすると、日本円ステーブルコインがないと、店が受け取ってくれない自販機も受け取ってくんないっていうのを感じていて、あれは絶対いるなと思ってました。

-岡部さんのプロダクト検証の仕方


岡山)岡部さんのプロダクトに対する仮説検証は、リリースを出して仮説と違っていたら、ニーズをどんどん足していくというイメージですか?

岡部)いや、全然実はそうではなくてですね、私の会社のプロダクトはほぼリーガル先行なんですよ。大体半年前くらいに金融庁に照会をかけていて、当然OKなものとNGなものがあったりするんですけど、照会してみると「あれ、それできるの?」みたいなのがあり、そういうのを世に出してるというような感じです。

-法律先行でサービスを作るときの仮説の作り方


岡山)法律先行でサービスを作っていくときに、ここ行けそうだっていう仮説作りがされて、プロダクトのリリースをする流れだと思うのですが、コアなアイディアの発想はどこからきているのですか?

岡部)
私は法学部でもないし法律を専門的に勉強したことないんですけれども、エンジニアをずっとやってて十五年ぐらいCTOをやっていて、とにかく攻撃に対しては、よく考えて防ぐみたいな側でした。

基本的には、ありとあらゆる選択肢をもう全て検証して攻撃を防ぐ、攻撃する側にも立たないとやってきていることが分からないんで、普通はやらないだろうみたいな攻撃も含めて、ソースコードから読み取るみたいな能力が発達して、その能力をそのまま法律に適用したところです。

多分ここがバグってるとか多分ここに脆弱性ありそうだとか、見えるようになって、どうやら法律家の人たちが必ずしもそこ得意じゃないぞっていうことに最近気が付きました。実は、法律方面も意外といけんじゃないかと思い始めたっていうのがここ1、2年です。

-岡部さんの周りにweb3起業家が溢れている理由


岡山)岡部さんの周りがWeb3起業家だらけになって、ホットスポット化してますよね?

岡部)そうですね。本当にそこは嬉しいんですけど、うちの会社で法律のアイデアを溜め込んでおいて、壁打ちをするみたいなスラックの部屋があります。そこに「こういうことを気が付いたんだけど」みたいなのを書いてると、気が付いたらしばらくすると、うちの会社の人が、この分野で起業しましたとか言ってですね、そこにインスパイアされたっていうので結構起業するケースが多くて、どんどんやれって感じです。

岡山)実質、事業やってるけどその延長線上で、インキュベーターをやってるみたいな感じですか?

岡部)やっぱりうちの会社でIPOとか目指して真剣にやってると、百個アイデアを思いついても九十九個は没なんですよ。いくつも手を広げるわけにいかず、もったいないから、一応世には発表したりする訳ですね。

最近だったら「DAOヶ島」みたいなプロジェクトを発表したりとかですね。アイディアは世の中に出さないと、価値はゼロだと思ってるので、うちの会社でやりそうもないことは、外にアイデアだけ投げてます。

-法律の仮説からプロダクトに落とすまでの精度はどうやって高めてますか?


岡山)法律から仮説を見つけたとしても、ユーザーに使われるサービスになるとは、限らないと思います。そこの判断って何でされてますか?

岡部)
そういう意味でも、やっぱり百個ぐらい使えそうなネタがあったとしても、実際に社会実装するのが一個か二個です。

一個か二個に関しては、まずちょっと周りの人、最初は社員だったり、仲のいい、岡山さんとかに相談してます。

自分もいろんな人に話をして、「このアイデアを思いついたけどどう?」って聞いて回っているので、結構ニーズもある程度把握できたうえでやります。

クリプト大好きな人が大体集まってくるので、そういう人たちが、やっぱりあのこれいいですねっていうようなものは通りやすいし、私がいくら会社の社長だからって言って私がこれやろうよって言って没になる率は相当高いです。ただ、アイディア段階だと九割以上没です。だからこそ、振るいにかかっているかと思います。


-サービスの仮説が確信に変わった時はどのような時ですか?

岡部)JPYCが行けるなと思ったのは、一昨年の12月に「来月JPYC出しますよ」というプレスリリースを出したんですね。そしたらめちゃめちゃ反応が良くて、みんな買う買うーって感じでですね。

反応が良かったので、これは出せば行けるなと思って、その時には大体金融庁とも調整ついてたので、これは行くだろうと思って実際出してみたら、案の定反応が良かった。次に上手く行ったタイミングがPolygonに対応したときなんです。

Polygonに対応したときに一気に増えて、これはもう更に全然宣伝してなくても売れ続けるというような状態になったので、その時にもう一回、波が来たなと思って、また更に爆発したなと思ったのは、Vプリカギフトに対応した時で、みんなVプリカギフトに変えたりして、3回くらい爆発したときがありました。

-岡部さんが現在の課題と主な時間を使っている業務はなんですか?

岡部)今の課題としては、今年も法制度が移り変わる年だと思っていまして、今国会で資金決済法も改正されそうだし、それによってJPYCに影響があるのかないのかみたいなところでして、時間をどこに使ってるかって言うとやっぱりロビイング的なことですね。

官公庁と話したり政治家の方と話したり業界の有力者の方と話したりみたいなことに結構時間を使ってます。今日も証券会社の社長と色々話したり、その後も金融庁の人と色々話しています。

また、採用なんかもやってますので、結構うちの会社に興味あるんですっていう、学生の方とか起業家の方とかとあったりサウナに行ったりとかそういうことに時間を使ってますね。

- ロビイングするときに重視していること

岡山)業界ルールが変わったり、政府によって、取れる戦略が変わってしまうことが結構ある業界だと思っていて、岡部さんがそういったものに対して気を付けていることとか、ロビイングする時に重要視していることはなんですか?

岡部)ロビイングの際にやっぱりあの基本的に個社ではなくて業界全体のために動こうというのは意識してます。

業界団体とかでやっぱ動くことが多いんで、BCCCの理事をやったり、DeFi協会のアドバイザーだったり、ステーブルコイン部会長をやったりとかしてるんで、私が行政とかに言うことって結構JPYCの問題というよりも、業界全体の問題と捉えられることがあり得る訳ですね。

私があんまりぶっ飛んだことばっかり言ってると、この業界大丈夫かなと思われる可能性もなくはないのでですね、だから、なるべく業界全体にとっていいことを言おうと思っています。

特に、最近やっぱりパブリックチェーンがなんか危ないとかですね、なんかプライベートチェーンは安全なんだみたいな、なんかよく正直言ってよく分からない論理が結構まことしやかに囁かれているので、あの辺が違うんだよとか、そんなの技術によってどうにもなる話で、危ないプライベートチェーンもたくさんあるしパブリックチェーンだって安全にする方法色々ある、みたいな話をしっかりするようにしています。

意外とそこが通じてない気がします。行政と話していて、やっぱり実際に触ってる方が殆どいないので、頭の中で空想上の理論で組み立てようとしている方も中にはいらっしゃるので。

そうすると、要は全部ブロックチェーンを使うと全部ビットコインみたいになんかもう一切制限が効かない形で気軽に送れてしまう危なっかしいものだ、みたいな意見もあるかもしれませんが、そういうのならスマートコントラクトとか色々やりようで、制御もしようと思ったらできるし、
みたいなそういうとこまではいかずに、とりあえず全部ビットコインみたいなもので、危ないからと言う、そういう発想がどっちかって言うと過半数なのかなとか思っていて、そういう人たちにしっかり、いやいやあの決してそんな危ないものではございませんっていう話をしていかなきゃいけないので、時間は掛かりますね。

本当に多い時だと、ほぼ毎日当局と話してるみたいな感じです。一番多かった時は、もう電話かけると相手がお互いもう声で分かってしまうくらい話してました。

-JPYCの採用の基準


岡山)採用に多くの時間を割かれているとのことですが、どういう基準で採用する人を決めてるか、お伺させてください。

岡部)うちの会社は、とにかくカルチャーフィットしてない人は絶対採用しないという鉄の掟があります。

どういうカルチャーかと言うと、本当に年齢性別関係ないっていう組織です。なので、十六歳ぐらいの社員が、三十代四十代にあれやってこれやってみたいなことが平気である会社なので、それが合わない人と全然合わないです。

私がメンターに出ることはほとんどないですが、他の人が面談するときにかなり厳しく見ています。カルチャーフィットしていないと、入った後にお互い不幸になってしまう可能性があると考えています。

逆に言うと、いくら年齢が関係なくても、さすがに15,16歳にはなってないと駄目なんですけど、それ以上であれば若いからということは、一切ないです。

やりやすい人にとっては、やりやすいっていう会社だと思います。ブロックチェーン業界なので、他もそうだと思うんですけど自立分散的な考え方をすごく重視する人が多いので、基本的にやってくれって言うんじゃなくて、もう自立分散的に自分で動いて結果を持って帰ってくれみたいなそういうタイプの人がすごく多いです。

実際そういうのを良しとするカルチャーの人じゃないと合わないんだと思います。ちゃんと根回しをして事前にお伺いを立てろとかではなく、やはり、いわゆるパーミッションレスの世界で生きているわけです。

なので、パーミッションレスでやっていくっていう方がいいと思っていて、権限をあらかた委譲して、結果は教えてねぐらいの感覚で動きたいし、動ける人がうちの会社はマッチしてると考えています。

もう一つの特徴としては週32時間が、正社員でもマックスっていうのがあって、週十時間ぐらいうちの会社で働いている人もざらにいます。

そうすると、うちの会社の給料よりも、自分の個人事業や別の会社とかの方が稼いでるっていう人が、かなりたくさんいて、うちの会社に全く依存してない人が集まってる気がします。

-自律分散する組織のためのコミュニケーションプロトコルの設計


岡山)みなさん自立している分、コンセンサス取らないまま色んな方向に行っちゃうみたいな問題とか発生すると私は思っていて、勿論その自立分散っていう言葉の濃淡があるわけだと思うのですが、全体として方向性が整うような仕組みづくりや、意識付けはどのようにされてますか?

岡部)
そうですね、ブロックチェーンの会社なので、とにかくオープンにしようっていうことをすごく心掛けてます。

自立分散によって、その結果がオープンであれば後から検証もできるし、引き継ぎもできるんですけど、個人が情報を持ったままで行くと、そのままどっかに消えてよく分かんなくなってしまうので、原則DM禁止とかですね。

とにかく、オープンにするようなルールが幾つかあって、あとはそもそも採用の段階でオープンマインドな、自分の情報を溜め込むのではなく、オープンに共有してシェアしてお互いのイノベーション起こそうみたいなマインドの人を集めています。

あとは、文化が横ぐしになっており、ある意味同じような文化で集まってるから、居心地がいいので、悪いことしないみたいなそういうところもあるかなと思います。

-ステーブルコインのユースケース


岡部)
ステーブルコインのユースケースとしては、機械と機械の取引は非常に大きいと思っています。今までは、人と人が最初取引していて、人と機械が取引するようになって、ECとかですよね。

最近はもう機械と機械を取引するみたいなそういう世界になっていて、スマートコントラクトっていうのはまさにそこの中核技術だし、そこに入るコインっていうのが、百円玉入らない五百円玉入らない訳ですから、それはステーブルコインになるでしょうと思ってます。

だからこそ、我々のようなオープンプロトコルのステーブルコインの需要は、大きくなるなと思っており、特にメタバースは非常に注目してます。

-ステーブルコインの種類と違いと安全性の判断軸


岡部)
USDTが今は一番有名ぐらいだと思うんですけど、やっぱり歴史ですよね、一番の強みは取引所で、通貨の片方のペアで使われています。

USDCは裏付け資産がしっかりしていて、硬いとみんな思ってるんで、一番の勝ちかなと思いますね。

で、一方DAIとかTerraとかはアルゴリズム型でDAIはアルゴリズム型の中でも一番歴史もあって、実績もあるので、今回ちょうど今日ですけど、日本の取引所でも上場が発表されましたっていうところができています。

その辺はやっぱり歴史っていうのは、一定の信頼性につながるので、事故なくちゃんと安定している歴史があるコインが残ってきていると思ってます。

JPYCは異色で、プリペイドなのでステーブルコインの中では異色中の異色なんですけど、日本の法律だと今はこれしかないっていう形です。やはり歴史が相当大事だと思います。たくさんのバリューがロックされていて、かつ大きな攻撃でやられてないというそういう歴史がすごく大事だと思います。

一方裏付け資産のタイプだと、銀行に近いと思うので、ちゃんとライセンスを取ってるようなところがやってるのか等が重要です。

当局との信頼関係がある程度構築されていきなり、刺されたりしないよねとかそういうところが大事になってくると思います。

-ステーブルコイン(USDT)の生まれた経緯


岡山)USDTは歴史が長いっていう話だったと思うんですけど、どういった経緯で生まれ、今に至っているのかお伺いしてもいいですか?

岡部)
取引所で、法定通貨とビットコインみたいなのを替えていたわけですけど、どうしても取引所の初期の頃、特にマウントゴックスじゃないですけど、流通事故とか色々あったわけなんで、突然引き出せなくなるなんてことをリスクとしては考えていたわけです。

しかし、その現金まで戻すのは凄く大変だったんで、「現金と大体同じようなポイント」っていうのが、元々取引所の内部にはあったわけです。

ただ、それは取り出せないものなので、取り出せる仕様でかつ現金と同じみたいなものがあれば、みんないいなと思っていて、そこの走りがUSDTなんだと思います。

-USDTに対してUSDCが持っている優位性とは?


岡山)USDTに対して、後追いでUSDCとかがこう出てきてるような感じなんですかね?
USDCってそもそもビジネスモデルが違うっていう話があるって聞いていて、USDCは確か決済でマネタイズだと思うんですけど、ここがUSDTをまくり上げていけるってどういう条件を見て、彼らは追い抜ける戦略を考えているのでしょうか?

岡部)
USDCに関しては、アメリカにちゃんと会社があって、SPACでNASDAQにもいって、会社として真剣に当局と向き合ってる感じがします。

裏付け資産とかも、ちゃんと確認するとか、そういうことを当たり前にきっちりやっています。それを今五兆円ぐらいだったんですけど、その規模でしっかりやってるっていうのは一定の信頼に繋がっているのかなと思いますね。

最近のDAIやMKRが日本の取引所で上場は何が起こっているのか?

岡部)今回上場したのがUSDCではなくDAIというのは、象徴的な出来事だと思っています。

現在の規制の動きとしては、いわゆるステーブルコインっていうのを二つに分けようとしているのだと思います。

一つは円とかドルとかの償還を約束しているタイプUSDC、USDTなんかがそのタイプ、これはどっちかと言うと仮想通貨というよりも銀行に近いから、そういう風に捉えようということを金融庁が考えています。

かたや、アルゴリズム型ですね。法定通貨に戻すとは約束してないよっていうタイプ。

これは、DAIなんかがそうだと思うんですけれど、これは暗号資産として扱うというふうに実際、正式に決まったわけですね。決まったと言っていいと思います。

それによって、このDAIに関してはこれは仮想通貨として扱って上場しても差し支えないっていう判断が出やすくなったんだと思うんですね。

MKRなんかもそれの関連ということで、暗号資産なんで、扱っていいとそういう風になったんだと思っています。

だからこれでDAIが上がったからUSDC,USDTが上がるかと言うと逆に言うとそうじゃないと思っていますね。

今後はその前払い式支払い手段みたいなのは、今どうするか、当局も考えてますけれども、少なくともあの円と相互に交換できる償還を約するタイプに関しては銀行業とか資金移動業のようなライセンスを取って暗号資産ではないとして発展させようというような考え方をしています。

一方DAIのようなアルゴリズム型は、暗号資産として交換業でこれからも扱えそうな道が今開かれていますね。

-サークルの出資を受けてよかったこと


岡山)御社がサークル(USDC)に、投資を受けてよかったところはありますか?

岡部)
この我々パブリックチェーン上のステーブルコインを発行しようと考え、今も発行しているし、これからも発行し続けようとしてます。その過程で、どの段階においても規制対応が絶対についてまわります。

アメリカの規制というのが日本にも影響を相当強く及ぼすと思っていて、サークルはCoinbaseと一緒にセントルというオープンプロトコルでステーブルコインを出しているので、基本的にそれと同じように揃えておけば、アメリカでいいんだから日本でも大丈夫だよねっていう、そういう話がしやすいと考えています。

投資を受けていると良好な関係が築けて、いち早く情報も入手しやすいですし、アメリカの当局と、サークルさんがどういう話をしてるのかっていうのもある程度分かるので、そこは有利なところだろうと思っています。

実際サークルさんから投資を受けた後に、非常に信頼も上がりました。多くの方が「日本だったらJPYCがこのオープンなプロトコルのところではやっぱり一番強いんじゃないか」っていう風に思っていただけたようです。

多くの金融機関さんとかが、それより前は全然接触してこなかったようなところがどんどん「JPYCと組みましょう」みたいな感じで連絡をくれるようになったので、そこが大きな違いですね。

-ファンドから投資を受けるときの基準、受けた理由


岡山)
VCやファンドから出資したいという話がきてたと、僕は思ってるんですけど、その際どういう基準でファンドを選びましたか?

岡部)
基本的に、去年の春ぐらいからはたくさん来てました。そういう中で、バリエーション、要はお値段ですね。値段がいいのはやっぱり外国系が多かったです。

今回はHeadline Asiaさんというファンドさんがリードです。外国のバリエーションに近いお値段を提示していただいたのがポイントです。そこにサークルさんも乗っかってきてくれたという流れですね。

-Headline Asiaから投資を受けてよかったこと


岡山)
ファンドのバリューの話があったと思うんですけど、どういうサポートがあった時によかったと感じましたか?

岡部)
サークルをそもそも繋いでくれたのもHeadline Asiaさんです。あとは次のラウンドで、こういうところを連れてきてこういう風に座組しようみたいな壁打ちが非常に精度が高いなと思います。

クリプト系も有力なところをほぼ繋げるようなネットワークがあります。あとは英語に関しても結構サポートをしてくれていて、私がある程度英語もできるんですけど、バリバリ交渉するのはきついので、そういうところをキャピタリストとして間に入って話をまとめて手伝いをしてくれたりはしましたね。

Web3系で起業すると、グローバルラインとかクリプトコミュニティへのコネクションとか、そこら辺はやっぱり重要なキーになると思います。どこの投資家が付いているかで、その後の成長スピードが変わってくるんだろうなと思います。

-ステーブルコイン規制の現在


岡部)
シンガポールが有名ですけど、実は日本も悪くないんだと思うんですよ。税金がちょっとひどいだけで、実は暗号資産の法律とかは整備されているのかなと思わなくもないです。

ステーブルコインであれば値段が上がったり下がったりもそんなにしないので、日本でもやれなくはないと思っていて、日本がステーブルコイン大国になる可能性はゼロではないんだけど、問題は、日本はちょっとパブリックチェーンに対する恐れが強過ぎるかなと思っています。

逆に比較的いいなという国に関しては、税金面ではドバイ、あとはヨーロッパの中でも、ポルトガルとかは、最近結構人気になったりはしてると思います。最終的にエルサルバトルみたいな国で、治安が良ければ最高だなと思います。

-日本のパブリックプロトコルへの恐れ


岡山)
先ほどおっしゃられた、日本のパブリックプロトコルへの恐れとは、具体的にどういった文脈で、具体的にどういう要素から政府の違和感に繋がっているんですかね?

岡部)
基本的に皆さんほとんどの方は専門家じゃないので、ビットコインだと思ってるんで、許可なく送れてそれを誰も止められないって思っています。

そこが恐れの根底で、全ての仮想通貨はそういう性質を持っていて、進化してるけど、これは怖いみたいな。

あとは、金融がコントロールできなくなる恐れみたいなのをすごく思っていて、通貨の供給量とかですね。その監督がある意味言うことを聞かせることが難しく、景気とかの調整が難しくなっちゃうんじゃないかみたいな懸念もあると思います。

特にコロナで最近お札を擦りまくってて、インフレ懸念みたいがある中で、今まで通り抑えられなくなるんじゃないかっていう恐れがあります。

-中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)についてどう考えますか?


岡山)
世界各国そうだと思うんですけど、国のデジタルマネーを作ろうとしてるじゃないですか、岡部さん的にどういう風に見ていますか?

岡部)
CBDC関しては、やっぱ中国が出す以上他の国もまた出さざるを得ないとは思っています。ただ、どれぐらい普及するかは、先程も言ったようにメタバースが大きくなった世界観において、多分CBDCってメタバースの中に入りにくいというか、相当入らないと思います。

なので、一回多分JPYCみたいなものに変えるとか、別のステーブルコインに変えてから流通するっていう方が社会実装のイメージとしては湧くと思っています。

岡山)KYC等によってユーザーからすると使いにくくなっちゃう、みたいなところがあるんですかね?

岡部)
そうですね。KYCがあると、どうしてもリスクを評価して、それから送れるかどうかを決めようみたいな発想になるんで、自動化とすごく相性が悪いです。

例えば、スマートコントラクト、メタバースだという世界観においては、自動化できることが肝のはずなんで、できないって言われた瞬間にちょっとこれは使いにくいですねってなるので、そこの折り合いが非常に難しいんだと思います。


JPYCの仕組み


岡山)JPYCさんの具体的な取り組みとかについて色々聞かせていただければと思っています。まず、初めに凄いオーソドックスであるものの、一度仕組みがどのようになってるかっていうのを説明いただければ、うれしいです。

岡部)Polygonを例にとると、JPYCのうちの会社の銀行口座に振り込みをするとJPYC社がご指定のアドレスにPolygon上のJPYCとして送ります。あとは自分のウォレットなので、色々使えますっていう状態になります。

そして、JPYCをうちの会社に送ってくれると何が買えるのかですが、現状、ほとんどは、Vプリカギフトというビザのプリペイドギフトカードに交換されています。

そこから先はPayPayとかに登録したりとか、楽天Payとかですね。そういうところに紐づけてリアルな店舗で使うこともできるし、もちろんオンラインで色々買ったりすることもできるっていうまそんな感じのコインになってます。

-今後のJPYCの展開


岡部)
Polygonさんに対応して一気に伸びたので、複数のチェーンに対応していきたいと思っています。

現状発表しているところだと、PolkadotパラチェーンになったASTAR、Linksに対応していき、やれることを増やそうとしていて、例えばLinks上だとビットコインからJPYCを自動で買えたりとかするんですけど、今は基本的には人が見て対応しているんですけど、今後は自動でJPYCが買える等を行いたいです。

やることとしては、利用できるチェーンを増やすっていうことと、必要なライセンスを取るということを力を入れていて、第三者型の前払式支払手段の金融庁への登録を目指しているのと、あとは今発行額がどんどん伸びているので、当局的にももう少し上のライセンスを取りなさいと言って来られる可能性も結構ありそうな感じですので、必要であれば資金移動業なのか銀行なのか分かりませんけど、別のライセンスを取りに行く可能性もあるかなと思っています。

そういう準備をしていて、それとニアリーイコール上場準備がセットなので、結構先行して内部統制とかガバナンスなんかに力を入れていますね。

-参入チェーンの選定基準について

岡山)いろいろなプラットフォームに対応して、ユーザーを流していくということをする上で、コストが高いかと思うが、選定基準や気をつけているポイントはなんですか?

岡部)基本的にはチェーン自体がある程度信頼できて、大きな事故とか起こしていないことです。あとはUSDCが対応していると、我々はほとんど同じコードで動いているので監査コストなどのあらゆるコストは下がることになります。

去年はPolygonにいち早く対応せねばというところで対応したのですが、そういうチェーン自体の盛り上がり、エコシステムが盛り上がっているというような部分も当然プラス要素で、かつ事故がないということが大事ですね。

-上場準備について

うちの会社はトークンの価値が上がらないのでトークンで投資してもらう選択肢がないんですよ。なので普通にIPOとか目指しているんで、結構その準備で監査受けたりとかしてしっかりやっているとセキュリティも上がったりとかして、ガバナンスも効いてくるのでメリットもあるかなと思っています。

-岡部さんからのメッセージ


JPYCが今後伸びるかは、いろんなところで使われるかどうかにかかってくると思います。

第三者型のライセンスがそのうち取れると思うので、取得後にこのような使い方をしたいというご連絡をいただけるのはありがたいですし、あとは「パブリックチェーンでこのように使えるっていうのが便利」という声を政治家の方々が身近にいたら届けてほしいですね。

パブリックチェーンが怪しいとなって使われなくなるとブロックチェーン業界全体にとってマイナスだと思います。今でいうと、正直政治家の方々の大半はパブリックチェーン=危なそうみたいな感じになってパブリックチェーン上のステーブルコインっていうのがなかなか日本で普及しにくい規制になることもあり得ると思っています。なのでもっと関心を持っていただいてですね。

「JPYC便利だ」と言う声をツイートとかしていただけると非常に力になりますね。私のツイッターは確実に政治家の方とか行政の方々とかも見ているので、「これだけ盛り上がっているのにそれをうまく行かないようにするとしたら、イノベーションと規制のバランスが良くないんじゃないですか」ということを私自体も言いやすくなるので、Twitterを盛り上げていただけるのが一番嬉しいですね。


-次回イベントのお知らせ

次回のイベントは、日本では数少ないクリプトファンドHeadline AsiaのJonathanさんをお呼びして【Web3 School】Headline Asia Jonathan氏が語るクリプトVCの実務と実態についてと題し、Web3で創業する場合の資本政策の仕方や、投資を受ける場合の注意点等をみなさんと考えて行ければと考えております。


今後のイベントの最新情報は下記のアカウントで告知しますのでぜひフォローよろしくお願いいたします。

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