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初のコミュニティ発ZK-L2チェーン、zkFairについて調べてみた。

この記事は仮想通貨コミュニティ、Crypto流星街によって運営されています。
こんにちは、Crypto流星街の0x_Riceです。

こちらでは文字数制限の関係でツイッターには書きづらい内容や、比較的アーカイブする価値のありそうな情報を不定期で投稿できたらいいなと思っています!

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はじめに

皆さんこんにちは、ライスです!
今回はzkFairさんからご依頼をいただきまして、どんなプロジェクトなのかについてのリサーチ記事を書かせていただくことになりました。
当然ここに記載している内容は投資助言ではありません
このnoteを読んで「zkFairに投資したい」と思った方は、あくまで自己責任でお願いいたします

zkFairの概要

チェーンの構成

記事タイトルにもありますように、zkFairはzkRollupをベースにしたEthereumのL2チェーンです。
Polygon CDKとCelestia DAをベースにしており、LumozというRaaSを使用してBuildされています。
つまり、zkFairは今流行りのモジュラーブロックチェーンの方式を採用したL2チェーンなんですね!

すごく横文字が並んでいるので、上記の単語たちに馴染みがない方向けに少し補足しましょう。
大前提となるモジュラーブロックチェーンについては以下の記事を参考にしてください。

RaaS
まず「RaaS」について。
RaaSという言葉は目にしたことがあるけど実際なんのことかは知らん!という方が案外多いのではないでしょうか。
RaaSとは「Rollup as a Service」の略で、ざっくりまとめるとカスタマイズされたRollupベースのL2を簡単に立ち上げられるようなサービスの総称です。
AltLayerやDymensionなどもこの「RaaS」に分類されるプロダクトです。

出典:MESSARI

実際に触ってみるとわかりますが、本当に一瞬で自分だけのチェーンを立ち上げることが可能です。
以前CalderaというRaaSサービスを使って「ライスちゃんチェーン」を作成しましたが、大体所要時間は5分でした。

その中でもzkFairは「Lumoz」というRaaSサービスを利用して構築されている、ということなんですね。
Lumozは元々Opsideという名前のRaaSサービスでしたが、昨年リブランドしたようです。ちなみにブランド名の由来はハリーポッターの「ルーモス」という魔法。杖の先光るやつですね!

ルーモス・マキシマ


旧Opside時代、opRollupベースのRaaSが主流だった業界で初めてzkRollupベースのRaaSサービスをローンチさせた由緒正しいRaaSサービスだったりします。

RaaSにおけるop vs zkの比較記事はこちら。

そういえばぼちぼちローンチのBTC L2のMerlin ChainもLumozで作ってるそうです。

Polygon CDK
Polygon CDKというのはPolygonが提供している「Chain Development Kit」で、名前の通りチェーンを開発する際のツールをパッケージングしたようなものになります。
Polygon CDKではzkRollupを採用しており、モジュラースタイルでのビルドを推奨しています。チェーン設計に関するカスタマイズ性も良さそうです。
なお、以下の図をみるとわかる様にINTER OP LAYERというレイヤーを介してL1とやり取りをすることでCDKを使用して構築されたすべてのブロックチェーン間の相互接続性が可能だとか。

Polygonブログより引用

また、Polygon CDK上には独自のData Availability Comittee(DAC)が存在しており、デフォルトではDAレイヤーとして上記を使用しています。
2024年中にはPolygon CDKのデフォルトオプションとしてCelestia DAの採用も検討中とのこと。

前述のLumozはこのPolygon CDKに対応したRaaSサービスです。(AltLayerもPolygon CDKに対応している模様)
Polygon CDKを使ってローンチしたzkRollupベースのチェーンはzkFairが初だそうです。ちなみにAstar zkEVMもこのPolygon CDKを使用して構築されているようです。

まとめ
ここまでの話をまとめます。

  • zkFairはzkRollupベースのEthereumのL2チェーンである

  • zkFairはモジュラーブロックチェーンである

  • Polygon CDK,Celestia DAを使用してLumozというRaaSでBuildされている

※DocsによるとCelestiaの採用は将来対応っぽい。現在はPolygon CDKのデフォルトのDACがDAレイヤーを担当しているようです。DACはCelestiaの提唱するDAS(Data Availability Sampling)の対をなす単語なので、Celestiaやモジュラーブロックチェーンに対する理解を深めたい方はDACとDASについて調べてみてください。

Gas代について

多くのRollupベースのL2チェーンでは、Native Gas Tokenとして「ETH」を採用していますが、zkFairでは「USDC」を採用しています。Polygon CDKの機能にNative Gas Tokenをカスタムできるような内容が含まれているようなので、こういう実装をしたいが故にPolygon CDKベースでの構築を選択したのかなと思いました。

USDCを採用した理由としては、

  • 高い信頼性

  • 高い流動性

  • 相互運用性の向上

  • ユーザーエクスペリエンスの最適化

などが挙げられるとのこと。
要するに使ってるユーザー数も多いし、USDCであればどのチェーンとも相互にブリッジできるし、TVLもバカデカいからUSDCで良くね?ということのようです。

一見合理的に見えますが、zkFairにBridgeして乗り込む際、いつものノリでETHを一旦送るとGas代がなくてスタックするという非合理性も孕んでいるのでお気をつけください。

なお、Polyogn CDKでは指定したNative Gas Tokenについて、ユーザーが支払ったGas代の一部を徴収して手数料として収益化することが可能です。つまりユーザーがTxを飛ばすたびにUSDCがTreasuryに入るということです。
以降の項目で解説する内容に繋がるので頭の片隅に置いておいてください。

コミュニティ発って何?

zkFairについてのDocsを読むと、たびたび「コミュニティ主導である」ということを強調してきます。
これはどういうことかというと、既存投資家がいないことを指しています。
通常企業が何かトークンをローンチする際、Seed SaleやPrivate Saleのようなプリセールを事前に行うことで資金調達を行います。いわゆるVCやBackerと呼ばれる人たちはそういったセールに参加し、トークンを割安で購入しています。

当然プロジェクトとしては事前に運転資金が得られるため、社員の給与や開発費の捻出に余裕が生まれるというメリットもありますが、その一方で割安で購入したクソデカロットのトークンを保有する鯨アカウントが発生するという問題も同時に生じます。トークンを保有するユーザーサイドにおいてはこういった投資家たちの存在はある種のデメリットとなっています。(Dumpリスク)
また、ガバナンス面においても鯨投資家の存在は脅威となります。(自分たちの都合のいいProposalを提出して、金で殴って無理やり通すことができる)

こういったデメリットを排除するため、zkFairではガバナンストークンである $ZKF を100%コミュニティに配布するという実験的かつ挑戦的なスタイルでのローンチを敢行しました。

$ZKFトークンについて

チェーンの概要や成り立ちについては前項で解説しました。
次はZKFトークンについて解説します。

$ZKFトークンはzkFairチェーンのガバナンストークンです。
総供給枚数は10B枚で、前項の通り、トークンディストリビューションのうち100%がコミュニティへの配布となっています。

配布自体は既に終わってしまいましたがコミュニティへの配布方法は2つあり、
・Gas Fee Airdropというイベントへの参加者向けに75%
・Polygon zkEVMなどのユーザー向けに25%
が配布されました。

Gas Fee Airdropというイベントは、zkFair上でGas代を燃やすと燃やした量に応じて$ZKFトークンが配布されるという内容で、初期から参加されてた方は相当利益が出ていたようです。(自分はめんどくさくて不参加でしたが、まじで後悔)

前述の通りGasであるUSDCを燃やすと運営TreasuryにはUSDCが蓄積される仕様ですので、実質的な資金調達イベント(ユーザーサイドからみるとトークンセール)でした。

トークンの使用用途

ガバナンストークンなんて何に使うんだよ。Voteに参加できること、を一丁前にユーティリティ扱いすな!
という声をよく聞きますが、$ZKF には明確な使い道が存在します。

それが「 L2 Gas Fee Sharing」です。
ユーザーは $ZKF をStakingすることで、オンチェーンで発生したGas Feeのレベニューシェアを受け取ることができます。
Gas Feeの75%がZKF stakerに配布され、残りの25%はDappsの開発者に配布されるようです。

$ZKFをStakingすると「ZKF Stake Point」なるポイントがもらえ、週に1回ポイント量に応じて比例分配されます。

当然Voteにも参加可能です。
Stakeした$ZKFの量に応じて「voZKF」というVoting用のトークンが排出されます。

zkFairの今後の展望

一通り仕様についての解説が済んだので、最後にzkFairの今後の展望についてサラっとご紹介します。

Celestia DAの統合

上述の通り、Celestia DAは将来対応項目となっています。現在は別途Data Availability Comittee(DAC)を組織してDAレイヤーを管理しているようです。
Celestia DAへの統合が完了すればさらにGas代を安くできるようなので、期待して待ちましょう。

Atomic cross-rollup communication

アトミック・クロスロールアップ・コミュニケーション
技名かな?!

このかっこいいカタカナが何かというと、チェーン間の相互運用性を高めるための仕組みだそうです。
zkFairが採用しているRaaSの「Lumoz」が開発しているプロコトルに「NCRC(Native Cross Rollup Communication)」というものがあるんですが、これがまさにクロスチェーン運用の相互運用性を高めるためのプロコトルです。
これが完成すると、とにかくすごいことが起きます。
何が起こるかと言うと、

  • 任意のL2上からL1のコントラクトを呼び出せる

  • L1から任意のL2上のコントラクトを呼び出せる

  • 任意のL2から任意のL2のコントラクトを呼び出せる

つまり、L1のAAVEにETHを預けて、それを直接担保にしてL2側でUSDTを借りるみたいなアクロバットなクロスチェーン運用ができるようになります。

これめちゃくちゃアツくないですか?!
2024年現在はL2戦国時代といってもいいほど群雄割拠の時代で、とにかくチェーンがめちゃくちゃ乱立しています。
そのせいでユーザーもTVLも分散するし、ブリッジはめんどくさいし、海は割れるし、大地は干からびるし、技術は進歩しているはずなのにユーザーエクスペリエンスとしては間違いなく後退していると感じます。

このソリューションが完成して普及したあかつきには、私たちユーザーはどのチェーンを触ってるのか最終的に意識しなくても良くなるのでは?とLumozやzkFairは考えているわけです。
まさにインターオペラビリティの極み、ですね!

あ、そういえばPolygon CDKは「CDKで構築されたチェーン間の相互通信を可能にする」んでしたね!?
そういうことか〜〜!!
なんか今めっちゃ脳内で何かが繋がった感じがしました。

わかった!その瞬間に世界の見え方が変わります。

1人のブロックチェーン・オタク・チー牛の僕としては楽しみにせざるを得ません。開発頑張ってくださいまじで!

Decentralized Prover Network

今後、zkFairのProver Nodeを誰で建てれるようにしていくそうです。
現状、コミュニティ主導とはいってもネットワーク運営については中央集権的になっています。(実際には直接zkf運営が、というよりはLumozのノードたちがオペレートしてるっぽい?)
真のコミュニティ主導チェーンにするべく、ネットワーク運営についても完全な分散化を図ることを目標にしているそうです。
当然ネットワーク上のNode数が増えることと比例してネットワークの堅牢性も高まりますので、目指すべき着地点としては非常に正しいと個人的には感じました。
Prover報酬も出るようなので、上記が実装されたら私も参加したいと思います。

おわりに

いかがだったでしょうか!
最初zkFairがローンチしたときは「はいはい、また有象無象の謎L2ね。誰が使うねん」と思っていました。
しかしながら実際にちゃんと調べてみると非常に思想が強めのオタクプロジェクト(褒めています)だなと感じました。
収益性度外視で新しい技術をどんどん取り入れながらプロダクトを開発していく、という姿勢はNo VCで直接的なステークホルダーがいないコミュニティ主導のチェーンだからこそできるストロングスタイルだと思います。

そんなストロングスタイルで強思想なオタクチェーンzkFairの今後の進捗への期待に胸をアツくしながら本記事を締めたいと思います。
ご拝読ありがとうございました!

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