
12星座もしもシリーズ41(春休み編4)
水瓶「んん・・・この漫画、あんま面白くないかも?」水瓶の発言に、固まる牡牛と乙女だった・・・・。
乙女「牡牛さんの漫画が面白くないなんて、そんな事ありえません!」
思わず水瓶に反論する乙女。
水瓶「・・。俺、少女漫画とかわかんないからかも、だけどこの漫画のどこが面白いのかわかんない。乙女は、どこが面白い?」
乙女「えっと・・・。」
もう一度ネームを読み返す乙女。
乙女「この、1p目の主人公が相手役を好きになる所とか、4Pで、席替えで隣の席になったとか。最後に主人公が告白するつもりだったのに、逆告白シーンとか・・・・。」
水瓶「フラグ立ちすぎ?てか、もう1P目でどうなるか分かる気する・・・って、読む方としては辛くない?」
乙女「その安定感が少女漫画なんです!」
水瓶「そなんだ・・・。」
牡牛「えっとぉ~~。乙女さん、少し水瓶君の話が聞きたいですぅ。」
牡牛「水瓶君、もっと思った事とか感じた事教えてくださいですぅ!」
水瓶「んん・・・。上手く言えないけど、俺的にはなんか、心が動かない??的な?」
乙女「水瓶君は人の心が分からないんですよ!」
水瓶「そうなのかも、だけど、だから、俺は俺の心が揺さぶられる漫画が好きなんだけど?」
牡牛「私の漫画、水瓶君の心、揺さぶりませんでしたかぁ?」
水瓶「・・・・・うん・・・。」
じっと、考えている牡牛。それを見守るように見つめる乙女。時間が止まったような、そんな感じが漂っていた。それを打ち破る声。
水瓶「でも、牡牛さんのBL漫画は心揺さぶられたよ?」衝撃が走る牡牛と乙女!
牡牛「BL漫画・・・て・」
水瓶「去年、コミケで売ってた同人誌、買ったよ?」
牡牛、乙女「ええええ??いつ?」
水瓶「え?オープンすぐに、牡牛さん達のブースに直行して買ったけど?」
牡牛「全然、気が付いてなかったですぅ!」
乙女「直行って言う事は、牡牛さんの同人誌目当てだったんですか?」
水瓶「うん。」
牡牛「どうしてですぅ?」
水瓶「toettaの友達で、「千回死ぬワニ」って漫画描いてる人がいて、その人が「コミケで同人誌出す友人いるので、買ってください。薔薇ン、って名前で出しています」って。」
牡牛「あの、ばばぁ・・・」珍しく、牡牛が燃えていた。
乙女「お、牡牛さん、どうしたんです??」
牡牛「私、がんばるですぅ!!!!」
toettaで呟いた水瓶の友人は、実は牡牛の祖母だった。
牡牛祖母は、子供の頃から漫画家を目指していた。
賞も取り編集さんも付いて、デビューも間近だった時に事故で妹を亡くし失意から立ち直られずペンを折った。
水瓶「牡牛はなんで漫画の新人賞とか狙ってんの?」
牡牛「全部、あのばばぁのせいなんですぅ!あいつを見返してやりたいんですぅ!」
と、鼻息も荒く語る牡牛。
牡牛「私がせっかくお年玉貯めてやっとの思いで買った液タブを、横取りしやがったんですぅ!!」
思わず牡牛の頭に手を乗せる水瓶。
水瓶「どぅどぅ・・・。」
軽く頭を叩く水瓶。
牡牛「馬じゃないですぅ!!!!牛ですぅぅぅぅ!!」
怒りながら、水瓶の手を振り払う牡牛。
滅多なコトじゃ怒らない牡牛がかなり激怒、というか興奮している。
水瓶「・・・乙女、なんとかして?」
乙女「こんな事初めてだから、どうしたらいいのか見当もつかないわw」
水瓶「液タブ、俺も持ってるから貸すよ?」
牡牛「そういうことじゃないですぅ!!これはプライドの問題なんですぅ!!」
乙女「牡牛さん、少し落ち着きましょうか?」
牡牛の手を取りゆっくりと、なだめるようにはなしかける乙女。水瓶は乙女の目くばせに気が付き
水瓶「えっと、こんな時はお茶?しよか?山羊いないし、俺が立てるけど・・・。茶菓子もちゃんと用意してあるよ?」
そういいながら、茶室へと移動して行った水瓶。
乙女が、カバンからスプレーを出しハンカチに吹き付け牡牛に渡す。
乙女「これ、胸の前に持って行って大きく深呼吸してみて?」
乙女からハンカチを受け取る牡牛。
甘く華やかでエキゾチックな雰囲気のある香りが、牡牛の鼻孔をくすぐる。
牡牛「・・・。これ、おばあちゃんがつけてた香水の香りに似てるですぅ。・・・」
乙女「落ち着いてきましたね?水瓶君がお茶を立ててくれるそうですよ?一緒にお茶しましょう。」
牡牛「・・・ですぅ。」
牡牛「結構なお手前でございました。」
すっかり落ち着いた牡牛。
いつものゆったりモードに戻っていて、安心した乙女と水瓶だった。
牡牛「二人とも、ごめんなさい!!ですぅ・・。いつになく興奮してしまいましたぁ。」
乙女「ふふっ!私は嬉しいです!牡牛さんの素が見れて^^。」
水瓶「牡牛も心が揺らぐ時あるんだね。いつも、ニコニコしてるから・・・・。」
牡牛「私、そんなにいつもニコニコしてないですよぉぉ???」
水瓶「そうなん?なんか、ご飯食べてるだけでも、しあわせ~~、だし、面白い物やキレイな物とか、触ったら気持ちいいものとか見つけて触って感じてる時、牡牛、めっちゃ幸せそうで羨ましい。」
乙女「牡牛さん、自分のスキが大切な人なんですよね~~。そこが私のスキな所です・・・。ふふ・・ちょっとテレますね^^。」
少し考えていた牡牛。
牡牛「二人とも、ありがとう!ですぅ!なんか、吹っ切れましたぁ!」
ん、どういうこと?と思う水瓶と乙女。
牡牛「ばばぁに液タブ取られて『悔しかったら、漫画で勝ち取ってみろ!』って言われて・・・。ここにある、骨とう品のような道具を置いて行かれたんですぅ。めっちゃ悔しくって、そんな時たまたま見た雑誌の新人賞の賞金に、「50万円プラス液タブ」とあったんですぅ。だから、これ目指して液タブゲット!って、思ったんですぅ。」
乙女「なら、牡牛さんが賞を取れるよう、最善を尽くしましょう!」
水瓶「漫画で勝ち取る、ってなら、おばちゃんの土俵のtoettaでバズろうよ?俺、牡牛さんに手を貸すよ?」
牡牛「ふ、二人ともありがとうですぅ!!!」
乙女と水瓶に抱き着く牡牛だった。
牡牛の野望?果たして実現するのか?