もしものもしも~蠍ちゃんのタロット占い1~

20話で、蠍ちゃんがヌタヤ書店で占った事の一つ。

山羊は常日頃思っていた、努力は裏切らない!と。
多くの事は努力すれば解決出来た。

いつまでも物事を解決出来ない人は努力が足りない人だと思っていた。
誰もが頂点を目指して駆けあがっている、その競争に勝たねばならない、そんな風に思っていた。
だから、山羊は努力した。

「苦しいからこそ、きっとその先に喜びがあるんだ!人が無しえない事を成し遂げる事に意味があるんだ。」

今まで、その信念が崩れる事はなかった。
全てが自分のコントロール下にあったのだから。
だが・・・・。
今、自分はどうして行けば良いのだろう?
全てが、思ったように進んで行かない。

今までは、思った事が実現できるのが当たり前だったのに、なにもかも躓いているような、こんな状況は何が原因なんだろう?

そんな矢先だった。
蠍と魚がヌタヤ書店で占いコーナーを出店する、という。

いつもの山羊なら、軽い気持ちでご祝儀的な気持ちで占って貰ったのかもしれない。
だが、この日の山羊にはそんな余裕もなかった。

山羊「蠍さん、予約していないのだけれど、占って貰っても大丈夫?」


蠍「あら、山羊会長!大歓迎です!」
『会長が来てくれるなんて、驚き!占いみたいな不確かな物に、興味なさそうなのにな。』


蠍「では、ご質問をお願いします。」
山羊「私、頑張っていると我ながら思っているんです。
でも、思い通りに行かない事も多くて・・・。
更に、頭を悩まされている人がいて・・・・。

そこが現状、クリアするべき課題なのかと思っているんです。でも、それをクリアするにはどうしたら良いのか、行き詰ってしまってるんです。
どうしたらいいのか、教えてほしいんです!」

蠍「問題を整理するために、幾つか質問させていただきますね。」
山羊「はい。」

蠍「頭を悩まされている人、なんですが、その人のどんな所が悩みになっているんでしょう?」
山羊「んん・・・・。やる事なす事、ダメダメな所ですね。」

蠍「その人がダメダメで、何かあなたが困る事でもあるのですか?迷惑かけられっぱなしとか?」
山羊「何もかもいい加減な人なんです、その人。
なので、私はともかく、周囲に多大の被害が及ばないよう気を配っていないと、取り返しのつかない事になりそうなんです。」

蠍「会長!・・・おっと、失敬。
ご自身よりも周りが大事なんですね!さすがです!」
山羊「生徒会長ですから。
自らの務めはきっちりとこなしたい、と考えています。」

蠍「では、占ってみますね。『頭を悩まされている人がいます。更生させるにはどうしたら良いですか?』と言った観点で占ってみますね。」
山羊「よろしくお願いします!」


カードをシャッフルし、まとめた後、カットしながら話を続けて行く蠍。

蠍「そんなにその人って、ダメダメなんですか?って、あなたが厳しすぎるのでは?」
山羊「・・・。そうなのかも、しれません。
自分に厳しく有れという家で育ったので、はみ出している事がゆるせないのかもしれません。」

蠍「では、カードを展開して行きますね」

ピラミッド展開
現状 カップ7 逆位置
原因 ソード4
現状になるまでの変化の過程 ワンドA 逆位置
問題解決のヒント① ペンタクルス6
問題解決のヒント② ソード9
最終結果 ワンド10

蠍「会長!今日は寮に戻ったら、何も考えずにゆっくり休んでください!」
山羊「え?そうなの?」

蠍「し、失礼しました!でも、背負いすぎでもういっぱいいっぱい、ってカードが言ってます!
会長は、多分こうしたいな、とかこうなったらいいな、って言う理想を持って、生徒会長になったと思うんです。
でも、思ったようには物事は進まず、ご自分の能力もどこまで発揮すればよいのか分からない状況だったのでは?
進みたいのに進めない、そんな感じで、もやっとしていたんではないですか?」

山羊「あぁ、そう言われるとそうなのかも・・・・。」

蠍「そのダメダメな人ばっかり見てると、ご自分でも至らない、って思ってしまうのかもしれません。
もっとそうではない人、あなたに感謝している人達にも目を向けてみると良いのかもしれません。
ダメな子程可愛いっていう、ひいき目抜きで皆の価値を公平に見てあげてくれませんか?」

山羊「『・・・・。ダメダメな人ばかり見ない・・・・。私は・・・・、いや、大丈夫!!私は、確固たる使命がある!』そうね、少し冷静さを失くしていたのかもしれない。」

蠍「ふふっ!」
蠍が射貫くような目をして山羊を見つめる。

この人の前で嘘はつけないな、と直感した山羊だった。
山羊「ダメダメ君に罪の意識があるのよ、私。」
蠍「そ、そうなんですか?・・・。それ考えすぎだと思いますよ?」

山羊「一生背負っても、私のせいでダメダメ君の傷は消えないと思う・・・。」
蠍「・・・・。一人で抱え過ぎです、会長!いつでもあなたの力になってくれる人は、周りにいっぱいいますよ!て、占いになってないですね!力及ばずながらも、私もいつでも会長の力になりたいです!」
山羊「あ、ありがとう・・・。」

蠍「ここからは、私的なアドバイスです。参考にしていただければ幸いです。

もっと、人を頼っても良いのではないですか?
特に、そのダメダメ君、自分のフィールドに引き込んでしまいましょうか。

結果で、ワンド10という、限界まで頑張っているカードが出ています。
ワンドという、火の要素を煽るのは風。
風のカードはソードです。

ソードカードは、情報を司っているんですね。
ソード4、9が出ている時点で、「まぁ、休めよ」って言われてるんですが、ここは、一歩引いて見てみる、とも思えるんですよね。

風の力を借りてみる、ってありだと思います。
生徒会のメンバーは、実直な牡牛さんや、乙女さんですよね。

あの二人は、物事を着実に進めて行ける力があるので生徒会員にはピッタリだと思います。
でも、地の要素だけだと停滞しやすい、マンネリ化しやすいんですよね。

風要素は地には届きにくいのですが、そんな冒険も会長には必要なのかも?です。」

その結果を聞いた山羊。
何か閃いたのだろう。
その顔には満面の笑顔が浮かんでいた!
山羊「ありがとう!蠍さん!!!」
蠍「お役に立てたようで、こちらこそ嬉しいです!」『何か、会長の心の琴線に触れる事が出来たのかな?、だとしたら、良かった^^』

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