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もしものもしも~もしも蟹が人魚姫だったら5~

蟹『って、第二王女?側室!!!』
きちんと人魚姫の話を覚えているわけではなかった。
が、確か王子と王子を助けた国の姫の結婚式の日に、人魚姫は泡となったんじゃなかったか?
そうだ、その前に王子を殺せば人魚に戻れる!って短剣を渡されるんだ!

蟹『どうすればいいか、光が見えて来た!』
思わずガッツポーズをとる蟹だった。

クリノス、アルデシアと自分が人魚であったこと、愛する人と結ばれなかったら泡となって消える運命であることを筆談で相談しあった蟹。
最初は、アンナが冗談を言っていると思って、真に受けていなかった二人だったが・・・。
蟹が、一心不乱に今の自分の状況は嘘ではないこと、自分が話せないのは人魚から人間になったため、等の説明をし続けた。

そのかいあってか、やっと二人は蟹のコトを元人魚だったと認めたのだった。
クリノス「人魚は、人間を喰らう者ではなかったのですね。」
アルデシア「どうやら、あなた達を排除したいと思う者が悪い噂を流したようですね。」

クリノスもアルデシアも蟹(アンナ)の手を取り
クリノス「アンナ、あなたを消えさせたりしないわ!」
アルデシア「あなたは、もはや私の大事な家族なんですよ?」

クリノス「私に策があるの。これを成功させるには、当日、その時まで誰にも知られたくないのです!ですから、お二方共、わたくしのコトを信じて、待っていてください!」

大きく肯く蟹とアルデシアだった。

明日がクリノスとアルデシア王子の結婚式、という日の日没・・・。
蟹にはひっきりなしに頭に響く声があった。
モブ人魚3『あなたを助けるよう、魔女から連絡がありました。
あなたが打ち上げられた浜辺に、日が沈んだら来て欲しい!!』

浜辺に辿り着いた蟹。
そこで、短剣を渡される。
モブ人魚3「王子と結ばれなくても、この短剣で王子の心臓を突き刺し、その血を足に浴びさせれば元の人魚に戻れるそうです。それが叶わぬなら、短剣と己が肉体を海に投げ捨て泡となって消える結末が待っていますlどちらの未来でも、選ぶのはあなた。」

黙って短剣を受け取った蟹。
でも・・・・・。

蟹『クリノスとアルデシアを信じてる!もし、私が泡となって消えても、それも受け入れる!!』

そして、結婚式当日。
多の人が集まり、クリノスとアルデシアとの結婚を祝っていたl

無事、二人の婚姻が成立した。
摂生の現王から、王位がすみやかにクリノスに渡された。
王位がクリノスに移り、すべての権限はクリノスの手中に収められた。

クリノス「私が得た王位は、アルデシアさまに継承させていただきます。」

貴族たちの猛烈な反対意見が飛び交う中、更に話を進めるクリノス。

クリノス「王となったアルデシア様には、第二王女としてアンナを嫁がせます。アルデシア王は、私とアンナ以外との関係があった場合、その子には一切王族としての権限を与える事はありません。
ここまでを、王としてのクリノスが定める所とします。

これ以降、アルデシア王の定めるところに、お従いくださいませ!
さっそくですが、アルデシア王よ、今後のコトについてお話ください。」

アルデシアがその場にいた人達の心を静め、クリノスの提案を受け入れている事、この街を近隣の町とは一味違った街へと発展させたい意向を演説した。

アルデシア「これから先、我が国は血筋による王位継承を象徴的なものとし実際の政権を動かすのは、人民によるものと移行させていただきたいと思います。まだ、これはわたくしの勝手な思いなので、近く国民投票をさせていただき広く国民に問うこととします!」

国の発展を願い、新国王の誕生、婚姻の祝い、と国の祝いは明け方まで続いた。

薄っすらと、太陽が昇り始めたその頃。
モブ人魚3「・・・・。とうとう現れなかった。人魚に戻らない道を選択したのね。でも、泡となって消える事もなかったようね・・・・。あなたが何をやったのかは、私には分からぬ事。ですが、この事は人魚界では伝説となっていくでしょうね!」

そっと、岸部から離れるモブ人魚3。

蟹『・・・・。なんだか良く分からないままに私って、王女になっちゃった??それに、政権が人民に写ったら、王子が狙われる危険性はかなり下がるかも??って、おっちょこちょいだけど、クリノス、意外と指導力とか高いんじゃない?』

アルデシア「クリノス様、あなたの希望を叶えるためにも、王としてこれから先、我が力存分に発揮させますゆえ、ご安心ください!」
クリノス「ふふ・・。もう、あなたは王なのです。これからは、私にお気遣いされませんよう、お願いいたします。」
その横で、そっとドレスを引き上げお辞儀する蟹。

アルデシア「クリノス様もアンナも、ずっと私の側にいてくださるのですね?」
クリノス「でも、私とアンナ以外の女性との関係は認めませんからね!」
蟹(アンナ)、うんうんと大きくうなずく。

アルデシア「ふふっ!こんな魅力的な女性二人が伴侶になるなら、目移りなんかする暇はなさそうですよ?」

それから3年後。
ムトン王国は徐々に王政から民主主義へと移行しつつあった。
クリノスの父と異母兄弟達も、平民となっていった。

人民から強烈な支持を受けたのは、以外にもアルデシアだった。
この若くて見目も美しい王は、ムトン王国だけではなく、近隣諸国の女性に大人気だった。
女性だけではなく、彼が人民の為に心を裂いている事も、広く多くの人に伝えられていた。
彼の元には多くの人が集まり、ムトン王国を民主主義の良い国にしようという、若者が集い始めていた。

クリノス「え?あんた、また身籠ったの?・・・・。私が一人産む間に十人も産んでおいて・・・・。王子の愛が私には向いていないってコト??」
ぶんぶんと頭を横に振る蟹。

初めての出産のとき、蟹はもしかしたら、人魚の姿をした子や卵で生まれてくるのでは?という不安もあった。
そんな心配をよそに、生まれて来たのは普通の人間の子だった。4つ子だったけど。

で、次の子は六つ子・・・だった。
アルデシア「ふふ^^どれがどの子か、全然分かりませんね!でも、私は嬉しいですよ。こんなに賑やかな家族が出来て!」

クリノス「てか、多すぎて自分の子がどの子か分からなくなる~~(笑)てか、全部自分の子!」

蟹『クリノス、助けてくれてありがとう!アルデシアさま!助けてくれてありがとう!』

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