
12星座もしもシリーズ47(牡牛誕生日プレゼント編
無事新学期も始まり、平和な毎日。
明日から連休、というある日。
学園寮玄関先で、宅配業者から牡牛に連絡が入った。
「牡牛さんに、宅配便です!」
牡牛の元に、少し大きめの小包が届いた。
牡牛「ありがとうございますぅ!!」
丁寧にお辞儀して、小包を自室に持ち運ぶ牡牛。
そこに、乙女が。
乙女「あ、いつものやつですね?半分持ちましょうか?」
牡牛「乙女さん、ありがとうです~。」
二人で荷物を寮の牡牛の部屋に運ぶ。
牡牛「乙女さん、ありがとうございますぅ。少し散らかってますが、一緒に部屋で荷物の中身みませんかぁ?」
乙女「いいんですか?」
こくこく肯く牡牛。
乙女「では、失礼。」
牡牛の後に続いて部屋に入る乙女。
牡牛「あ!今、座る所確保しますねぇ~!」
乙女『・・・う、う、う・・・・。牡牛さんが片付け苦手とは知っていましたが・・・・こ、ここまでとは!!!とはいえ、今更逃げ出せない・・・・。ガマンよ!乙女!!!』
潔癖症の乙女じゃなくても、物で溢れているこの部屋に耐えられる女子は、ほぼいない、と言える状態だった。
まぁ、ほとんどが漫画を描くための資料だったり、道具だったり、時々残ったお菓子とかなのだけれど。
乙女のそんな気持ちには全然気が付かない牡牛。
持ち込んだ箱を開け、中の品を次々取り出して行く。
と、そんな中で。
牡牛「あ!!!おばあちゃんから、これって、液タブ???」
牡牛が開けた箱の中には、牡牛がおばあちゃんに奪われた液タブよりも数段上のクラスの液タブが入っていた。
とはいえ、牡牛には液タブのランクが上とかそんなことは分からないんだけど・・・。
乙女「良かったですね!!!牡牛さん^^」
牡牛「うん~~!」
ドキドキドキドキ!!
牡牛「早速使ってみるですぅ!!」
乙女「ドキドキドキドキ!!」
牡牛「ぽちっとな!」
電源ボタンを押す牡牛。
が、しかし・・・・・・・。
牡牛「え??え?ええ??なんで起動しないんですかぁ???」
パニくる牡牛。
乙女「少し貸してもらえますか?」
乙女が電源ボタンを押しても反応しない。
牡牛「あのばばぁ!嫌がらせですかぁ???」
乙女「牡牛さん、ここはひとまず落ち着きましょう!そ、そうだ!!!水瓶君にLUINしてみましょう!!」
ピコロン♪
水瓶のLUINに乙女からメッセージが。
水瓶『食堂に液タブ持ってきて』
と返す水瓶。
水瓶が部屋から出ようとすると、それまで水瓶の部屋で漫画を読んでいた天秤と双子が、
天秤「ん?どこ行く?」
双子「なになに?俺もいく~~!」
一緒について来た。
食堂には、牡牛と乙女が既に到着して水瓶を待っていた。
天秤「牡牛さんと乙女さん、水瓶呼び出してどうしたの?」
双子「それ液タブだよね?なんかトラブった?」
いきなり、天秤と双子に親しげな感じで話しかけられて、ちょっと引いてしまう牡牛と乙女だった。
牡牛「え・・・とぉ。」
乙女「み、水瓶君に用があったので・・・」
牡牛はなんだか天秤が苦手・・・。
まぁ、水瓶もずけずけ人の領域に踏み込んで来るところが苦手と言えば苦手なんだけど・・・。
なんか、天秤ってやたらに人の目を気にしていて、己の美学が一番!てな感じが鼻につくというか・・・。
心がむずむずする!?って、言葉では言い表せない違和感を感じる相手だった。
双子が苦手、と思っている乙女も、双子が苦手だった。
なんか、こいつってどこからどこまで信用していいのか分からない。
口から出まかせ言ってるんじゃないの?
確かに、頭の回転は早そうだし、やる事なす事器用にこなしてしまうけど・・・。
信用出来ない!と思う乙女だった。
水瓶「ん?どったの?」
牡牛「ばばぁから液タブ送られてきたんですけどぉ・・・。スイッチ入らないって、なんか嫌がらせぇ?これ??」
液タブを水瓶の前に差し出す牡牛。
水瓶「おお~~!これって、最新型で一番ランク高いやつじゃん!!!」
と言いながら、液タブを見る水瓶。
水瓶「牡牛~~。液タブと一緒にアダプター入ってたよね?」
牡牛「ですかねぇ?」
乙女「あああ!!!!」
大急ぎで牡牛を引っ張って駆け出し乙女。(でも、遅いケド~)
双子「あ~~、充電切れてるのか~。」
天秤「牡牛さん、絵上手かったけど、デジタルデビューしちゃうんだ?」
水瓶「出来たらいいね~~」
いつになく、明るい表情の水瓶。
新しいデジタルグッズに触れてるだけでも、うきうきして来て頬の筋肉がゆるむ水瓶だった。
アダプターを持って、食堂に戻って来た牡牛と乙女。
牡牛「ぜいぜい・・」
水瓶にアダプターを渡す牡牛。
水瓶「じゃ、コンセントに繋ぐね~。」
スイッチを入れた途端、タブレットのメールに何か届いたようだ。
牡牛「あ?なんですぅ??メッセージ?」
水瓶「牡牛、開いてみて。」
牡牛がメッセージを開くと・・・。
画面いっぱいに打ちあがる花火!
牡牛祖母「誕生日おめでとう!牡牛ちゃん!!!」
の、メッセージ。
思わず、うるうるする牡牛だった。
乙女「良かったですね!牡牛さん!そしてお誕生日おめでとう!」
他の面々も「おめでとう!牡牛さん!」と、祝いの言葉をかける。
天秤「本当の誕生日はいつなの、牡牛さん?」
牡牛「!えっと…、5月3日ですぅ・・・」
天秤「じゃ、ちょい、フライング!だったね^^」
なんだか、爽やか~~な天秤の笑顔に複雑な気持ちの牡牛・・・。
牡牛「で、ですねぇ^^」
天秤のあまりの爽やかさに、ちょっと、テレちゃう牡牛だった・・・。
天秤『牡牛さん、なんで、俺じゃなくてポンコツ水瓶なんかを頼りにする??人を見る目ないのかな?』
水瓶「5月3日って、金太郎の日だっけ?牡牛、ピッタリの日に・・。」
牡牛「わざと間違えるな!!!ですぅ!!!」
牡牛のこぶしが水瓶の鳩尾にヒット!
水瓶「へぶし!」
床に伏せる水瓶。
乙女「金太郎は坂田金時という、源頼光の四天王で平安後期の実在の人物とされているんですよ~!」
双子「あ~~でもでも~~。それって半分くらいただの伝承っぽいじゃん??」
双子をにらみつける乙女。
思わず、目を背ける双子。
双子『こぇぇ~~!』
天秤「ったく!いつも一言多いんだって、双子は!」
そこに・・・。
山羊「あら?皆さんお集まりでどうなされたんです?」
山羊が現れた。
水瓶「山羊~~!牡牛の誕生日なんだって!」
山羊「今日は、牡牛さんの誕生日ではありませんよね?正確には5月3日かと?」
乙女「さすが会長!皆の誕生日を覚えてらっしゃるのですね!」
山羊「そういえば、乙女さんも同じ3日生まれですよね?」
牡牛「私と丁度4か月違いなんですよねぇ~~。」
乙女「はい♪」
水瓶「あの、未来から来たと言われている青い耳なしネコと同じ誕生日とは!!!乙女も猫~!?今日から、オトえもんって呼んでいい?」
乙女「え???(それ、ちょっと面白いかも?)い、いいかも?」
山羊「え?いいのですか?乙女さん??水瓶君のいう事なんか、まともに聞かなくても良いのですよ?」
乙女「私、あだ名ってつけてもらった事がないんですよ。だから少し嬉しいです^^」
牡牛「オトえもん、なんか可愛いかもですぅ~。」
双子「オトえも~ん、早速だから俺の願い聞いて欲しいんだ~!」
乙女「誰が君にオトえもんと呼んでいいと許可したんでしょう???」
先ほど乙女に睨みつけられたのも忘れて、また余計なコトを行ってしまう双子だった・・・。
で、やっぱりまたもや睨みつけられ・・・。
でも、今回は挫けない双子!!
双子「せっかくだから、牡牛さんの誕生祝と生徒会のメンバー集合という事で、皆で写真撮らない?」
天秤「そういや、春休みに戻ってから、ずっと首からカメラぶら下げてたね。」
双子「じぃちゃんの形見分けなんだ!デジタルカメラじゃなくって、フィルムなんだぜ!!」
水瓶「骨とう品ブーム?」
牡牛を見る水瓶。
牡牛「ぷぷっ!かもですぅ~。」
双子「あ、三脚持って来るからちょい、待ってね!!」
猛ダッシュで部屋に戻る双子。←これは、まじ速い!!
皆で集まり、撮影会が始まった。
双子「じゃ、まず集合写真いっきま~~す!1+1は~~~?」
全員「に~~~!」
皆で並んで、タイマーかけて、カシャッ!
そして、個別撮影会が!
双子「あ、今の顔いいよ~~!とっても清楚な感じがたまらん!!
そのポーズ、しびれる~~プリップリッのお肌がいかされてるぅ~~!!
さっすが!!!何をやっても完璧!!オールパーフェクト!!」
天秤「な、なんか周りで見てると、恥ずかしいなw」
水瓶「ん?そう??いつもの双子仕様ぢゃん。」
女子を撮り終わったらしく、双子と水瓶の方に寄って来た双子。
双子「天秤もポーズ取って!」
天秤「え??俺も?てか、カッコよく撮れよ!!」
双子「んじゃ、水瓶、いくぞ!」
水瓶「え、たりぃ~~。てか、俺、自分の顔とか見る気ないし、やめ!」
双子「問答無用!」
むりやり水瓶の眼鏡を取って、椅子に体をしばりつける双子。
水瓶「やだ~~!俺、自分の写真なんか見たくないって~~!!」
双子「じゃ、天才カメラマンの俺が、その認識を変えてやるぜ!!!」
半分涙目の水瓶。
双子「お!!いいねいいね!!」
水瓶「だ、誰か助けて!!!」
山羊「少し、客観的に自分を見るいい機会ですよ、水瓶君。君ってば、身なり気にしなさすぎ!生徒会に入ったからにはいつもキレイな姿で、学園生徒達の見本になってもらわないと!!!って、あら?天秤君?」
天秤「どうされました、会長?」
山羊「私、あなたに水瓶君の恰好をきちんとさせるよう、お願いしましたよね?」
天秤「一応、今までは年がら年中スエットで、部屋着もパジャマも授業も同じ格好でしたが、ちゃんと学園内にいる時だけは着替えるようにさせてますが?」
(コスモ学園は私服OKな学校です。)
山羊「んん??スェットじゃないのね???てか、やっぱりいつも通りに見えるのは何故???」
天秤「あ~~、もうこれって、一瞬芸かも、ですが、お見せしましょう!俺の努力を!!!双子、もう水瓶撮影終わった?」
双子「ん、大丈夫!」
水瓶を椅子から解放した天秤。
天秤「会長、目を凝らしてよ~~~~く見ていてくださいね!」
天秤の声に、じ~~~と水瓶を見つめる山羊、乙女、牡牛。
天秤「はい!!!水瓶、きりーーーーつ!!!」
水瓶「え~~、ったく、めんどくせぇなぁ。」
といいつつ起立というか、真っ直ぐに立つ水瓶。
驚く面々!
山羊「えええ??」
乙女「あら?」
牡牛「誰ですぅ???」
皆の目には少しぼさぼさ髪ではあるが、きらきら目のパシッとした紺色ジャケットと襟付きホワイトシャツにネクタイを締めた、好感度高めな少年が写っていた。
その瞬間も逃さずシャッターを切る双子。
1分ほど経過した頃、
水瓶「ほぇぇ・・・」
途端に姿勢が崩れヨレヨレになる水瓶。
同じ服装なのに、ただのスェットにしか見えない姿ってナニ?
天秤「まだ、体幹が出来てないので1分しか持ちません・・・。」
山羊「早く改善して学園内にいる間だけでも、ビシッするようにしてください!」
天秤「了解です!」
天秤『え????もしかして、黒幕ってこの人なのか?俺って、実はこの人の手の上で泳がされていただけ???ま、まさか会長は悪魔??というか、悪の組織の幹部なのか???俺って、会長の意のままに操られているだけなあのか???』
双子「そだ!会長!!俺、学園新聞作りたいんだけど、許可貰える?この前の、獅子の転校事件のスクープ、皆に教えたいんだ!!」
山羊「??新聞は、いいかも、ですがスクープって?というか、獅子君の人権にかかわる事は、ダメですよ?発刊する前に、生徒会幹部でチェックしますが、それでも良いですか?」
双子「もっちの、ろん!」
自信たっぷりに答える双子に、嫌な予感しかしない天秤と災難が降りかかる予感がした水瓶だった・・・。
「テクノロジー ついていけない 自分脳 AI化望むも 手動に安堵」 (牡牛)
「エクセルに 感情はけ口 求めるも 却って来るは オトえもん」(乙女)
「気を付けて 眉間縦皺 防ぐやも それを許さぬ 自由人」(山羊)