もしものもしも~もしも牡羊がシンデレラだったら2
と、夕暮れ迫る屋敷前に眩いまでの光の玉が落ちて来た。
牡羊「んんん???うっぉぉぉ、なんじゃこりゃ??」
屋敷裏に落ちた光の玉。
牡羊が駆け付けた頃にはかぼちゃ馬車が既に用意されていた。
牡羊「ぉ!すげぇーー。意外とやるじゃん、ばばぁ!!」
魔法使い「ちょっと待った!!!!お前、礼儀知らなさすぎ!!!その前に、ばばぁ発言謝れw」
牡羊『うわぁ~~めんどせぇ!!!』と思いつつの
「ごめんなさい!!!」
魔法使い「うむ、分かればいいのじゃ!ってか、私が思ってたより、めっちゃ元気じゃの?シンデレラ??」
牡羊「いつ何事があっても良いように、筋トレと体力作りは欠かさずやっております!!!」
びしっと、敬礼する牡羊。
魔法使い「その心構え、忘れず精進せよ!では、今からお前に魔法をかけようぞ。
この魔法は、今日が終われば消え去る魔法。
今日が終わり魔法が消えれば、お前は今の姿に戻る。
お前が魔法で舞踏会に出た事がバレたなら、お前は当然、お前の家族まで魔女として火あぶりの刑に処せられるであろう。」
牡羊「ひ、火あぶりっすか??」
魔法使い「うむ、魔女の末路は火あぶりと決まっておるからのぉ・・・。」
ま、まぁバレなきゃいいわけだし・・・。
牡羊「分かった!さっさと魔法かけて舞踏会に行かせてくれ!」
魔法使い「あい、分かった!今しばらく待たれよ!」
と言いながら、なにやらぶつぶつとお経のような?呪文のような言葉をつぶやき始めた魔法使い。
何が起こるんだ?と、魔法使いをじっと見つめる牡羊。
ものの3分も経たずに、牡羊の周囲がまばゆい光に包まれる。
牡羊「おぉぉぉ???」
それまで纏っていた継ぎ接ぎだらけの服も、あでやかな薔薇を思わせるような真紅のドレスに替わっていた。
まともに髪をとかす事すらやれていなかったのにも関わらず、つやつやのゴールデンブロンドが見事な程にドレスの上を流れ、衣装と相まって互いに引き立てあっている。
そして。
魔法使い「これは魔法ではない。あなたの亡くなったお母さまから託されていた。やっと、この役目を果たせたこと、嬉しく思ってる。」
と、魔法使いが差し出したのはガラスの靴だった。
牡羊「・・・・。これ、履いて大丈夫?見るからに堅そうなんだけど・・・。途中で割れたりとか、靴擦れとかしね?」
親指立てる魔法使い。
魔法使い「その辺、改良に改良を加え、絶対割れない超クリスタル、足にフィットし履き心地満天!更に今なら特典付きで、踊った事が無いというあなたにも、誰もが唸る踊りが出来るという特典付き!!」
牡羊「よっしゃ!!買った!!」
魔法使い「まぁ、お前お金ないだろうから、タダで大丈夫。既にお前の母から金もらってるし。」
ちょい、他の人からは出遅れたが、無事舞踏会に行けた牡羊。
だがしかし・・・。
牡羊「うほ~~、まずはメシ!だぜ! ずっと残飯しか食ってねぇし、腹すいた~~~~。」
集まっている人々は食事には目も向けていないのか、用意されている食事にはほとんど手も付けられていなかった。
牡羊「な~~んか、お腹空いてるからそれなりに美味い?とか思ったけど・・・。この世界の食べ物って見た目の割に美味しくないな・・・・。こんなにゴージャス感たっぷりなのに・・・」
出来ないなりにも、家族の食事も作って来た牡羊。
だけどそれこそやったこともなく、材料もまともな物もなく、仕入れるお金もなく・・・、碌な物が作れたことはなかったのだ。
でも、食べ物に関しては家族の誰一人文句を言わなかったのだ。
牡羊「・・・・おばちゃん・・・・俺、おばちゃんのご飯食いてぇ・・・・」
寮の食事を作ってくれているおばちゃんを思い出す牡羊だった。
が、そんな事より、まずは王子攻略だ!!
なんとかして、王子に近づき姉達を嫁がせる、もしくは金持ちのボンボンに嫁がせる!方針&ごみ問題解決出来る幹部に接触!とミッションは多い。
牡羊「とはいえ・・・・どこに突っ込んで行けばいいんだ??全く何もわからんしw」
と、そこへ。
「美しきレディ、何かお探しでしょうか?」
と、声をかける輩が!
牡羊「んん???」
そこには、かなり身なりがイイ、でも好奇心いっぱいでこちらを見つめるクルクルとした瞳と、思わぜぶりの笑顔を浮かべる人物が立って居た。
牡羊『おおお???こいつって、なんだか双子っぽ??てか、双子だよな?さすが親友!!!!俺の救世主!?』