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もしものもしも~もしも蟹が人魚だったら2

遠くで人の声がする。
「船が沈没したって!」
「この辺りの海岸に、漂流してくれればいいが」

蟹「また、あなたに会いに来る!だから、私のコト、忘れないで!!!」

そう言い残して、その場を去った蟹だった。

蟹「これって、たぶん人魚姫?の物語よね??私、人魚姫に転生しちゃった???って、転生って、元の世界じゃ死んじゃったの、私????」
少しだけ感慨にふける蟹・・・。

蟹「が、しかし王子!!あなたのお餅のようなむっちりしたお肌&どんなビューラー使ったらそんなにクルクルなまつ毛作れるんですか?????そこのところ、直に聞いてみたいっ!!!
で、人間になるため魔法使いの所に行くんだっけ?」

人魚の里へ戻って来た蟹。
蟹「ねぇねぇ、魔女ってどこにいるの?」
モブ人魚2「そ、そんな事私は知らないわ!け、汚らわしい!!!!」
何人かの人魚に聞いてみたが、なかなか魔女は見つからず・・・・。

蟹『ったくぅ。これじゃ話進まないじゃないw』
どうしたら良いのか、途方に暮れる蟹。

そこへ。
モブ人魚3「人魚姫~~、いつになくアンニュイね?どうしたの???」
ん?ちゃんと人の気持ちがわかる子もいるのね!とほっとする蟹。
蟹「人間になりたくて、魔女を探しているの。」
モブ人魚3「魔女への道なら、案内してあげなくもないけれど・・・・どうして人間になりたいわけ?」

蟹「人間に恋しちゃったの!だから、人間になって少しでも一緒に彼の側にいたいの!!!」
モブ人魚3「へぇぇ~~。人間に恋、ねぇ・・・。ちょっと信じられないわ?!」

蟹『え?なんで?そりゃ、めっちゃ恋してるとは言えないケド、気にはなってるんだけどなぁ?』「お願い!彼のコトを考えるだけでも、気持ちが取り乱してどうすればいいのか分からなくなるの!!!!少しでも早く、彼の側に居たいの!!!!」
モブ人魚3「へぇ・・へぇぇぇ・・・。人間って人魚が人を食べるとか思ってるおバカさんじゃない?」
蟹「あなた達は半魚人がその・・・子供作る相手って、嫌じゃないの??」
モブ人魚3「いや、それは仕方ない事だし・・・・。私だってあいつらはイヤ。だけど、他に繁殖手段ががない私達には、生き残る道はないのよ?」

蟹「みんな、半魚人が嫌いなわけ??」
モブ人魚3「皆かどうかは知らないけれど、私が知ってる限りでは良い事聞かないわね。」
蟹「そうなの?」
モブ人魚3「でも、人間は海の深いところまで来れないし、そうなると陸でしか出来ない訳で・・・・。でも、その事を人間に理解してもらうのは難しいのよね。人間って人魚を人を食べる怖い存在だと思ってるみたいだしね。なんにせよ、人魚である限り人間と結ばれるのは、かなり難しんじゃないかな?」

蟹「むぅ・・・・。ま、なんでもいいわ。人間になって王子と結ばれる!!!」
モブ人魚3「決断早いわねw。面白そうだし、人間になっても何か困った事あったら相談して!やれる限りのコト、手伝うわよ!」
蟹「ホント?!!!ありがと~~~!!!」

モブ人魚3のおかげで、無事魔女から人間になれる薬をもらえた。
この薬を飲めば、足が生え人間として生きられる。
が、その代償として声を失い、一歩歩く度に茨を歩いているかのような激痛が襲う、そして、愛されなければ海の泡となって消える、そんな条件の付きの薬ではあった。

蟹「そんな障害なんて、苦でもないわ!絶対泡になんかならない!何が何でも、愛される!!!」
めっちゃ、ポジティブシンキングな蟹であった。

蟹『さて、この薬をいつ、どこで使うかが大切かも。しばらく、王子の動きを観察してみるしかなさそう。』

モブ人魚3「姫~~。この前の船の沈没で生還した人、毎朝日が昇る頃、自分があがった海岸に来ますよ。あれ、すごく見目も美しいから王子かも、です。」
蟹「ええええ?もっちり肌でまつ毛クルクルな人?」
モブ人魚3「そうです、そうです!!」

蟹『よっしゃ!!!明日朝、日が昇る直前にあの海岸で人間になろう!勝負だ、蟹!!!』

そう思い、王子(?)が毎朝来るという情報の元、明け方、その海岸に上がり人間になれる薬を飲んだ蟹・・・。

薬が効き始めると、強烈な痛みが全身に走り、あまりの痛さに気絶してしまった蟹であった。

蟹が人間になる様子を見届けていたモブ人魚3。
蟹が倒れている岩場に近づく人影に気が付いた。

モブ人魚3「やった!王子が来たみたいですよ!上手くやってくださいね!」
その場をそっと離れるモブ人魚3だった。

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