映画「PERFECT DAYS」に見る公衆トイレと洋楽、そして政治活動用ポスター
アマゾンプライムで「PERFESCT DAYS」を見た。
ひとことで言えばツマラナイ映画である。
平凡なトイレ清掃員の男が平凡な日常を送るだけ。
ただ、それだけの映画である。
特別誰も死なないし、銃撃戦もカーチェイスもない。
わくわくどきどきもしない。
かといってお涙頂戴でもない。
退屈な映画で幾度も早送りしようと思った。
しかし視点を変えると結構興味深いのである。
公衆トイレが出てくる。
あの有名なトイレだ。
渋谷の、、
公衆トイレマニアなら、このシーンだけで1時間語れるに違いない。
おっと、見たことがある景色だ。
生活圏内だったりする。
主人公はトイレからトイレへ車を使って移動する。
低賃金であろう職業に車が維持できるのかとも思うが
やたらと移動シーンが多い。
つまりロードムービーだ。
そしてカセットテープで昔の洋楽を流すのだ。
洋楽マニアなら2時間語れるに違いない。
しかもカセットテープである。
カセットテープマニアなら・・
圧巻は石川さゆりの「朝日のあたる家(朝日楼)」だ。
日本語バージョンは浅川マキ訳詞のちあきなおみのカバーである。
主人公は携帯を持っているのに古いカメラで写真を撮る。
カメラマニアは垂涎だ。
主人公の部屋には何もない。
殺風景な部屋だが、その一角に無数のカセットテープと文庫本がある。
古本屋の定員に「幸田文はもう少し評価されるべき」と声をかけられる。
ここでマニア同士の会話は始まらない。
適度な距離感が大事なのだ。
本当のマニアは2時間も3時間も語ってはいけないのだ。
そしてその趣味はニッチでなければならないのである。
誰にも理解されないが密かな趣味であることが大事なのだ。
ここでふと気が付く。
渋谷のトイレとスカイツリーとの距離感だ。
東京に住んでいる者にとっては結構な距離である。
城北方面の下町の雰囲気を映像にしたかったのかもしれないが
必然的に政治活動用ポスターが映り込むのである。
多分これは制作者の意図するところではないのだろうが、
ニッチな趣味を好む者はニッチな部分に注目してしまうのである。
そもそもこの映画を見ようと思ったのは、高野はやとのnoteを読んだからだ。
何か動いている本人が偶然映り込んでいるのかと思ったら
ただの政治活動用ポスターだったのだ。
これ。
アマゾンプライムで24分ぐらいのシーンだ。
映画本編ではもっと鮮明なのかもしれないが、興味がない人は見逃すぐらいに一瞬だ。
実際、政治活動用ポスターは他にも公明党と思われるものと松島みどりと思われるものも出てくる。
ロケ地は江東区だけではなく、墨田区も出てくる。
聖地巡礼マニアは広範囲に移動することになるだろう。
AVを見ていてガスコンロのメーカーを特定するマニアがいる。
目的はAVを見ることだった筈だが、ガスコンロの蘊蓄を語りつくすことになるとは本人も思わなかっただろう。
だからこのレポートを読んでこの映画を見ようとはくれぐれも思わないことだ。
きっとあなたは誰も興味が無く気が付かなかったあのシーンを誰かに語りつくすことになるだろう。