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【実践】『1周だけバイキング!!』〜#01 京王プラザホテル「グラスコート」のランチビュッフェ〜


食べる幸せを教えてくれた『1周だけバイキング!!』

 『テレビ千鳥』という番組に、『1周だけバイキング!!』というコーナーがある。正月休みにTVerを垂れ流していたら知り、以来夢中になっている。

 “1周だけと言われたら、バイキングで何をどのように盛り付けるか。料理の取り方や配置でその人となりが分かる”

 シンプルなコンセプトだが、この番組が用意するバイキングは夢のように豪華(ライブ料理にステーキとオムレツと天ぷら、ジャンルや料理のバリエーションも豊富で巨大なカニとかもある)で、観ているだけでもワクワクするし、大皿を取るか仕切りの多い皿を取るか、小皿を取るか、などセッティングだけでも運命は変わってくるので奥深い。

 ラインナップの豪華さに困惑し、参加者の誰もがはしゃぎながらアワアワ料理の前を右往左往する様子は、バイキングの根源的な幸せを凝縮した贅沢な悩みという感じでとても楽しい。

 出来上がる盛り付けはまさに十人十色で、特に正月に放送していた劇団ひとりさんがつくったトレイのあまりの茶色さには大変衝撃を受けた。「バイキングは自由なんだ!!!」好きなものを好きなだけ食べることができるってなんて幸せなことなんだ、気付かされた。とにかく色々な人の回を観るのが楽しい、回を増すごとに発見が増えていく。

注:同コーナーではモニタリングしている側が完成した皿を採点したり色々言ったりするシーンがあり、そこはあまり好きじゃない。(特にゴールデンスペシャルではこの側面が強い)本稿では、バイキングの自由さについてフォーカスを当てていく。

実践してみる

 憧れは募り、自分でもバイキングに行ってみることにした。

 わたしは完全にバイキング・ビュッフェ(両者の違いもよくわかっていない)初心者で、出張先のホテルの朝食バイキングや温泉施設のファミリー向けランチバイキングしかやったことがない。

 基本的にホテルのバイキングにはモーニング、ランチ、ディナーがあり、料理のラインナップと価格も順に豪勢になっていく。初挑戦ということで、モーニングは少し味気ない気がするが、ディナーはいきなり格式高すぎるかも、ということでランチに行くことにした。

 ランチバイキングを色々調べてみると、1万円以上の価格設定の店も多い。(そこそこのコース料理じゃん…果たして満足できるのだろうか)一瞬疑念が過ぎる。まずはお試しとして、ほどほどの価格帯と思しき店を選んだ。

京王プラザホテル「グラスコート」へ

 選んだのは新宿都庁前駅前、京王プラザホテルの1階にある「グラスコート」。ちょうどまもなく失効しそうな振替休暇が余っていたので、火曜日に休みを取ってやって来た。かなり最高な1日がはじまる。

 予約したのはオープンと同時の11:30。時間に余裕を持っていくと良いという口コミを頼りに11:15ごろに着くと、本当にすでに7〜8組程度並んでおり、オープンの時間になって後ろをみるとさらに10組以上が待機していた。時間に遅れるとバイキング自体の時間が減るそうで、予約時間は厳守すべしということらしい。

冬の味覚ブッフェ ランチ

 予約したのは1月31日まで開催している「冬の味覚ブッフェ ランチ」。通常2時間7000円のところ、食べログでは90分5800円のプランがある。食べるのは早い方だと思うので、90分で自分の耐久性を試してみることに。(単純に価格を割り引いているわけではないところに良さを感じる) 

メニューはこんな感じ

いずれも公式サイトから引用 ※各種ソフトドリンクがつき、アルコールは別料金

 ひとつひとつのメニュー名の長さに驚く、特に小鉢系が華やかで楽しい。(しかし、同番組のゲストたちはおそらく事前に料理の内訳までは聞かされていないだろうから、事前にシミュレーションをしてしまわないように、リサーチはそこそこに予約をすすめた。)

席に置いてあるグラスの水は、席を離れるたびに補充してもらえる。ホスピタリティ◎。

1周目:コンセプトと欲望が運命を分ける

 席に着くと早々に90分がスタート。

 セルフ「1週だけバイキング!!」のざっくりルール:トレイがなかったので、番組を思い出しつつ参加者たちが持っていた皿と同程度の皿の容量を想定(任意とする)。実際には90分相当の料金を支払うので、2周目以降もお腹が許す限り行く。でも1周目は「もし1周しかできないなら」という前提で全体の中から選んでいくことにする。

 まずは店内を一通り眺めて目星をつける。お腹が空いているときは塩味しか受け付けないので、デザートはスルーしよう。ローストビーフは最初におさえておきたい…。番組を見て何度も「自分ならどうしよう」と考えてきた。きっとうまくいくだろう。

わたし作:1周目「名前の長い小鉢詰めまくり&カレーとローストビーフ+天ぷら」

 目星をつけたと思いきや、結局スタート地点にある小鉢で大皿を埋めてしまった。さらには、多分確実にトレイからはみ出すであろう天ぷらを最後に付け足してしまった。(申し訳程度に奥に置いている)番組内で茶碗蒸しの上に天ぷらのカゴを置いてなんとかしている人たちを思い出し、親近感が湧く。劇団ひとりの回で存在感が凄まじかったカレーのことが忘れられず、普段なら選ばないカレーをなかなかしっかり取ってしまったことに後々後悔することになる。

 小皿を集めていた頃には菅田将暉(初手で生春巻きを取る芸能人)になれると思ったのも束の間、衝動ドリブンな選択によってコンセプトが崩壊していった。(そもそもあまりコンセプトがなかった)

 隣を見る。

夫作:「角煮とスペアリブを主役に周りを飾る」

 なんだか綺麗ではないか。そこはかとない敗北感に包まれ、番組の出演者たちがランクを付け合う気持ちが初めて理解できた。しかも、石原良純(天ぷら用の野菜をステーキ担当のシェフに焼かせた芸能人)しか許されないと思われた、ライブキッチンのチーズパスタを大皿の端に詰めてもらうという上級者テクニックを披露している。

 夫曰く、中央に置いた2種類の肉の周りを、見目華やかになる副菜で囲んだという。なぜ大量の料理を前に初手でそんな理性的な選択ができるんだと敗北感を強めた。

実食:ライブキッチンで最後に頼んだ天ぷら(見切れ)から食べる、揚げたてはやはり美味しくて嬉しい。対してローストビーフは冷菜なので、ライブ感で言うと温かい料理の方が優先度が高いのかもしれないと考えたりする。そして小皿をちまちま。右手前のフォアグラの茶碗蒸しは相当癖の強い味がして、白ワインが欲しくなった。

2周目:1周目に命を賭けると意外とどうしたらいいか困ってしまう

 1周目の反省を胸に、番外編として2周目に突入する。1周目を本気で選んでしまったため、1周目で腹9分目と言う感じになっていた。

 何を食べたらいいかわからぬまま、先ほど丸ごと見落としていた野菜やハム、チーズのコーナーへ。

わたし作:「今度こそ菅田将暉になりたい2周目」

 チーズパスタは、チーズだけ or 海苔とホタテのクリーム入りの2種類が選べる。私が選んだのはチーズの方で、先ほど夫が選んだのはクリームの方。チーズの中にパスタを入れるパスタ屋が存在することは知っていたが、行ったことはなかったので初めて食べた。サイゼリアにチーズがなくなり悲しんでいた身からすると、大満足のチーズ感で美味い。家ではなかなか作れないやつだ。これまでが塩分過多すぎて、オリーブオイルをかけただけのレタスが沁みる。菅田将暉に憧れて(限りある1周目でチーズとか取る芸能人)取ったチーズは水で食べるものではなかったなという反省を残した。

夫作:絶対に1周目の時点で2周目を考えていただろ、と言いたくなる。ビーフシチューに合わせてバケットを選び、パンは一つだと味気ないから言って「絶対に食べたかったわけじゃないんだけど」とクロワッサンを真顔で齧っていた。

3周目:デザートとトムヤム麺で葛藤する

 完全に満腹になったので、別腹のデザートに行くか、人気と噂のトムヤム麺(汁物)を食べるかで悩みはじめる。

ライブキッチンのあるモンブランが気になったのでデザートに。モンブランの向きが逆なことにずっと気がついていない。
わたし作:結構良いのではないだろうか?しかし、フルーツを最後に足したら存在感が出過ぎてしまった。モンブランの向きが間違っていることにまだ気がついていない。
夫作:今度は夫も負けを認めた。だから勝負じゃないって!!と思い直す。

 「トムヤム行ける気がしてきたね」などとケーキをつつきながら話していると、「あと10分です」というコール。まさか。最後にアイスクリームを分け合い(慌てて写真を撮らず)88分で退店。

 みんなが2時間でバイキングを楽しむ理由がわかった、次からは2時間にしてみよう。これが最も大きな反省点である。

 以上、初のホテルランチバイキングでした。火曜にお休みを取るのも含めて楽しい体験であり、学びや反省、次はもっとこうしたい、といった目標ができた。

 会場には、1人で来ている常連と思しきグレイヘアの女性がちらほら見かけられ、彼女たちはラーメンとデザートを両立して締めのラインナップを2周くらいしており刺激的だった。わたしもあんなバイキング玄人になってみたい。月に1度くらいのペースでまたやってみよう。ごちそうさまでした。


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