寝ても覚めても事実は変わらない、 BUCK-TICKはパレードに行くよ
「大切なお知らせ」という文言を見たとき、よくない知らせだということを暗に読み取り、リンクをクリックするのに一瞬ためらった。
そして、やはりというか悪い知らせであることを理解した。
しかし、予想だにもしていなかった内容であったため、ショックと驚きで頭がいっぱいになった。
それが2023/10/24のこと。
そうか、19日に櫻井さんはこの世から旅立ったのか。
現在、私は海外研修員として香港に滞在している。
今年2023年5月に行った ”BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-” を年内最後のコンサートとし、2024年の夏ごろに帰国した後また行こうと思っていた。
まさか、5月のコンサートがラストとなるとは思いもよらなかった。
仕事にならないから、ここに気持ちを吐き出す。
私は、BUCK-TICKのファンだ。
彼らのライブに初めて行ったのは、2017年の年末の武道館。
” THE DAY IN QUESTION 2017.12.29 日本武道館 ”
BUCK-TICKファンになったきっかけ
2017年の秋ごろにファンになった。
それまでは別のアーティストを推していたが、彼の音楽活動がめっきり減っってしまったことにより距離を置くようになった。
そんな中、30周年で音楽雑誌の表紙を飾っていた彼らBUCK-TICKが目に入ってきた。
ふと気になり曲を聴いたところ、色艶やかな声、多様な音楽性を持つ彼らに一気に惹かれた。
それだけでは飽き足らず過去作のアルバムを買い漁り、DVDも買い漁り、ものの見事に沼った。
毎年恒例となっている年末の武道館コンサートがあると「チケットぴあ」で知り笑、2017年末チケットを購入。そしてあっという間に彼らの音楽にのめり込んでいった。
実は、一時期2010年夏期のアニメ「死鬼」を観ていた時に、OP&EDがBUCK-TICKだった。特徴的な曲と歌詞だなと思い、該当するPVを観て、その当時発売していたアルバムについて曲を1か月程度聴き込んでいたりしていたのだが、上述の通り、当時別のアーティストを推していたため、当時はピンとは来ずスルーしてしまった。
7年後ファンになるとは思いもよらず、今思えば惜しいことをしたと酷く後悔している。
私は今年31歳(1992年生まれ)であるが、同年代であまり彼らの存在を認知している(現在進行形で活動しているということを知っている)人は周りにはそう多くはない。
むしろ40代~50代の方がドンピシャ世代ではあろう。
おじさまたちの長年培ってきた音楽に対する演奏力を含めた凄みと、適度に抜けて自由に演っている方たちのバンドはいいものだ。ついつい目がいってしまう。
彼らの魅力
2017年の秋ごろ、新譜であった30周年アルバムCATALOGUEを購入して曲を聴き、曲のバラエティの多さに驚嘆した。
リテイクやライブ音源もあり、どれが昔の曲なのか、どれが最近の曲なのか聞いているだけでは皆目見当がつかないほど、どれも新鮮だった。
アルバムごとに曲のカテゴリが異なり、wikipediaを引用すると
ロック、ニュー・ウェイヴ、ビートロック、オルタナティヴ・ロックポストパンク、ゴシック・ロックインダストリアル、テクノポップパンクロックエレクトロニック・ボディ・ミュージックポップ・パンク、ドラムンベース、アンビエントエレクトロニカ、グランジ、シューゲイザーポストロック、ブレイクビーツ、ハードロック、レゲエ昭和歌謡曲、、、と、まぁたくさん。
どれか1曲を選べと言われても、このジャンルならこの曲がおススメとしか言えず、容易に1曲だけを上げることがないのが、彼らの曲のバラエティの多さを示している。
また、抑揚のない感じの曲も多く、あれサビはどこ~?、2番入ってるん?みたいな不思議な構成の曲も多く、おもしろい。
私がかつて推していたアーティストとは二味くらい違った。
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素人ながらで生意気ではあるが、彼らの魅力はたくさんある。
櫻井さんの詩は、「生と死+限りなくネガティブ」
今井さんの作る曲と詩は「生+ポジティブ+だけど不安定」、
星野さんの作る曲は「幻想+時たまおふざけ」
そして、アニィとユータ―の「どっしりとした基礎」
これら5人のバランスががいい塩梅で、勇逸無二のBUCK-TICKの味が出ている。
歌詞では、どん底の気分であったとしてもそれを否定せずに受け入れる気持ちにさせてくれたり、現実逃避としておとぎ話の世界の情景が目に浮かぶような儚い気持ちやら、、、その時の自分の気持ちを肯定して安心させてくれる不思議な魅力が彼らの曲にはたくさんある。
「頑張れ」なんていう励ましの言葉はなく、今の自分の気持ちに正直に、あるいは偽りでもいいから演じることで何か救われるのではないのかという、彼ら(ほぼ櫻井さんだが)の等身大が表現されていて、決して取り繕うことは一切しないのが彼らの良さ。
アルバムを聴き終わった後は常に晴れやかな気持ちになる。
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今井さんの作る楽曲は奇想天外なものが多い。
サビでガツンと盛り上がる曲はあまりない多くはないのが物足りないかなと思うけれども、それもまた良い。
どこがサビなのかわからない曲があったり、逆に全部サビなのかってくらい勢いで終わらせる曲もある。もちろんバラードもあるけど。
星野さんの作る楽曲は、根幹として優雅であり幻のような煌めやかな印象、ただ静かに物事を俯瞰する曲が多く、バラードはとにかく櫻井さんの歌詞も相まって情景が浮かぶ。
いずれにしろ、楽曲に櫻井さんや今井さんの歌詞が乗ると、あら不思議なものでスルメ曲になる。
これだから一番好きな曲!!というものが決められない。
また、BUCK-TICKらしさとしては、今井さんの紡ぎだすギターのノイジーな音を不協和音として曲に違和感を持たせつつも、かといって不快な感じがしない絶妙な匙加減具合が心地よい。
私のおすすめ
ちなみに私の好きなアルバムは、以下である。
曲は以下、優劣は付けられない
ああ、たくさんだわ
” THE DAY IN QUESTION 2017.12.29 日本武道館 ”
初めて参加したコンサートのことは鮮明に覚えている。
年末の仕事納め後に急いで友達と武道館へ向かい、開演10分前に席に着いた。
あっという間にオープニングが始まり、舞台が開く。
ミラーボールに光が当たり武道館全体が煌めく中、BUCK-TICKが現れた。
座席は遠かったけれども、実際に目の前で歌っているのにもかかわらず、アルバムで聞いていた声そのもの以上の迫力ですごく嬉しかった(コンサート > アルバム音源)。
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櫻井さんは、アルバムで聞こえてくる音源そのもの以上に感情が乗った歌声や、濃いめのメイクとは対照的に、曲に合わせて茶目っ気たっぷりな振りであったり、優雅なしぐさを披露しつつ、奇天烈な衣装で予想を突く。
あの時はワンピースにスパッツだったかな。うん、ダサい。
一方、同じ曲を演っているとは思えないほどの静なメンバー (今井さんは除く笑)。
今井さんは、曲に関わらず動きたいときに動く、似合う衣装とともに。
星野さんは、櫻井さんと今井さんの動きを見つつ、対照的になるよう適宜必要な場所へ動き、ファンを悩殺する。
ユータは、アンコール以前の曲目ではあまり舞台前方まで降りてこない。がしかし、目前に来た時の彼のひょうきんな笑顔の破壊力は計り知れず、その瞬間は目が離せない。ただ、一瞬で定位置に戻ってしまうのが残念。もう少し長くいてくれ。
アニィはリズム隊の長として、姿勢正しく激しい曲でも顔色変えずにドラムを叩く姿が潔く、だけれども幕終わりに舞台袖へ捌ける際には、ここぞとばかりに櫻井さんのマイクの定位置まで行き、嬉しそうに話す姿は可愛い。
そして、アンコール明けのドラムターンの嬉しそうな顔は観ていて気持ちがよい。
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メンバー間の息の合った演奏、新旧織り交ざった曲目なのにもかかわらず、当時のイメージを崩さないままにアップデートして披露する技術の高さと、長年の経験で培われた無駄のない動きと余裕な感じを醸し出す雰囲気にただ圧倒され、感動した。
曲間もとい全編においてMCはほぼない。
しいて言えば我々に対する感謝の言葉やメンバー紹介程度がMCという、言葉ではなく音楽に昇華させた形で彼らの思いが伝わってくる、、、これが彼らのコンサートの醍醐味である。
何より驚いたのは、ファンのマナーの良さである。
穏やかな客間(同じ空間を楽しもうとして我先に目立とうという人がほぼいない)と、コンサートが終わり客電が付いた瞬間サッと帰るファンの切り替えの良さ(ある意味で夢と現実を切り分けている、潔いファンなのかな)。
コンサート参加履歴
たくさんコンサートに行けて本当に良かった。
櫻井さん、安らかに。
BUCK-TICK、パレードは続くよどこまでも。
残された彼らの動きはどのようになるか未定ではあるが、あまり生き急がないでほしい。
追記
2023/12/29 は行けないが、12/9の偲ぶ会に参列するために一時帰国することにした。