私の妊娠経過①
新婚旅行中に感じた違和感
入籍してからようやく取れた長期休暇で、私と主人は新婚旅行に行くことを計画していた。
行先はベタなハワイ。
海外旅行は久しぶりな私と、初めて海を渡る主人。
不安そうな主人を鼻で笑いながら飛行機に乗り込んで出発した。
フライト中、というかその前からだったけど、なんとなく熱っぽいような、でも別にしんどくないしていうかハワイだし余計なこと考えて楽しめなくなるのは嫌だと思って無理やり不調を忘れようとした。
ハワイに到着してからは普通に遊んだ。
水着着て冷たいプールにも入ったし、ハナウマ湾にシュノーケルをしに行った。
生魚だってモリモリ食べたし(ポキおいしすぎて何度も食べた)、ローストビーフも食べてお酒もガンガン飲んだ。
正直新婚旅行中にもしかしたら生理がくるかもって思ってたから、ほんとに特に何も妊娠については考えずにいた。
ただ、旅行が終わりに近づくにつれてだんだん違和感が大きくなっていった。
なんとなく気持ち悪い気がするし、熱っぽさも引かない。
でも気にするほどでもない気がするし……うーん、というグダグダ具合。
こりゃあちょっと帰国してから検査薬してみっかな、という自分なりの結論に至った。結局旅行中に生理もこなかったし。
初めて見た二本線
主人と付き合ってからいままでに検査薬を使ったことは何度かあった。
そのどれもがただ単に生理不順だっただけで、判定窓に線が現れたことは一度たりともなかった。
そのたびにがっかりしたような、でもどこか安心したような気持ちになったのを覚えている。
新婚旅行から帰国して、帰り道の途中で薬局に寄って検査薬を購入した。
いままで購入してきたどの場面よりも期待が大きかった。
期待は大きかったけど、漠然とした不安もあった。
帰宅してすぐに主人にトイレにこもることを伝えて、検査薬の封を切った。
尿をかけてからじわーっと判定窓が染みていくのを「一瞬たりとも見逃すか」という謎の使命感。
使った検査薬はクリアブルーだったから、青い線が出てくれば妊娠してる判定。
ドキドキしながら見守っているとすーっと線が現れた。
「あ、マジだ」
マジだマジだと口に出しながら慌ててトイレから出た。
主人に「妊娠してる!」と伝えたら、「おおー!」。
妊婦健診ってこういうものなの!?
帰国して次の日も仕事は休みを取っていたから、その日に産婦人科に行くことにした。
検査薬で妊娠判定出たし~母子手帳もらって~予定日聞いて~とか頭お花畑状態で病院に到着。
妊婦の検査って、よく見る腹部エコーだと思ってた私。
診察室に入ってびっくりしすぎた。
「下着を脱いでそこの椅子に座ってくださいね~」
え?脱ぐの?下半身すっぽんぽんでその椅子に座る?
MAJI?
頭の中はほんとに?マーク一色だったけど、とりあえず脱いで座ったら
「動きますよ~」
という看護師さんの声がして背もたれが倒れて、足部分が開いていって、カーテンの向こうに下半身ご開帳。
うん、いままで産婦人科にかかったことがないからもう赤面赤面。
と、トイレットペーパーついてるかも!?いやそのほかになにか付いてるものあったらどうしようとかめっちゃ混乱してた。
ふとカーテンの向こうからお医者さんの声がして、検査薬で判定出たんだね~とか何か症状ありますか~とか聞かれた。
なんとなく気持ち悪いとかですかね~って答えてたら、じゃあ診ていきますね~って棒状の何かがずぼっと入ってきた。お股に。
えええ~~~??????聞いてないよ~~~~???
あとちょっと痛いよ~~~????????
ほんとにこれは妊娠の検査として適当なのだろうかとかすっごい失礼なことばっか考えてたけど、お医者さんが
「隣のモニター見てみて~。これがね、胎嚢っていう袋みたいなもの」
モニターには私の子宮内の映像が流れていた。
ガサガサの白黒画面の中に、ぽつっとひとつ黒い範囲があった。
たいのう。ふくろみたいなもの。
「この中でね、赤ちゃん育っていくからね。今はまだ見えないけど」
検査薬をしただけでは味わえなかった実感が、お医者さんの言葉で一気に私を覆いつくしたような感覚。
ひとつの「命」ってものが確かに私の中に存在しているんだよ、っていう証明をもらった気がして、私はモニターから目を離すことができなかった。
説明と予定日
診察台から降りて別室に移り、そこでお医者さんから話を聞くことになっていた。
現時点での週数はだいたい4wとか5wくらい。
その時点ではアバウトな言い方をされた。
胎嚢は見えるけれど、その中に赤ちゃんがいるのがまだ見えないと。
それは特に不安がることはないよ、来週来てくれたらたぶん見えるから、お仕事の都合はどう?と言われて即「休みます」と伝えた。
いま妊娠がわかったということは予定日はいつなんだろう、と思ってお医者さんに聞くと、だいたい来年の5月~6月あたりなんじゃないかな、という返事だった。
ちょうど5月に元号が変わる。新元号ベイビーの可能性が高いってことだ。
いろんな意味でタイミングが良い子だなと思った。
私が住んでいた市では、母子手帳は予定日がわからないと市役所でもらえないとのことだった。
その日一日で予定日もわかって母子手帳も病院でもらえると思っていたバカな私の、妊婦生活がスタートしたのだった。
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