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稲盛和夫氏の実学を読んで




キャッシュベースで経営する

儲かった金が、どこにどのように存在するのかを明確に把握しておくということは経営の基本である。
経理が時間をかけた決算書は「キャッシュベースの経営」にならない。
過去のものとなった事実に対してこれからのアクションはとれない。
経営はあくまで「リアルタイム」で眼前の事実と渡り合わなければならない。
~中略~
ペーパー上の「利益」を待つのではなく、まぎれもなく存在する「キャッシュ」にもとづいて経営のかじ取りを行うべきなのである。

~中略~
私の会計学は、このような観点から会計上の利益から出発してキャッシュフロー(CF)を考えるのではなく、いかにして経営そのものを「キャッシュベース」としていくのかということを、その中心に置いている。

中小企業の多くの社長はキャッシュフローを基に経営を行っている印象を見受けられます。
「キャッシュがあれば倒産しない」

この揺るがない事実があるからでしょう。
資金調達している社長が口を揃えて仰ってました。

そのため、財務諸表も読まない・読めない経営者が多くいるのも頷けます。

キャッシュフローを見る経営者はお金の出入りに敏感な状態であり、個人で例えるならば、家計簿はつけている方とも言えるのでしょうか。
それに対してキャッシュベースは毎日通帳を握りしめながら、残高を把握している主婦と言えるかもしれません。
この本

ベンチャーなど企業の目指す位置によってかならずしもキャッシュベースの経営にはなれない場合は多いと思いますが、ある程度の年数を経た中小企業経営者はキャッシュベース経営にシフトしていけるかもしれません。地方の多くの会社は該当するでしょう。

一対一の対応を貫く

経営活動においては、必ずモノと金が動く。その時には、モノまたはお金と伝票が必ず一対一の対応を保たなけれなばならない。
取引先とのつじつまだけ合わせて伝票を上げて、期末の売り上げを少しでも良く見せようとすることが一度でもあると社員の感覚はまひしてしまい、数字は操作できるもの、と考えるようになってしまう。その結果社内の管理は形だけのものとなり、組織のモラルを大きく低下させる。

 巷のニュースでは経理が横領したという話はよく聞きます。
「一対一の原則」を守ることは”透明な管理”に繋がり、不正を未然に防ぐ。しいてはステークホルダーの信頼の欠如を未然に防ぐことができると感じました。

お金の代理”一対一の対応”を貫かないと 「キャッシュベース」の経営には繋がらないと

筋肉質の経営に徹する


在庫として残ったものの価値をどう評価するかということである。客先の理由で在庫が無価値になってしまう。しかし、通常帳簿の上では在庫として残り、資産として扱われることになる。すでに実質的には無価値になっているのだから、余分となった二千個を資産と思うこと自体現実に合わない。
~中略~
いつ売れるという見込みもない、むしろ売れないと考えておくべきものなのに、資産とされて税金を取られる。それでは企業の体質は弱くなっていく。
~中略~
「売上はなぜ増えないのか」と尋ねると「現状を挽回するためには、思い切って人員を増やす必要があります」というように経費のみがさらに増えていく場合が多い。もともと計画した売り上げを達成するため経費を使っているのだから、売り上げも経費とともにふえていくべきなのだが、実際はそうはならず、費用だけが増えていく。 
必要なものは必要な分だけ購入するようにしている。これを「一升買い」と呼び原則としてきた。

 コストをかけてせっかく作ったものだから在庫を過大評価する気持ちは共感できます。私も苦労して作った夏休みの自由研究の工作を捨てらず、いまだに実家の物置に眠っていることでしょう。
 稲盛氏は在庫が処分できない状態が続いて負いこまれる状況を防ぎたいと考えています。 これらのことから在庫処分する”決断”が必要だと感じました。ただし、経営者のみが決断している状態はいずれ限界に来ます。そこで在庫管理の担当者がこの決断ができるような権限移譲や管理体制の構築が必要となり、稲盛氏の”アメーバ経営”に繋がってきます。(稲盛和夫氏のアメーバ経営参照)


 ”まとめて買うとお買い得”に勝てる主婦は少ないはず。私もそうです。
この本を見る2日前に”ウィルキソン”を2箱買ってしまったばかりです。
嫌だ。嫌だ。

売る側の立場になると、まとめて売って値引きすると利益は下がるが売り上げは上がりますので、特定の買い手に対してプロモーションが上手くいく場合があるかもしれません。

ダブルチェックによって、会社と人を守る

人の心をベースにして、経営していくなら、この人の心が持つ弱さから社員を守ると言う思いも必要である。

人の心をベースにして、経営していくなら、この人の心が持つ弱さから社員を守ると言う思いも必要である。これがダブルチェックシステムを始めた時である。だから、これは人間不信や性悪説のようなものを背景としたものでは、決してなく、そこに流れているのは、むしろ人間に対する愛情であり、人に間違いを起こさせてはならないと言う信念である。

京セラでは
・支払いする人間と伝票を起こす人間をわける
・印鑑箱は2重にして、外箱と内箱にそれぞれ別の印鑑を収め、管理者は別の者にする
このような仕組みを徹底していたそうです。

このようなタスクの割り振りによって、労力が増えないかな?
ということが一番初めに感じた印象でした。
社員が多い場合でも、1つのタスクに対し、一人に権限を多く与えることが多いです。※社員数が少ない企業は避けられない状況です。

一般的に権限を与える場合、「誰が」「どこまでを」「発生する時間」を検討事項にするケースが多いですが、もう少し俯瞰して経営側の立場から考えると「財務を中心とした会社全体の透明度」「担当1人に任せることで発生する事故・事件のリスク」「1人あたりの業務量」が検討事項として考えられます。もちろん稲盛氏はそれ以上に広範囲で考えている内容が多いはずですが、、
 



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