触れたら崩れてしまうような関係
私は「好き」が分からなかった。
好きな色や好きなキャラクター、さらには人間として好きの「好き」は分かる。
問題は恋愛の「好き」。
恋人ができたらデートをすることは分かっていた。
デート手を繋いだり色んなところにお出かけしたり、唇を重ね合ったり、、、。
あとは向こうからの好意も感じ取ることはできた。
(感じ取っても私には分からないのですーっと距離を取るようにしていた)
そういうことは分かっていた。
だけど、どのようにして人を好きになるのか全く分からなかった。
いきなり好き!って思うのか、段々と好きになっていくのか。
恋愛の当事者になれなかった。
大学生になるまでそれが分からなかった私は、
小学校、中学校での恋バナは全く面白くなかったし、小学校では「〇〇くんが好き」と仮定して友達と話を合わせていた。
(ちなみに高校は共学ではなかったので、先生を推して楽しく過ごすことに笑)
小中学校で周りの人たちが付き合っては別れているのを横目に見ながら、「どうせ遊びなんだから。アホらし。」と考えていた。
そんなすぐ別れるような人間に私の「初めての恋人」という称号は与えたくなかった。
高校では周りに同性しかいなかったからか、友達に合わせて好きな人を仮定して、、、などとめんどくさいことをする必要はなかった。
ただ、ある先生を推しとして身近なちょっとしたアイドルのように追っかけ(?)ていた。
追っかけと言ってもすれ違えたら嬉しい!とか、誕生日におめでとうを言ってもらいに行ったりとか、そんなもんだった。
その高校3年間の周りに同性しかいない環境は本当に貴重だったと思う。
3年のブランクがあったからか、共学の大学は怖かった。
でも、入学してみると思っていたよりもうぇいうぇいしておらず安心。
そして必ずあるこの会話。
「彼氏できたことある~?」
「うん、中学の時が初彼氏かな」
正直、「またか。」と思った。
もちろん高校でもはじめの頃はそのような会話があったが、すぐにそんなのどうでも良くなっていた。
だけど。
共学だとなぜか5月になっても6月になっても一向に恋人に関する会話は減らない。
「好き」が分からない私には全く興味がなかった。
私の周りだけだったのかもしれない。
そんなこんなで課題とかをこなし友達とでかけたりサークル活動をしたりと大学生活を楽しんでいた。
その中にはサークルの先輩とのLINEでのやりとりも含まれていた。
趣味が同じで色々なことを話していたのだが、段々と向こうからの好意を感じるようになった。
今まではそういった好意が怖かった。
理由はまっすぐな感情を受け止めきれる自信がなかったからだと思う。
まっすぐな気持ちを持ったことがないから怖かった。
でも、今回は違った。
友達でもない。ただの先輩後輩でもない。趣味に関してお話をする。そういった関係。
名前をつけられない、曖昧な、触れたら崩れてしまうような関係。
そんな関係が心地よかった。
この心地よさをこれからも続けたいと思った。
私はハッとした。
これが恋かしら…
某ディズニー映画のようになってしまったけど、本当にそう思った。
その後色々あってお付き合いをすることになった。
それから、好きとは何かを考えてみた結果、
私にとっての「好き(恋愛感情)」とは
・自分自身の嫌いなところ、弱いところも全部受けてくれる安心感から生じる
・相手も同じように自分の弱いところとか嫌いなところをさらけ出してくれる
・この人ならいくらでも甘えられると思える
これらの条件をすべて満たした上で、容姿や性格も自分好みであること
だと考えた。
こうして列挙するとあまり良く思われないかもしれないけれど、私にとっての付き合うとは結婚の前段階だから妥当だと思う。
お付き合いをして今でも仲良し!
めでたしめでたし!
で終わらせても良かったのだが、最後に一つだけ。
触れたら崩れてしまうような関係が
崩さないように慎重に扱う関係に
変わってしまったような気がして
そこだけ、
そこだけが悲しい。