ノートパソコンでpiosolverを導入してみた
はじめに
Piosolverを使用するのに最適な環境は?→デスクトップです!(完!)
Discordでの公式の回答です.要約すると「リモートでデスクトップ動かした方がいいよ」と言ってます.
デスクトップを使用できる人は,普段はデスクトップでPiosolverを使い,外出時はリモートアクセスでノートパソコンやタブレット端末からアクセスする方法が一番良いです.
ただし,自分のようにどうしてもノートパソコンでPisolverを使いたい!という人もいると思います.
そういう人達の参考になればと思い,自分がノートパソコンでPiosolverを導入する際に調べたこととレビューをシェアすることが本記事の目的です.
1. Piosolverの推奨環境とは?
公式HPのTechnical detailsと,Piosolver FAQを見てみましょう.
左から赤線部分がsolverの速度に関わるところ,青線部分が複雑なツリーに必要なメモリ(複数のベットサイズを検証しようとするとメモリの必要容量が増えます),緑線部分がsolverで検証したものを保存する場合に必要なストレージに関する記載です.
簡単に言えばCPUの性能に応じてsolverの速度が決まり,メモリが大きければ複雑なスポット(SB bs BB SRP,で複数のベットサイズ可,など)が検証できることになります.
ではどんなパソコンを用意すればいいのか?という質問に,公式は非常にドライな回答をしています.
We don’t know. But if you know nothing and want some guidelines anyways than currently (2020) the best deal AMD CPUs either Ryzens or ThreadRippers (depends on the budget). You need 8GB of RAM to run simple postflop trees with 1-2 bet sizes. 16GB of RAM should be enough for most reasonable postflop simulations. For the preflop solver you need at least 64GB for most practical trees and 128GB for bigger ones.
意訳;「知らない!CPUはRyzenかThreadRippersがいいと思うけど予算によるし,メモリは8GBあれば1-2ベットサイズは使えるけど普通は16GBは欲しいね!preflopの解析をしたいなら少なくとも64GBだし,128GBが理想だよ!」*preflopの解析はpiosolver edgeのみ.
身もふたもない返答です.
ちなみにPiosolver proではCPUの16スレッドまでしか対応していないので,CPUは8コア16スレッド以上はオーバースペックかも知れません(他の作業をしないなら.あとはpiosolverを複数起動しないなら.)
とりあえず大まかな必要スペックを把握したところで,次にいきます.
2. ノートパソコンでPiosolverを動かす選択肢
さて,必要スペックをどう用意するか?
このノートを見ている人は何らかの事情でデスクトップが使えない人だと思います.使える人は何度も言いますがデスクトップを買ってリモートにしましょう.そのほうが無難です(無難な理由は後述).
■選択肢1.専用サーバー(dedicated server)を借りてリモートアクセス.
一番実用的です.使用している人も多いのではないでしょうか.
日本のサーバーは高いので,海外のサーバーのほうがいいでしょう.
有名処はContabo, Henznerでしょうか.Contaboに関しては導入方法を説明したyoutubeもあります(英語,下記).
一番安いプランだとHenznerの月あたり40ユーロのようです.
メリットは24時間稼働出来ること(集合分析もお手のもの!)
デメリットはある程度費用がかかること(まぁ月に$100払えれば全く問題ないんですけど)
■選択肢2. 仮想サーバーを借りる
これはPiosolver edgeのみ対応しています!
Q. Can I run Pio on a cloud instance?
A. Only the edge version. You can try running basic/pro version as well but as cloud providers change the hardware on regular basis it won't work long term. Dedicated servers are better (and cheaper if you run it a lot) solution.
公式HPによると,proやbasic版も短期では使用できるようですが,仮想サーバーはその構造上,起動する毎に別PCと認識される可能性があるので,長期的な利用はできないとコメントしています.
はい!自分もamazon web service(AWS)の中のEC2インスタンスというサーバーを試してみましたが,固定IPなど使用し一時的には使用できるものの,理由は不明ですが,すぐに再度ライセンスキーによるactivateを要求されましたのでedge以外の人はやめたほうが無難でしょう(solverのライセンスキーのactivateも上限が13回(だったかな?)に設定されていますので無駄になってしまいます).
■選択肢3. 何とかノートパソコンで頑張る
これです(白目).
情弱だろうと金欠だろうと家庭の事情だろうと公式が推奨してなかろうと何だろうと,自分の生活スタイルと希望に合わせます.
まずは最近のノートパソコン用のCPUの性能がどの程度かを調べます.
こちらなどを参考にしました.
ここで思い出したいのはCPUの性能で何が優先されるか?ということです.一番上に戻り確認しましょう.CPU clock, cores, generationが速度に影響します.
分かりやすいところから詰めていきます.
1. generation
めっちゃ簡単に言うと新しい世代が良い.
2. cores
現状ではノートパソコン用のCPUは8コア16スレッドが上限です.Piosolver proは16スレッドまで対応しているので,8コア16スレッドのものを選びます.
3. clock
定格クロック,最大クロックがあります.ここで注意したのが最大クロックが,CPUによってはブースト機能対応CPUとしての性能だということです.詳細は省きますが,Piosolverはマルチスレッドに対応しているので,ブースト機能対応のCPUはその恩恵を十分に受けることができない可能性があります.
重要なのはマルチスレッドでの速さなので,これを確認します.
例えば上記のCPU比較する際のベンチマークで,Conebench R15 Multiと書いてあるものが該当します.
これらを踏まえると,現時点でRyzen 9 4900Hが第一候補に挙がります.
あとはこのCPUを積んでいるノートパソコンを検索して希望するメモリ,ストレージ(SSD)を満たすものを探しましょう.
3. 自分が購入したモデルとレビュー
最後に,自分が購入したモデルとpiosolverを走らせた結果などをレビューしますので参考にしてください.
ただしPiosolverの公式はノートパソコンを推奨していないので実際にノートパソコンで使用する場合は自己責任でお願いします.
モデルはASUS TUF Gaming A15 FA506IU (FA506IU-R9G1660T)です.
Piosolverのコマンドでbenchを測定します.
思ったよりかなり早いです.これはACアダプタを接続し,ハイパフォーマンスモードで使用したときのスコアなので,バッテリーのみで駆動すると7秒程度に落ちます.これに関しては自分は常にACアダプタを持ち歩くタイプなので問題ありません.
ただしCPU使用率は100%になるので,ファンの音とCPU温度が懸念材料です.iPhoneで騒音アプリを使用し,パフォーマンスモニターでCPU温度を確認しました.BTN vs BB SRPで複数のベットサイズにて計算したところ,CPU100%使用時のファンの音は大体50db前後で,合計20分くらい走らせてCPU温度は平均83℃,max 95℃でした.比較的早い段階で最高温度を記録し,その後は低下していきました.後半は大体平均77℃くらいでした.
ここが唯一の心配なところです.普段のCPU温度は40-50℃なのでいいんですが,集合分析のような長時間かかるものはやらないほうが無難かなと思います.(冒頭で「使える人は何度も言いますがデスクトップを買ってリモートにしましょう.そのほうが無難です」と記載した理由です).
予想以上に早くパソコンが壊れてしまう可能性もありますし,積極的には推奨できないところです.
(なおパソコンに付属しているArmoury CrateでCPUをモニターすると,Max 90℃でした.Armoury Crateの表示が低く出ているのか,パフォーマンスモニターが高く出ているのか不明ですが,高いことには違いないです)
どうしても使いたい人は,PiosolverでのCPU使用率を強制的に下げてしまう方法もあり,タスクマネージャーの’詳細’から設定できます.
50%の8スレッドのみ使用するようにしたところ,パフォーマンスモニター上でmax 86℃まで下がりました.ただしbenchはACアダプタ接続してても5.5sまで遅くなりますし,なぜか平均温度は比較的高い数値で推移していました(80-86℃).パソコンに詳しくないので理由はわかりません.
2020/11/15 追記
試しにノートパソコン用の空冷ファンを購入して使用してみましたが,1900円と安いものでもハイパフォーマンスモードで同様の動作を行わせたらmax 87℃まで低下しました.適当に買ったので,きちんと調べて買えばもっと効率のよいものがあるかもしれません.よく使う場所には設置しておくのもいいかもしれないです.
終わりに
いかがだったでしょうか.技術の進歩でPiosolverを使えないことはない,ということはわかりましたが,やはりデスクトップには及びません.
ただしあと数年すればさらに良いモデルも出てくるかも知れません.
今回の人柱的な記事が参考になれば幸いです.
あと間違った記述があれば訂正するので教えてください.