キラキラしてない人間の面接・ステートメントの思い出

いきなりですが、注意

 本記事は、察しが悪く人と話が噛み合わない人間による、入試や受験指導に対する愚痴です。これから受験される方に何ら有益なものを提供できるわけではありません。面接やステートメントにまつわる思い出を、皮肉と嫌味を込めて語っているだけですのでご容赦ください。
 なお、私が面接やステートメントで苦労したのは、自分の人生に当事者意識を持たず、主体的に生きてこなかったという点で、自業自得だと自覚しています。

面接の思い出

「法学部に進んだのに、未修志望なのはなぜですか」

 必ず聞かれると思いますけど、未だに正解はわかりません。単純に勉強不足を痛感したから以外にどう答えたらいいのでしょう。流石に「既修入試に受かる気がしない」とかいうのはまずいと思いますけど、突き詰めれば今は既修に受からないから未修に行くという人がほとんどですよね。
 私の場合は、「自分の現状での〜という実力不足や苦手を〜という特色を持つ貴校のカリキュラムで克服できると考えて未修を志望しました」みたいに言ってました。

「AIによって法曹の仕事は無くなると思いますか」

 これは某国公立の口頭試問です。その場で思考力を試すタイプの質問をしてくる学校は他にもありました。アドリブ苦手なんですよ。なのに、何にも調べず準備せず受けに行って、待ち時間は本当に焦ってました。面接室から漏れ聞こえてきた質問と同じ質問をされたらラッキーと思いながら必死に答えを用意したことを思い出します。
 ちなみに自分は、「技術の進化に取り残される人間が必ず出てくるから、減ることはあっても法曹の仕事がなくなることはない」と答えました。当時は上手いこと言ったつもりでいましたが、今から考えれば求めていた答えではないんだろうなと思います。
 いろいろな答え方があると思いますが、今なら「与えられた事実に対して結論を出すことについてはAIにもできるだろうが、そもそも適切な事実の抽出が難しく、そこに法曹の専門職としての存在意義があるから、法曹の仕事は無くならない。」みたいに答えると思います。
 ちなみに、執筆時点で流行りのChatGPTを使用して短い事例問題を解かせてみようとしたのですが、うまくいきませんでした。

「(志望動機に対して)それって法曹じゃなくてもできるよね」

 ぐうの音も出ないくらいのど正論で困ります。自分の場合、法曹という立場の方が都合がいいと思っただけだったので、これを言われたら反論の余地がありませんでした。
 しかし、面接は相手を論破しに行く場ではないので、ここで必死になる(どうしても法曹じゃなきゃいけないと思わせる)必要はないと思います。そりゃ、どうしても法曹でなければならない理由を用意できる人の方が本気度が高く見えますが、そもそも、志望動機が法曹じゃなくても良いものだったとして、それだけで落とすでしょうか。必須じゃないけど目指したい理由を準備できればそれで足りるでしょう。

ステートメント

これまでの経験で法曹への適性を示していると考えられるものを説明してください

 法曹としての適性って何?当時もそこから分かりませんでした。今でも正直分かりませんが、個人的には体力が必須だと思っています。でも、体力には自信がありますって書いていいんでしょうか?体力には自信がないのに嘘を書いていいのかということはひとまず置いておいても、職業理解として妥当な自信はありません。
 職業理解を問われて的外れなことを答えるのはかなり印象が悪い気がします。法曹をめざす動機や目指す法曹像についても同じことが言えますが、職業理解に疑問を持たれると志望動機以上に本気度を疑われる気がします。

本法科大学院を志望した理由を、本法科大学院の特徴に言及しつつ説明してください

 これってすごく丁寧な聞き方ですよね。自分のように求めている答えがわらないタイプの人間には有難いと感じました。どの学校でも法曹を目指す理由とは別に本学を志望する理由を聞かれると思いますが、たぶん、指定がなくても学校の特徴に言及した書き方が理想なのだろうと思います。
 でもぶっちゃけ、どうしてもここじゃなきゃいけないってことはないですよね。受験資格を得るために行くのですから、どこか卒業できればいいわけで、それは学校側もわかっているはずです。ここはせいぜいカリキュラムをちゃんと確認してますよってことが示せていれば過度に説得的であることを求めずとも良いのではないでしょうか。

某予備校のカウンセリング、添削に対する嫌悪

 既に何校か私立の合格をもらった後でしたが、国公立の面接やステートメントが苦痛すぎて相談に行きました。絶対に面接で言うわけがない(書くわけもない)本音を語り苦悩を打ち明けたところ、出てきたスタッフは「その答え方では落ちます」と言いながら代案を出さないんですよね。クライアントへの無条件の肯定的関心と共感的理解はカウンセリングの基本ですから、そういう姿勢が見られなかったのも驚きですが、解決策を一緒に考えるということすらしないとは思いませんでした。なので、ずっと言ってることですが、予備校スタッフの相談業務をカウンセリングと呼ぶのは、カウンセリングをしてる人に失礼です。
 そういえば、ステートメントの添削に出しても一貫して最低評価でした。嘘がつけない人間なので、薄っぺらい経験をさらに引き伸ばしてやっとのことで書いても、「これでは理由になっていません」「説得的ではありません」と添削されました。代案を示すことなく、かと言ってはっきり嘘をつけというわけでもない添削が本当に不快で、途中から、たかだか大学卒業見込みの21歳にそんな大した人生経験・志望動機を期待してるわけないだろうと開き直ってました。だいたい法学部を目指したのは高校生で、もし法曹を目指して法学部を目指しそこから特にやめようと思うことなく勉強を続けた人ならば、志望動機なんて事実上高校生の時に考えたものなわけです。
 一方の社会人や他学部の学生の方は、なんで法曹目指すのって疑問に説得的に答えられる必要がありそうですし、その材料もあるんじゃないですかね。こういう人たちにはどう頑張ってもかき負けるでしょと諦めていました。

まとめ

 能力がない(あるかもしれないがそれが明らかではない)場合に、それでも評価してもらう手っ取り早い方法が「やる気を示すこと」なのはわかりますし、説得力を持たせるためには事実と証拠で補強する必要があるというのもわかります(法曹を目指そうというのですから尚更です)。しかし、無いものを捻り出すのは本当にストレスでした。私の場合は、同様のストレスを就活でも思いっきり味わうことになりました。やっぱり、自己分析とか志望動機を考えるのは本当に苦痛ですね。
 ただ、同じことを言うにしても、言い方次第。結局はこれに尽きます。私のようにコミュニケーション能力に問題がある人間に向けて穏当な表現に言い換える提案をしてくれる指導は、いつになったら生まれるのでしょうか。

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