
「タテの国」がまんがタイムきららみたいだった - 縦読み漫画の書籍化を考察
タテの国やウェブトゥーンといった縦読み漫画を、縦読みにこだわって書籍化すれば、まんがタイムきららのようになると思います。
「タテの国」が大きな話題に
先週、少年ジャンプ+に掲載された「タテの国」が大きな話題となっていた。
この漫画はすごく面白い。スクロールする楽しさがある。何が出てくるのかワクワクしてくる。
一方で、私はこういう考えを持っていた。縦読み漫画はまんがタイムきららみたいだということ。
そして、私の考えを確信に変える出来事が起きた。
Twitterに投稿された「タテの国」
ある日、「タテの国」作者の田中空さんが序盤の内容をTwitterに投稿していた。
無限に長い世界を落ちる物語(1/8) pic.twitter.com/cw20V4Ps8B
— 田中空🐉ジャンプ+『ドラゴンの子』 (@tanaka_kuu) October 3, 2022
Twitterに投稿されたものは気軽に読ませるために工夫がなされている。
Web連載時の縦読み1本だとあまりにも細すぎて、読む意欲がなくなる。
だから、1話を数ページに分けた上で、コマ割りが2列の縦方向に変更されているのだ。
もし、「タテの国」が書籍化するとTwitter掲載のようになるだろう。
そして、このTwitter掲載から思い浮かべたのはまんがタイムきららの4コマ漫画だった。
「タテの国」と「まんがタイムきらら」の4コマ漫画を見比べてみよう
読者の皆さんは「タテの国」を読んでまんがタイムきららを連想することに違和感を感じるだろう。
そもそも、媒体が違う。きららは書籍掲載の4コマ漫画で、「タテの国」はウェブトゥーンに近いWeb掲載に特化した漫画だ。
しかし、「タテの国」のTwitter掲載は、コマ割りがまんがタイムきららの4コマ漫画とよく似ている。きららの4コマ漫画も1ページごとに2列の縦方向になっているからだ。
百聞は一見にしかずだ。一度、見比べてみよう。今回はアニメ化発表した『星屑テレパス』を例にしてみる。
まずは、書籍版の試し読みだ。確かに、ページ毎に2列の縦読みになっていることが分かる。
こちらがニコニコ静画に掲載されているもの。扉絵以外は縦読みマンガのようになっていることが分かる。
「タテの国」とまんがタイムきららの4コマ漫画は、コマ割りが親戚のような関係だ。前者が書籍化すればきららと同じ1ページ毎に2列の縦方向に変わり、後者がWeb掲載に特化すれば縦読みマンガに変わっていく。
縦読みにこだわれば「まんがタイムきらら」のようになる
縦読みマンガはWeb掲載に特化していて書籍化に向いていないと言われています。
もっとも、縦読みマンガの書籍化がないというわけではない。韓国発のウェブトゥーンは紙媒体への書籍化が盛んに行われている。
だが、紙媒体になったウェブトゥーンは縦読みに対するこだわりが全くない。ストーリー漫画のコマ割りに変わってしまう。
そんな中、作者の手により「タテの国」が縦読みにこだわった書籍化に最も適した形でTwitterに掲載された。
Twitterに掲載された「タテの国」のコマ割りは、まんがタイムきららの4コマ漫画と同じように1ページに2列縦方向に読ませるものとなっている。
したがって、縦読み漫画が縦読みにこだわって書籍化すれば、コマ割りがまんがタイムきららの4コマに似てくる。
余談:あの漫画を例に上げた理由
きららの4コマ漫画として『星屑テレパス』を例に挙げたのは理由がある。コマ割りに関する評価が高いからだ。
この漫画には4コマの体裁をあえて破っているシーンが多い。例えば、2コマ分の大きさを1コマにして描かれているシーンがある。
それでも、縦読みにはこだわっていた。それも同じ幅、1ページの半分くらいでコマを載せていた。
ワイド4コマのように幅がページの端から端まで広がっている漫画は、縦読みするには広すぎる。半分ぐらいがちょうどいい。
だから、『星屑テレパス』は縦読み漫画を考える上でちょうどいい題材だと思う。
最初に、「タテの国」が書籍化するとまんがタイムきららみたいだと書いた。
実を言うと、個人的には、まんがタイムきららがウェブトゥーンのような縦読み漫画を始めてほしいと思っている。
4コマ漫画は衰退の一途を辿っている。雑誌が次から次へと廃刊しているのだ。きららに近い漫画雑誌も例外ではない。まんが4コマぱれっとは廃刊し、コミックキューンは4コマ漫画をやめてしまった。
近年は漫画に表現力が求められる傾向がある。4コマ漫画ではあまりにも物足りない。
しかし、ウェブトゥーンのような縦読み漫画なら、表現を豊かにできるし、今まで培った4コマ漫画のコマ割りに関するノウハウが活用できるはずだ。
「枯れたジャンルの水平思考」をやってほしいものだ。