弱軸回りに曲げを受けるH形鋼の許容曲げ応力度【建築士試験】
こんにちは!ゼロ所長です。
今日は、弱軸回りに曲げを受けるH形鋼の許容曲げ応力度について考えるね。
こんな問題が出題されることがある。
弱軸回りに曲げを受けるH形鋼の許容曲げ応力度は、幅厚比の制限に従う場合、許容引張応力度と同じ値とすることができる。
正解は・・・ 〇となるのだけど、なぜだかわかる?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
一緒に考えてみよう。
弱軸回りに曲げを受けるって?
弱軸回りに曲げを受けるH形鋼ってどういうことだろう?
まずは弱軸の意味から理解しよう!
部材断面の性質(性能)は、主にX軸とY軸について考える必要があるよ。
何でかっていうと、下図のH形断面みたいに断面を90度回転させて使うと、断面の形が全く変わってくるからだ!
だからX軸、Y軸に対して断面の性能がどうか考える必要があるわけだ。
適当な方向に使うと弱かったり強かったりして、よくわからないことになるね。
で、X軸とY軸のうち、強くなる断面の軸を「強軸」、弱くなる断面の軸を「弱軸」というよ。弱軸、強軸の詳細は下記を読んで欲しいな!
じゃあ、弱軸回りに曲げを受けるH形鋼の意味は・・・下の右図の方向に荷重が作用するH形鋼のことなんだ。
もし、強軸と弱軸の違いがわからなかったら、自分が鋼材を曲げることをイメージすると良いよ。
上図の場合、明らかに右側のH形断面を曲げる方が簡単そうだね。
H形鋼の許容曲げ応力度
次は許容曲げ応力度について考えよう!
許容曲げ応力度は、部材が許容できる曲げ応力度のことだ。
ところで、一般的に鉄骨造の柱や梁は「細長い部材」として使うよね。
細長い部材は座屈が起きやすく、座屈は「急激な耐力低下を引き起こす」ので、注意が必要な破壊形式なんだ。
だから鉄骨部材は座屈が生じないように設計するのが基本だね。
鉄骨部材には角形鋼管、H形鋼、溝形鋼など色々な断面形状があるけど・・・
どの断面においても「座屈」に注意が必要になるんだ。
すぐにはイメージできないかもしれないけど、部材に曲げモーメントが作用するとき、部材の上下端部には「圧縮力または引張力」が作用している!
曲げモーメントは圧縮力と引張力が同時に作用する応力なんだ。
この圧縮力の作用により、部材には「横座屈や局部座屈」の生じる恐れがある。
よって、許容曲げ応力度は「座屈の影響を考慮」した値となるんだ。
座屈が起きると材料のもつ許容圧縮(引張)応力度より、かなり小さな値で壊れてしまうから、
座屈する部材の許容曲げ応力度は、許容引張応力度より小さくなるってことだね。
幅厚比の制限に従う場合って?
幅厚比は、部材断面の「幅÷厚み」を計算した値だね。
幅厚比の詳細は上記事を読んで欲しいけど、要するに「幅厚比が小さいと座屈しにくい」「幅厚比が大きいと座屈しやすい」と考えておけばOKだね。
鋼管をイメージすると理解しやすいよ。
2つの鋼管をイメージしてほしい!
1つは幅に対して厚みが大きい部材、もう1つ幅に対して厚みが紙のように薄いもの。
どちらが座屈しやすいか明らかだよね。
つまり、幅厚比の大きい部材は座屈しやすいんだ!
だから、鉄骨部材の幅厚比には「制限値」が設けられている!
幅厚比の大きな部材を使うと座屈が起きやすいから、無制限に幅厚比の大きな部材を使わないようにするためだよ。
逆にいうと、部材の幅厚比が幅厚比の制限値に納まっている場合、「横座屈や局部座屈は起きない」と考えらる。
前述のように、「座屈する」部材の許容曲げ応力度は、許容引張応力度より小さくなるよね。
だから「座屈が起きない」のならば、部材の許容曲げ応力度は「許容引張応力度と等しく」なるんだ!
まとめ
よし。これまでの情報を元に整理しようか。
部材断面には強い軸(強軸)と弱い軸(弱軸)がある。
細長い部材は座屈が起きやすく、座屈は急激な耐力低下を引き起こす。
許容曲げ応力度は「座屈の影響を考慮」した値
座屈する部材の許容曲げ応力度は、許容引張応力度より小さくなる
「座屈が起きない」のならば、部材の許容曲げ応力度は「許容引張応力度と等しく」なる
こんなかんじで問題を解けるよ。
参考
最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。
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