見出し画像

箱形断面の柱とH形鋼の梁の剛接合の方法

こんにちは!ゼロ所長です。

今日は箱形断面の柱とH形鋼の梁の剛接合の方法について考えるね。
こんな問題が出題されることがある。

箱型断面の柱にH形鋼の梁を剛接合するために、梁のフランジはすみ肉溶接 とし、ウェブは突合せ溶接とした。

正解は・・・ ×となるのだけど、なぜだかわかる?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
一緒に考えてみよう。


箱形断面とH形断面の剛接合の方法

先に結論から書こう!
かなり難解な文章に読めるけど、問題文はごく一般的なラーメン構造(柱と梁の接合部を一体化して、柱と梁だけで成立する構造)の接合方法について書いてある!

一般的なラーメン構造は、

  • 柱 ⇒ 角パイプなどの箱型断面

  • 梁 ⇒ H形鋼

を使うんだ。ラーメン構造にするため、柱と梁の接合部は一体化(剛接合)する。じゃあどうすれば、柱と梁の接合部が剛接合になるかというと、

  • H形鋼のフランジ ⇒ ダイアフラム(柱を補強する鋼板)と突合せ溶接

  • H形鋼のウェブ ⇒ 箱形断面に直接、隅肉溶接

するんだ。図で描くとこんな感じだね。

つまり、問題文は逆の内容が書いてあるので×となる。
ははは。この説明だと何が何やらだと思う。
でも参考書だとこのくらいの解説で終了だよね。

各用語の解説は後述したから読んで欲しい。

じゃあ何で、問題文に書いてあるような溶接方法では駄目だろうか。
この疑問を解説しよう。

柱と梁の接合部には大きな曲げる力が作用する。
身近にある本を両手にもって曲げて欲しい。
この力が柱と梁に作用するわけだ。

曲げ応力
曲げ応力

で、その曲げる力が最も大きくなる箇所はどこか。
後述する梁のフランジ位置になるんだ!

接合部にとって曲げる力は厄介で手ごわい。
もし興味があるなら、ボンドか接着剤で爪楊枝とかを接着してみて。
その後、両手で曲げてみよう。簡単に接着剤が剥がれてしまう。

曲げる力に耐えるためには、もっとガッチリと固めて、完全に一体化する必要があるんだ。このような接合を剛接合というよ。

だから、大きな曲げる力が作用するフランジ部では、部材を一体化できる突合せ溶接を行うというわけだ!

よし、その他の用語の意味を整理したから下記を読んでみて。

箱型断面

正方形や長方形の箱形の断面だ。鋼構造の場合、正方形の箱形断面を柱に使うことが多いよ。建築の実務では角パイプと言うことが多いかな。

箱型断面
箱型断面

H形鋼

ローマ字のH形の鋼材のこと。梁に使うことが多いよ。だけど梁に使うときは、H形を横に向けて使うことが多い(左図)。

H形鋼
H形鋼

剛接合

剛接合は部材と部材を一体化する接合のことだ。
たとえば、2つの棒を想像してほしい。
当然、接合する前なら2つの棒はバラバラの動きをする。

だけど、2つの棒を剛接合すると一体化するので「1つの棒」と見なせるんだ。魔法みたいだ!すごいね!

部材同士を剛接合すれば、部材を曲げる力(曲げモーメント)にも耐えられる。

ダイアフラム

ダイアフラムは柱と梁を一体化するために必要な鋼板だ。
柱を補強する鋼板と言ってもいいだろうね。
前述したように、柱は箱形断面だから中身は空っぽの中空となる。
だからダイアフラム無しで柱と梁を一体化すると、柱が凹む可能性がある。だから梁はダイアフラムと溶接するんだ。

ダイアフラム
ダイアフラム

フランジとウェブ

H形鋼のフランジは横2枚の板のこと。H形鋼のウェブ は2枚のフランジに挟まれる1枚の板。図をみると分かりやすいよ。

フランジとウェブ
フランジとウェブ

すみ肉溶接

鋼板同士を重ねたり、鋼板を直角に溶着するときの溶接方法だね。
一応、鋼板同士は接合されるけど剛接合にはならない。
だから完全に一体化されているとは言い難いんだ。
だから、隅肉溶接部に曲げる力を加えると壊れてしまう。

すみ肉溶接
すみ肉溶接

突合せ溶接

鋼板同士を完全に一体化(剛接合)するときに行う溶接方法なんだ。
前に書いた2つの棒を1つの棒に一体化するような溶接方法だね。

完全溶け込み溶接
完全溶け込み溶接

具体的な溶接の方法は下記の通りだ。

完全溶け込み溶接とは図のように接合しようとする母材の端部を、適当な角度に切り取り(開先又はグル―ブと呼びます)、この溝を熱で溶かした溶接金属を母材及び接合材と一体化し埋め込む方法です。開先形状には様々なものがあり、例えば図に示す形状は、v型と呼ばれるものです。他にもレ型等が一般的に用いられます

http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-yousetu.html

まとめ

今回は覚える用語や理解することが多くて大変だ!
でもゼロ所長が考えるポイントは1つ。
なんで、フランジを突き合わせ溶接するのかってこと。

フランジ
 ⇒ 大きな曲げる力が作用する
  ⇒ 曲げる力に抵抗するためには剛接合する
   ⇒ フランジ部は突合せ溶接が必要

こんなかんじで問題が×だとわかるよ!

参考

最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。

いいなと思ったら応援しよう!